98話

「おはよー!」

今日も元気そうな智が話しかけてきました。

「おぅ、おはよ」

「いや〜、昨日マジ楽しかったわ!」

「あぁ、俺も楽しかった」

昨日は皆と山本さん宅にお邪魔しました。

「ってかさぁ、花ちゃん史人に気があるんじゃね?」

「は? 違うだろ、なんで?」

「いや、だってさぁ。お前とは自然に話してるじゃん」

「そうか? まぁ、最初に仲良くなったし。さくらとも自然だろ?」

「んー、さくらちゃんは女子じゃん!」

「同じだろ」

「そうなのか…? あと、前もこの間も花ちゃんに誘われたの史人だけじゃね?」

「最初は俺と仲良かったし、今回はさくらが誘って来ただけだろ」

「うーん、怪しいね。俺は花ちゃん、史人のこと好きだと思うぜ〜!」

「違うだろー」

「史人はさくらちゃんを選ぶのか、花ちゃんを選ぶのか…」

「何言ってんだよ、もうその話終わり!」

「はいはい、ごめんなさーい!」

山本さんが俺を好き? いやいやそれは智の勘違いだろ。確かに山本さんは俺によく話しかけてくれる。まぁかわいいし…。でも! 俺が好きなのはさくらだ! 10年片想いしてるんだぞ? 10年…時間に惑わされて…いや、俺はさくらが好きだ。でも、10年も何もないってさくらにとって俺はただの幼馴染で…。さくらにとっての俺ってなんなんだ?


「ふーくん! 帰ろ〜!」

「…あ、おぅ!」

「あれ? 元気ないね?」

「いや! ちょっとぼーっとしてたわ!」

危ない、さくらに心配させてしまった。1日中モヤモヤして、今日はぼーっと過ごした。


告白すればいいのに伝えられなかったのは、この1番近いポジションを誰にも譲りたくなかったからだ。でも、いつかさくらは俺の隣から誰かの隣に行ってしまうのだろうか…。

「それでね〜…、ふーくん? 大丈夫?」

「あ、ごめん。考え事! 何だっけ?」

「…悩み事とか? 私で良ければ聞くよ!!」

「いや、ほんと大丈夫! 続けて」

好きな人に好きな人の相談なんてできないよ。

「ほんと…? 何かあったら私に相談してね! ふーくんの親友だから!」

グサッ。親友…ね?

「えっとー、どこまで話したっけ? それでゆみりんがー」


さくらは…さくらにとって俺は恋愛対象にも入らないのか?

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