第6話 とある書店で見かけた物

 この街を見て、歩いている人は平和で笑みをこぼしてる。

 まぁ、この地は各国が裏で不戦条約を結んでいるので、心置きなく満喫出来る観光地。

 日常を忘れ、一時の休息、観光を楽しめる。

 ある店の行列を見て、店の戦略状況が伺える。

 

「へー、先月異国服美人アンケートの上位者数名が接客してくれるなんて、考えたな」 


 旅行者達が多いので、看板に堂々とランキング何位と書いて発表している。


 並んでいるのはほぼ男性だが、一部女性も含んでいる。異国の服は様々だが、かなり凝っている物もあり、興味が湧く。


 こういった様々なイベントが毎月、行われいるので飽きない。


 旅行者が多いせいか、喧嘩や問題も尽きない。

 まぁ、これも日常茶飯事なんだが。



「おうおう! この俺様が誰か知っての事か! 知らずに喧嘩を売るとは身の程を知らんと見える

!」

「てめぇこそ、俺とやろうってのか? ぶっ倒すぞ!?」


 どこにでもいるガラが悪い二人の男。

 この街の中央道路。かなりの幅の道路とはいえ、ここで喧嘩なんて売名行為のようなもの。


 十分もしないうちに、警備兵に連行される。

 が、この観光地は違う。

 連行先は闘技場。そこで賭けの対象される。

 闘技場も様々な戦いをも用意されている。

 

 あの二人はどんな戦いで決着させられるのだろう?


「前回は大食いでの戦いだったかな? 腕相撲だったかな? まぁ、命の取り合いは極力無いのが救いだな」


 決闘なら仕方ないけど。それ以外なら平和的に試合が行われる。

 闘技場の中に一般人立入禁止で区切られた場所がある。そこで決闘が行われる。

 勿論、立会人が決められている。

 滅多に決闘が行われないけど。

 観光地だけに殺伐とした事は見せられない。


「そう言えば、アメリアは何処へ行ったのかな?」


 まぁ、落ち込んでるなら慰めるけど。

 今のアメリアの性格だと、どうだろう?

 会ってみないとわからないか。


「待たせたわね」


 待ち合わせ場所で会ったアメリアが、髪を切っていた。


「どうした? あの長い髪が」

「うん。ちょっとね気分転換で、似合う?」

「似合うけど、良かったのか?」

「うん。これからだから」


 何かを決めた瞳をしているアメリア。


「ねぇ、私負けた。結構自信あったの。でもあれは規格外だった。あそこまで強くなれるのかしら?」

「あ〜、それは本人の素質と努力じゃないか」

「素質と努力?」

「俺の概念では素質ってのは、自分がどこまで出来るかを知る事から始まる。努力はそこから目標を定め超える為に継続する事。

 その繰り返しで、今まで培ったモノが発揮した時が才能だと思ってる」


 まずはどんな時も知る事が、その一歩。

 1日一歩でもいい。1日一つ知って前に進め。

 全ては前に進んでいる。

 時間も人も知識も技術もモノも、後ろに進むモノ無し。

 

「そうだな。…………………アメリアは何が知りたい? 強さか?知識か? それ以外の何か?」

「そう。なら私を教えて」

「アメリアを?」


 どういう意味だろう。俺からの私見なのか?


「そうだな…… 俺の私見でまず美人だな。可愛いってよりは美人だと思う。ぶっちゃけ身体は良い育ちしてる。強さに関してはまだまだって事。真面目で勉強家で行動力があり、覚悟決めて結婚までする。自国思いがあるが偏りがあるところだな」


 前世の俺達が作ったこのゲームの世界。シナリオがあったはずが、俺が転生して変わった世界。

 アメリアがここまで変わって、いや他の人達も俺が変えたのだろう。

 たぶん、俺もこれから変わっていく。 

 

「まだまだか。世界は広いのね」

「金言を一つ。強さには限界、制限がある。強くあれには限界、制限もない。ようは心意気次第って事」


 強さにはいろんな要素がある。肉体的、技術的、知識的、精神的には限界があるし、必ず来る。制限には己の立場や出来る範囲の制限がある。


 "強くあれ"には限界も制限もない。

 

「強くあれか。 良い言葉ね」

「自分の未来は自分にしか開けないように、何事も一つ一つずつ進む事だと思う」

「うん。わかった。何を知ったら良い?」

「せっかく此処に来てるんだ。いろんな物を見て、これだ!と思う事を探すか」



 そう、考えているいと、一軒の書店を見つけた。


「お、今はでもあの小説が売れているのか!」


 『真珠夫妻物語』 作者シノノメ・サクラ

 

 この物語はベストセラーとして有名な本。

 演劇にもなっており、貴族や一般人でも知っている。海外でも知名度が高く評価されていると聞いている。 


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