第126話 成功する確実な方法は、もう一回だけ試してみることだ

 俺が異世界ココにいるのは、元の世界あっちで失敗したからだ。

 今わの際の俺の未練を「ヤツ」が見つけた。

「ヤツ」に召喚よばれて異世界にやってきた。

 だからココで再びホテル運営をやっている。

 今度は成功するために――


 当時を振り返れば、上手くいかなかった理由は俺自身にもあった。

 今ならそれも理解できる。


 だが、それ以上に、親父の代から働いていたのに、誰よりも早く会社を見限って逃げ出した連中がいた。裏切り者どもめ。俺は奴らを許さない。絶対に、絶対に許さない。


 奴らにも生活がある。

 そんなことはわかっている。

 真っ当に辞めるなら一向に構わない。

 俺に引き留められるだけの器がなかっただけの話なのだから。


 顧客情報の持ち出し。スタッフの引き抜き。経費の水増し。等々。思いつく限りの悪事をやっていった奴ら。俺は何故あの連中を信用していたのだろうか。ただ、親父の頃から居たというだけの理由で。


 だから俺は異世界では、俺の目しか信じない。

 俺は俺が信じた相手しか信用しない。

 失敗しないために。

 二度とあんな想いをするのは嫌だ。

 絶対に。

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