第152話 無関係という関係ではいられない

 王位継承争いという王国のお家騒動が俺に無関係ではない。らしい。

 俺はエリザヴェートが何を言うのかに興味があった。


「伺いましょうか。私が無関係ではいられないというその理由を」

「ユーマ様が、というよりもこの宿が、でございます」


 塔の宿ときたか。

 それでもタワー型ダンジョン呼ばわりよりかはマシだ。

 とか思っていると、エリザヴェートはついに核心に触れた。


「この宿の営業許可証は王国が発行しているものです」


 ……あー、そういうことか。


「現王――私の父は赤の勇者ノヴァを信頼し、貴方様のことも認めておりますけれど、兄上たちや一部の大臣の中には軍以外の兵力が国境付近にあることを危惧する者もいるのです」


 これは逃げきれないな。

 覚悟を決めるしかない、か。


「今後、仮にノヴァが正式な営業許可を申請したとしても、却下或いは破棄ということすらありえます」


 えげつない話の持って行き方をするじゃないか。

 可憐に見えても王族は王族、だな。


「それは、まあ、困りますね」


 最悪の場合、無許可営業も可能だが、王国の営業許可がなくなると冒険者を退ける正当性もなくなるわけで、面倒事が増えるのは間違いない。俺はホテル宿屋運営しや りたいんであって、ダンジョンをやりたいわけではない。


「ユーマ様にも利のある話かと思います。どうかわたくしに御助力いただけませんか?」


 相談・依頼といった形を取ってはいるが、否応無しの是非も無し、だな。脅迫と言っていい。しょうがない。受けてやろう。


「わかりました。出来うる限りの協力をしましょう」

「ありがとうございます!」

「詳しく事情をお聞かせください。まずは継承権争いの原因から」

「現王――父が謎の病でせたのが事の発端なのです」


 いきなりキナ臭い話になったな……。

 聞かせろと言った先から既に聞きたくなくなってきた。

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