第241話 身から出た錆ということなら仕方ない、のか?

 憤る俺の中で「ヤツ」がくつくつとわらっていた。


(たまさか死霊術師ネクロマンサーが英雄扱いされるとはのぅ。いやはや、世も末じゃなあ、ユーマよ)

 

 笑ってる場合か。

 そもそもこんな状況に嵌ったのは、お前のせいだろうが。


 そんな俺の悪態を「ヤツ」は鼻先で笑い飛ばす。


(ふふん。そうは言うがの? ユーマもあの時はああするしかなかったと理解わかっとるじゃろ?)


 ……そうなのだ。

 全く反論の余地はない。

 あの時はあれが最善手だった。

 というか、


 俺は「ヤツ」に八つ当たりをしているだけなのだ。

 それを理解わかっているから「ヤツ」も嗤っているのだ。


 ……もし何か間違いがあったというのであれば、俺だ。


 あの戦闘――違う。虐殺だ、あんなものは――が終わったあと、呑気にその場に留まり続けてしまった一点に尽きる。今のこの状況はつまり俺の判断ミスよるものなのだ。ええい、畜生!

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