第四章 いざ村の外へ

これまでのあらすじ その3

難病に侵され、大人になるまで生きられないだろうと言われていたミエは、幼い少女を助け命を落とし、異世界へと転生した。

健康な体へと生まれ変わり大喜びした彼女だったが、その直後オークの襲撃に巻き込まれてしまう。

若きオーク・クラスクに彼らの性奴に等しい『オークの花嫁』になれと命じられた彼女は、あろうことかそれを自身へのプロポーズだと誤解。

結婚に強い憧れを抱いていた彼女は悩んだ末にそれを受諾してしまった。

お互いに誤解したまま始まった二人の生活。

だが彼女が転生時に与えられたスキル≪応援≫の力によって知性や情緒を獲得し始めたクラスクは徐々にミエに惹かれてゆく。

一方で毎日ミエに≪応援≫されることで大活躍を始めた彼を不思議に思った村のオーク達は、その原因が彼が新たに手に入れた若き娘、ミエにあるのではないかと勘繰り、彼女を我が物にせんと襲い掛かった。

すんでのところでミエを助け出したクラスクは、彼女を襲ったオーク達の首謀者である兄貴分に一騎打ちを挑みそれを打倒。仲間達に彼女が己の嫁であることを高らかに宣言するのだった。

(第一部第一章 オークの花嫁)




女性出生率が極端に低いオーク族は、略奪や襲撃で他の種族の娘を攫っては奴隷同然に扱い自分達の子を産ませていた。

ミエの≪応援≫により知性がついたことで、己の種族の末路に気づき懊悩するクラスク。

一方のミエは自分以外の村の女性達の凄惨な扱いに心を痛めていた。

ひょんなことから目的意識を共有した二人は、これまでのように暴力的な手段に訴えず、女性を大切にすることで異種族の娘を呼び込もうと村の改革を志す。

クラスクの取り巻きであるオークどもが飼っていた娘達…すなわち半巨人のゲルダ、ノーム族のシャミル、そしてエルフ族の少女サフィナの三人を仲間に加えたミエは、この世界の蜂蜜の特殊性に気づき未来への展望を得る。

だが旧きオーク族の慣習の体現者たる族長ウッケ・ハヴシが村に帰還し状況は一変。

窮地に追い詰められたクラスクは、だがミエの必死な≪応援≫とその知略によりオーク族の一騎打ちの頂点である『頂上決闘』にて族長を撃破。新たな族長としてこの村を変えてゆくことを誓うのだった。

(第一部第二章 村の改革)




猫獣人の行商人アーリは、狼の子供に尻尾を噛まれ痛みのあまり森の中を駆けずり回り、うっかりオーク族の村に迷い込んでそのまま虜囚となってしまう。

そこはクラスク村と名を変えたあのオークの集落だった。

そこで会った族長クラスクとミエの知性と先見性、そして彼らが扱っている蜂蜜とその関連商品の品質に感嘆した彼女は、二人に協力を約束し、その村の御用商人となることを誓うのだった。

(幕間 猫獣人の行商人)




王国南東部にある森に巣食うオーク共を討伐するため、王都より翡翠騎士団第七騎士隊が派遣された。

隊長はエルフの女騎士キャスバスィ。

だが彼女はその森のオークどもを束ねる族長・クラスクに一騎打ちの末敗れ、捕らえられてしまう。

部下達の助命と引き換えに三ヶ月間村に留まり協力することとなったキャスバスィ。

けれどいざ村へとやってきた彼女は、見事な果樹園や美しい花畑、楽し気に働く女性達に衝撃を受ける。

オーク達に剣の修行をつけながら、彼女はこの村をここまで変えてきたクラスクの優れた思想と遠大な理想に徐々に惹かれてゆく。

そんな彼女の前に現れたのは、この村の御用商人となった猫獣人のアーリであった。

(第二部第三章 ハーフエルフの女騎士)

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