99話

あー。いつもより立ち直り遅いかも。いつも寝たらすぐ元気になるのになぁ。


どうも、史人です。

「あ、おはよー! ふーくん!」

こいつはさくら。俺の元気がないのはこいつが…いや、告白できない自分が原因です。

「おはよ、さくら」

「あれ、元気ない?」

こういうのすぐ気づくよな。そういうとこも好きだけど。

「いや、ちょっと寝不足なだけ」

「ちゃんと寝ないと〜!」

「うん、そうする」

「…何か悩みなら相談乗るからね?」

「大丈夫、ありがとう」

さくらはどうやったら俺に振り向いてくれるんでしょうか。


「おはよ、智」

「お、史人。おはよー、ってなんか暗くね?」

うわ、智にもバレるくらい暗かったか…。

「いや、寝不足なだけだ」

「なら、いいけど…。何かあったら言えよ? あと、花ちゃんが呼んでたぞ?」

山本さんか。山本さんって俺に気があったりすんのかなー、なんてね。


「あ、すみません。おばあちゃんがこれを相澤さんにって」

「…ありがとうございます。これは?」

「煮物です。すっごく美味しいですよ! あ、他の男子の皆さんにもどうぞ」

「煮物かぁ、美味しそう! ありがとう、皆で食べるね!」

「はい、さくらさん達にも別であるのでたくさんどうぞ」

「そうなんだ、ありがとね」

山本さんといると落ち着くなぁ。…好きとは違うけど。

「好きな人いる?」

「へ??」

あ、やば。口に出てた。

「えっと、はい。います」

…いるのか。うん。

「そうなんだ〜、急にごめんね」

「いえ、お悩みですか? 私相談なら乗りますよ!」

「あはは、ありがとう」

皆優しいよなぁ。こんな病んでちゃダメだよな。

「応援してますので、さくらさんとのこと」

「え! あ、うそ」

まずい、ごまかせなかった!

「見てたら分かりますよ。頑張りすぎないでくださいね。応援してます」

「…あ、ありがとう」

山本さんにも応援されてしまった。俺ってそんなに分かりやすいのか…! …というか、山本さん好きな人いるのか。借りにそれが俺だったら俺ってひどいやつ…だよな。誰でも報われるわけじゃないけど、俺がさくらを好きなのはほんとだし、頑張ってみるか!!


「お、史人戻ってきた」

「山本さんがこれ食べてって。おばあちゃんの手作り煮物だって〜」

「おぅ、ありがてぇわ! ってか、史人元気になってよかったわ」

「おぅ、何か悩んでんのアホらしくなったわ」

「やっぱ悩んでたのかよ〜、まぁ史人がいいならいいか! 今度何かあったら絶対言えよ!」

「あはは、おぅ。ありがとな」


俺はさくらが好きです。

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