第14-1話 Aブロック─白山チームVS荒々義チーム
一回戦、Aグループは対照的なチーム同士での模擬戦となった。
チーム
「準備運動がてら軽く捻るかなぁ?」
所属兵科は
「ちょっと~、相手が可哀想でしょ~?」
取り巻きの、
腰まで伸びた髪金色の髪。元の髪色は黒だが、自分で茶色よりの金色にしている為、正直綺麗とは言い難い。だが、顔立ちもよく芸能事務所にスカウトされたこともある程だ。まあ断った様だが。
所属兵科は
対するチーム
「はぁ、試合開始前だと言うのに……相変わらず五月蝿い二人だ」
上縁の少し赤いカラーリングの、四角いタイプの眼鏡をかけ、七三分けの黒髪。
所属兵科は
「全く、その通りです。そろそろ痛い目に会って貰いたい所ですね」
髪型は肩にかかるくらいのセミロングで、黒髪ではあるがインナーカラーに緑色を入れている。
所属兵科は
両者共、演習場ステージに立ち各々武器を手に持ち、相手の様子を伺う。男性教員はステージ端に立ち、精神置換想置を起動させる。
ステージの中心が輝きだして、そこから光の球体が浮かび上がり、天井に設置してある丸みを帯びた機械にはまり、それを中心にドーム型にステージを囲うように、ほぼ透明に近い物を展開させ、ステージと観客席を隔離する。
「正反対の二組での対決か。なかなか面白そうだな」
客席で
「そうだね。どっちのチームも実力自体はかなりの物だよ」
隣に座る
「両者、構え!!」
男性教員の合図に、四人は武器を自分達の型に合わせて構える。
対する
両者互いに見つめ合い、威圧し合う。その場に緊張が走り、先走るかのように魔力が身体から漏れ出る。
男性教員は手を上に掲げ、素早く下ろして試合開始の合図を出す。
「始めえぇ!!」
合図と同時に
「守り護りて刃を絶て。紡ぐは光の一筋、それは次第に強大な光となる───魔術【
眼前ギリギリで展開が完了し、弾丸が光輝く壁にめり込み、包み込まれて魔力で形成された炎が空中に散布し、魔力が空になった弾丸は重力に従って地面に落下し、カランカランッと音を立てて、その場に転がる。
魔術の展開が間に合ったのは、魔弾は通常の弾丸より威力など能力面が勝っている代わりに、射出速度など速度面が弱い。その為、詠唱が完了し、防御に成功した訳だ。───無論、速度をカバーする魔弾や魔力コントロールもあるにはあるが。
刻まれた術式は次第に光を帯び、刀身にその光が到達した時、技式が完成する。
「まずはこれで様子見させてもらう。槍剣技式【
それに対して
「拳岩技式【
魔力で形成された紫電を纏い、反撃を始める。突き出され、迫り来る刃を右腕を突き出すことで、勢いを相殺し、七連撃目を左腕の突きで弾き返す。甲高い金属音が火花を散らし、魔力を空中に粒子へと還して、八連撃、九連撃と体をボクシングを彷彿とさせる動きで避けていく。
最後の十連撃目を、左手で下段から上段へと刀身にアッパーを繰り出して、上へと弾き返す。
「ブッ飛ばすぜ!!」
「───ック!」
顔を上げて、仁王立ちをして、彼を今か今かと待ちわびている
「どうだ!俺の一撃は!?」
興奮覚めやらぬ勢いで、
「久々に貰ったけど、やっぱり痛いよ!」
そう返して、彼は
一方、女性陣は───。
ダダダダダッと
「このままじゃ埒が明かない。……よし」
彼女は走りながら本を広げ、術式を指でなぞり【
「天より闇を照らす粛清の光よ、正義の名の元に悪を打つ雨を降らせよ!【
詠唱が完了し、天井スレスレの位置に魔方陣が形成され、光の矢が
「は、反則でしょ!あんなの!?」
射つのを止め、天井を見上げて驚愕の声をあげる。
彼女に防御はできず、もろにその攻撃を食らうことになった。ズガガガガッと大きな音を立て、地面を抉る勢いで降り注ぐ。辺りに煙が立ち込め、その衝撃は交戦中の男性陣二人の元まで届き、風は二人の髪を撫でる。
煙は徐々に晴れていき、その全貌が見え始める。
高等部になるまでは、親や習い事でない限り、ここまでの戦闘経験は積めない。その為、かなり舐めてかかっていた彼女には、現実を突きつけられ、若干の落胆も見られる。
「痛い、痛い~!!ちょー血ぃで出るんですけどぉ!?」
精神的ダメージに変換されるとは言っても、許容を越えれば血は出るし、気絶もする。彼女はそれすら知らなかったのだ。
「私もう無理ぃー!!降参、降参!!」
彼女はそう言って、控え室に向かう通路に消えていった。
火花を散らしながら、激しいぶつかり合いを繰り広げていた。技式を使わず、互いの技量での勝負。避けては打つ、防いでは打つの繰り返し。
対して
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます