第403話

Mei.side



昨日は水希と幸せなクリスマスを過ごして楽しい1日になるはずだった。

だけど、優香に久しぶりに会って私の胸はギュッと苦しくなり不安になる。

優香は中学時代のクラスメイトで良い子なんだけど猪突猛進な所があってそれでトラブルになったことがあったからだ。


相手に彼女がいても好きになったら気持ちを伝える。別に奪おうとしてるわけではない。

優香は気持ちを伝えないまま諦めるのが嫌で、振られるのが前提で気持ちを伝える。

だけど、彼女の立場からしたら優香みたいな子は敵だ。可愛さとあざとさがある優香はクラスメイトの女子から距離を取られていた。


そんな中、私は優香と仲が良かった。一度も人を好きになったことがない私は周りの気持ちが分からず、ただ優香は話しやすいし面白い子だから仲良くしていた。

でも、今は違う。初めて好きな人ができ大好きな恋人ができて、やっと優香を苦手としていた人の気持ちが分かった。


水希を絶対に優香に会わせたくない。優香が水希に出会ったらと考えると怖くて、水希が浮気なんて絶対にしないと分かっているけど嫌な気持ちになる。

自分の恋人にアプローチをかける人を快く思わないのは当然であり不快になる。


なのに、優香は水希と出会い、、まさか文化祭でのライブ映像を見ていたとは思わなくてハラハラした。歌っている水希はめちゃくちゃカッコよくて輝いている。

水希がライブで歌っていたボーカルと気付き、優香の声色が変わったことに気づいた私は水希と優香を引き離した。



優香は私と水希の邪魔をする、身勝手に間に入ろうとする私を不快にする人。



心が濁っていく。仲が良かった友達が、今は好きじゃない。苦手意識しかなく、私に近寄らないで欲しいと思うなんて酷い奴だね。

でもね、嫌なものは嫌なの。優香を知ってるからこそ水希に手を出すと分かっている人を好きになれるはずがない。


優香と離れても私の心はざわざわとし水希に抱きしめられてやっと落ち着いたけど、まだ不安は残る。

この温もりを誰にも渡したくなくて、私はこんなにも醜いのかと思い知った。でも、優香が私の気持ちも知らずに自分の気持ちを押し付けてくるから優香も悪い。


水希のことを知りたいと、もう一度会いたいと水希の恋人である私にお願いしてくる。

私は優香のことを無視をした。こんなこと初めてのことで心がズキっと痛んだけど黒い私が私を動かしていく。

もし、偽善で水希を紹介をしたら後悔する。優香はきっと水希が私の恋人だと言っても間に入り込もうとするから嫌なの。



実際に優香は友達の彼氏を奪った…



この場合、誰が悪いの?ってなったとき難しい。勿論、側から見たら優香は悪者だ。

でも、優香を選んだのは友達の彼氏。その人は優香を選び、恋人である人を捨てた。

私が恋を知らなかったら一番の悪者は彼氏と思う。だけど、恋を知った私は優香が一番の悪者だと認識する。人のものを取った盗人。


朝からのモヤモヤが残ったまま私はマネージャーの仕事に専念する。水希が走っている姿を見ながら私も一緒に頑張っていた。

でも、また優香からLINEが来てイラつく。そして見なきゃ良かったと後悔する。

LINEには私の高校に来ていると書いてあった。優香は水希が陸上部だと知っている。


陸上部の見学をしてもいいと思う?と書いてあり、私は校門まで走った。

優香は私が陸上部のマネージャーだと知らない。だったらマネージャーとして優香を排除する。他校生は入っちゃいけないことになってるし、私は正当な権利を行うだけ。


でも、また後悔をする。無視し続けたら良かったと。笑顔で私の名前を呼ぶ優香は私を見つけるなり「良かった〜」と喜ぶ。

そして、水希がいるか確認してくる。私の部活が何なのか聞いてくる。全部優香のための言葉でイラつきが止まらない。


水希は女の子なのに、水希のこと何も知らないくせに「水希ちゃんってカッコいいよね」とヘラヘラと言ってくる。

私がどれだけ水希への気持ちに悩んだか、苦しんだか分かっていない。

男の人が好きなくせに付き合ってたくせに!何で女の子の水希に手を出そうとするの?


だから冷たい言い方で「水希は恋人いるから」と言った。でも、優香は「そうなんだ」「水希ちゃん、モテそうだもんね」「彼氏カッコいい人?」って言い、優香が水希を恋愛対象としてみてないと知る。

これは私の油断だ。私も最初は水希のこと友達としてみていた。でも水希を知り、いつのまにか恋愛対象として本気で好きになった。


安心してしまった私はガードを緩める。優香に隅っこで見学だったらいいよと伝えた。

知り合いになるぐらいだったら大丈夫と油断した。優香の恋愛対象は男性だと安心してしまった。私だって水希と出会うまではそうだったのに。馬鹿だよね。

優香を中に入れ、私はすぐに後悔をする。自分自身の恋愛を思い出し…ハッとして水希を探す優香を見て不安に襲われる。

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