第63話 真打登場(双方)

 弓の斉射と吊り橋揺すりという地味な手管で冒険者御一行の大部分は川に落ちて帰路に着いた。残ったのはリックら三人組とはじめて見る赤毛の女性。


「な、なかなかやるじゃないか。流石だなダンジョンマスター」


 リックが減らず口を叩く。

 しつこいやつだ。

 ダンジョンマスターじゃないと言ってるだろうに。


「けど調子に乗っていられるのもここまでだぜ」


 何その自信。

 と思っていると、三人組が左右に道を空けた。

 控えていた赤毛の女性が一歩前に出てくる。


 高そうな鎧と立派な両手剣を携えた彼女は、


「私が相手をさせてもらうぞ」

「えーと、あなたは?」


「私はノヴァ。赤の勇者ノヴァだ!」


 勇者。

 勇者ときたか。

 あの馬鹿、どうやってか知らんがとうとう勇者そんなものまで引っ張り出してきやがった。


「死者の塔の支配者よ。我が炎の魔剣の錆となれ」


 しかもやる気満々ときた。どうやってたらしこんだかは大いに気になるが、目下の危機は目の前の勇者様だ。


「支配人、お下がりください。アイが対応します」


 そう言うとアイは

 そしてずぶり、と虚空から抜き出したのはとても立派なだった。

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