本物はないんだ


楽園…偽物なら知っている…。


▽トオルは勘がいい

[醒めたのか?]…小声で尋ねる。


大丈夫…目で返事する。


トオルがマコトに笑いながら言う。

[チョコあるんだけどやる?]

小さなアルミフォイルの包みを見せた。


チョコ…マリファナ樹脂…ハシッシ。


[質は?]

俺の質問に

[俺がタチ悪いの買うかよ]

笑いながら答えた…トオルはいつも笑ってる。


マコトは興味を持つ…不安そうにも、目は好奇心で輝いてる。


[大丈夫だよ。俺らもやるし。中毒性もめちゃ低いから。それに超気持ち良くなれるぜ]


マコトを安心させる。


俺は、質が悪い薬だとバット(ダウン)になる体質…若い頃さんざんやって分かった事。



トオルは包みのアルミフォイルを、パイプ型に作り始めた。


俺は茶色い固形物の樹脂を削り、指先で丸めた。


マコトは二人の作業を食い入るように見つめてる。


酒と薬とS○X…お手軽な楽園の出来上がり。


偽り…偽物だけれど楽園には違いはない。


本物の楽園なんて、どこにも無い。

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