第173話 異世界の技術水準考察(妄想レベルの)
ムラノヴォルタから王都までは、一日で辿り着ける距離ではない。
鉄道でもあれば話は違うのだろうけれど、馬車の速度では途中で一泊なり二泊なり野営をしなければならない。
鉄道――蒸気機関、高度な製鉄技術、石炭、路線の敷設。
フツーに無理そうだなあ。
と思う一方で、帝国には銃があったという事実。あれはどういうことなのか。アレを創るだけの製鉄と加工の技術自体は存在している、のか? あるいは魔法の産物か。
射程と連射速度次第だが、数が揃えば銃は大きな脅威になるに違いない。どんな弱兵でも銃を与えれば充分人殺し足りうるのだから。
「旦那!」
俺の考えを遮ったのは御者台の商人だった。
「今日はあそこで野営としましょう」
彼が指すのは街道の外れ。以前に誰かが利用していたであろう野営地の痕跡だった。焚き火の後があるし周囲に目立った遮蔽物もない。奇襲の心配は無さそうだった。
「そうだな。明日、朝一番に出発すれば明日中には王都に着くだろうか?」
「へい。少し飛ばせば午後には到着するかと」
「無理を言って申し訳ない」
「いえいえ、旦那は命の恩人ですから!」
知らぬが仏とはいえ、ホントに申し訳ない……。
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