幸せ


戦後…金がないと死ぬ日々…だから皆、必死だった。

平成…死なないようになった…その代わり何かを確実に失った。


▽バブルの後始末がまだまだ終わらない現代。

親…父も母も家族の為に日曜も夜も働く。

生活できる代わりに家族の絆は細くなる。


絆…アミもオレンジもトオルも…俺も求めてる。


……冷えてしまったバスルームから出る。


4人無口…つけっ放しにしてたTVから白々しい笑いが聞こえる。


泣いてメイクを落としたアミ…子供らしい顔が現れる。


オレンジがアミの化粧を手伝う。


トオルは冷蔵庫からビールを2本…俺に渡す。

女達にはジュース。


ドライヤーの音に負けないようにオレンジが言った。

[シラケさしちゃってごめんなさい。私達帰るから…]


トオルが答える。

[いや帰らなくていいよ。野宿はヤダろ?一緒に寝ようぜ。エッチは無しで]

笑いながら…トオルは優しい。優しいというより強い。


[なぁ?いいだろ?]

トオルは俺に言った。

[もちろん。こっちこそごめんね]

俺はアミに言った…アミは首を振った。

[ごめんなさい。つまらない女だから…]


[アルコール飲めさ]

トオルが飲みかけのビールを渡す…アミは1口飲んで返した。

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