恋がしたい君と気づいてもらえない僕

第56話

「あ。弁当…」

どうも。弁当を忘れました、史人です。

「え、ふーくんお弁当忘れちゃったのー！」

「お、さくら。おぉ、やらかしたわー」

「史人〜。何してんだよ〜」

「どこで忘れたんだろ。朝…」

あ。今日遅刻しそうになって急いでたからそのまま出てきちゃったんだな。

「購買行くかー。だる〜」

「俺も行こうかな〜。今日からあげパンある日だよな！」

「もうないんじゃね？ まぁ、智も行くなら一緒に行こうぜ」

「おぅ。優しい智くんがついて行ってあげる」

「…来なくてもいいぞ」

「も〜、寂しいって言えよ〜」

「はいはい、行くぞ」

「あはは、いってらっしゃ〜い！」

「おぅ」

「いってきまーす！」

「からあげパンゲットー！」

「あ、ふーくん達おかえり〜！ 智くんすごい！！」

「俺って運いいんだよね☆」

「からあげパン人気なのにね！ ふーくんは何買ったのー？」

「焼きそばパンとクリームパン買ったー」

「クリームパン！ 美味しそうだね〜」

「そういうと思って…2個買ったから」

このタイミングでクリームパンをあげるカッコいい俺。

「わぁ〜！ ふーくんありがと！いくら？」

「いや、あげるわ」

「ほんと！ ありがと〜！」

喜ぶさくらの笑顔で十分です。

「からあげパンうめぇ」

「お前食うの早」

「うまそうで、つい」

「男がてへってやっても…」

「てへぺろ」

「…」

「冷たい！ さくらちゃんまで無言！」

「あはは、智くんかーわいい」

「だろ☆」

「座って食うぞ」

「はいはい、史人先生〜」

お、購買のパンって案外うまい。