第40話

「ふーくん、聞いて〜」

「お? どうした?」

登校中にさくらが何やら嬉しそうに話しかけてきた。かわいい。

「あのね! なんと〜」

「なんだよ」

めっちゃ楽しそう。かわいい。

「さくら彼氏できたー!!」

めっちゃ元気。かわいい…え?

「え!?」

「彼氏できたんだ〜」

「う、嘘だろ?」

待て待て待て。この長い片想い生活に疲れて悪い夢でも見ているんじゃないか…? さくらに彼氏…? 嘘だと信じたい、夢なら覚めてくれ!!

「ほんとだよ〜、かっこよくて面白い人なんだ〜」

「へ、へぇー。誰だよ」

「ふーくんは知らない人ー! 今度紹介してあげるって〜」

え。まじなの。めっちゃ嬉しそうじゃん。俺、もう帰っていい? 学校で普通にできないって…。

「楽しみに…してる」

「もっと驚くと思ったのに〜、まぁ今度一緒に遊ぼう!」

もうすぐ学校。ねぇ、帰っていい?


「史人ー、元気なくね?」

何も知らず、智が近づいてきました。

「彼氏…できた」

「え? お前彼氏できたん? おめでと…??」

「俺じゃない、さくら」

「えー!? マジで言ってんの!?」

「うん。朝聞いた」

「マジかぁ。あ、あー。なるほど」

「なんだよ」

「いや、元気出せって。諦めないで告白でもしちゃえば?」

「のんきかよ…。はぁ、帰りてぇ」


「ふーくん、帰ろ!」

彼氏と帰ればいいじゃないですか。あぁ、この学校じゃないんですか。なるほどね。どこで会ったんだか。そんな人、俺は許さんぞ。って俺はもう関係ないか。はぁ。

「おぅ、帰るか。ってか彼氏いるのに男と帰っていいの?」

やべ、当たっちまった。でも普通に疑問。

「あー! あれ! エイプリルフールだよ!!」

はいはい。エイプリルフールね。

「エイプリルフール!?」

「ごめん、ネタバラシ忘れてた〜! そんなに信じてたとは! 彼氏できてないよ。彼氏できた報告してみたかったんだもん」

なんだよ、1日悩んだじゃねぇか!! 嬉しいわ! もう好きだって言ってやろうか! はいはい、言えませんよ。どうせチキンですよ!

「なんだよ、信じたわ。まぁなら帰るか」

「驚いた? 騙してごめんって〜。待って待ってー」


驚いたわ、ばか!


*4月1日に学校って珍しいかもですが、フィクションなので大目に見て下さい☆

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