第7話 襲来
ビイィィィィィッ!とけたたましく響き渡る警報アラーム。一気に緊迫した空気へと一変する。
『緊急事態発生、校内に【領界種】の侵入を確認しました。教員は直ちに生徒の避難を完了させ、軍の到着まで死守してください。繰り返します───』
「もうここまで侵攻が進んでたなんて……兎に角、地下シェルターに移動します。くれぐれもはぐれないように!」
地下シェルター、正式名称【地下防都領想区域】。ここは地下鉄も通過するほどに発展している、第二の都市。地上を放棄しなくてはならなくなった時に備えて、約20年前から全世界が開拓に力を入れている。食糧、住居、整備された道、移動手段など今ではかなり整ってきている。地下鉄の改札口から出入りができるので対策は万全と言えるだろう。
入り口を出ていざ動く歩道に乗ろうと思ったが、扉の先は人で詰めに詰め込まれ、本当に稼働しているのかすら怪しいほどだった。
───おいおい、これは設計ミスだろ
───さ、流石にこれは別で通路を作った方がいいんじゃないかな……
───っあ、ちょっと身動きが……あぁぁぁぁぁ…………
「っと、危ない危ない。捕まっとけ」
「あ、危なかった……ありがとう、八坂君」
彼も彼でそういったことには意外と疎い為気付いてすらいない。
「全く、気をつけてよ?
気の抜けた声で
「う、うん、気を付けます……」
───あ、足が取られて……動けない……
「おっと、大丈夫かい?
「ええ、大丈夫よ。ありがとう」
───バァァァァァァッッ!!!
通路の外側から防音を突き破るほどの咆哮が校舎を揺らす。ぐらぐらとまるで地震でも発生しているのかと錯覚してしまうほどの揺れ。
───……近いな。まさかとは思うが、壁突き破って来たりしないよな?……これフラグか
ようやく演習場の出入り口が見える所まで人が進み比較的歩きやすくなっていた。
「なあ、
「いや、そういう授業は高等部からだよ。だから殆どの人は未経験だね」
その返答に
刹那、前方から大きな崩落音が鳴り響く。通路の右側の壁が物の見事に破壊され、数名の生徒がその勢いで壁に吹き飛ばされる。あちこちで絶望した悲鳴が走り、現れた化け物の咆哮によって打ち消された。
───バァァァァァァァァァァッッ!!!
再び校舎を揺らす。鮮明な声と共に。崩壊した穴から現れた巨体には手の代わりにハサミがついており蟹を連想させる面立ちだった。全身が硬く黒い鎧の様な甲羅を身に纏い、暴君の様に暴れる。
「な、なんであれがここに!?」
「
【星座級】。【領界種】や【魔物】にも序列が存在し闘級が制定されている。その中でも高い序列に位置する闘級、それが【星座級】。その殆どが、SSS中A+以上と化け物揃い。星座に
「そんな怪物がなんで、こんなとこにいんだよ!!」
化け物は顔を左に旋回させ、
───間に合え……!!!
「想いを司す不滅の誓いよ、汝を護る盾となれ───
想いを乗せた言葉を紡ぐ。ありったけのエーテルを込めて。
「早く壁に穴開けて外に出ろ…………そんなに長くは、持たねぇ……!!」
「わかった!」
「
左側の壁に向けて業を放つ。剣先が突き刺さった箇所から皹が広がり、やがて広範囲に。壁はバラバラになり外へと吹き飛ぶ。
ミシミシと音を上げながら次第に皹が広がっていく。
「───ッグァ!!ッッグホォア!!」
パリンッと盾が弾けて砕け、咆哮の風圧で奥に飛ばされ演習場の壁に激突する。
───くっそ…………さっきの傷がッ!
左手で腹部を押さえながら剣を杖のように使って立ち上がる。そのまま黒剣にエーテルを込め業を出す。
「【
「こっちだ
「おう!」
走ってそこまで移動し、剣を構え直す。領界種は壁を突き破り
「
「わかってるよ!」
エーテルを剣に流し次なる業を整える。
「支援するよ!
【
「
「
ワンテンポ遅れて
やつが右腕を唸らせ氷継へと一直線に走らせる。エーテルが込められた一撃を五連撃の突きで防ぎ、そのまま懐に飛び込んでニ連撃を食らわせる。隙が生じた
寸のところで
やつはその猛攻に一瞬怯みそのまま後ろに下がった。大きな咆哮を上げ両腕を前に突き出した。
───な、なんだ?何が来る!?
突き出した両腕に周囲に漂うエーテルが集い、膨張していく。大きく、大きく膨れ上がり一つのエネルギー体として放出される。
「ッ!?
「
「くっそ!!どうにでもなりやがれぇ!!想いを司す不滅の誓いよ、汝を護る刃となれぇ!!
その言葉と共に
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