第370話
Nao side.02
水希のことは一旦・置・い・と・い・て、ひかるちゃんの話に戻りましょう。
さっきまで大雨だったのに、みんながびっくりした瞬間雨が止んだ。芽衣ちゃんの発言に神様も驚いたのかもしれない。
「えっと///…頑張ります。待ってるだけじゃダメですよね。自分から動いてみます」
ひかるちゃんは本当に良い子だ。健気で朝倉さんを悪く言わず、自分の魅力を疑った。
もしかしたら、朝倉さんはひかるちゃんの可愛さに気後れしているのかもしれない。
文化祭以来、ひかるちゃんの人気はうなぎ上りみたいだし、恋人が可愛すぎると手を出しにくい。自分でいいのかと自分を卑下する。
「ひかるちゃんってキスは初めて〜?」
みんなで一息つき、喉を潤すためそれぞれの飲み物を飲んでいたら、まさかの恭子から驚愕の言葉が放たれみんな絶句する。
えっ、恭子はひかるちゃんと水希のキスの件を知らないの?でも、知っていたら芽衣ちゃんがいる場でこんな発言は出ないはずだ。
「恭子…トイレに行かない?」
「えー、まだいいよ」
流石の私でも血の気が引く。唯一、佐々木さんは恭子同様キスの件を知らないみたいで、みんなの顔を見て戸惑っている。でも、何かあると気づいたみたいだ。
「高瀬先輩…大丈夫です」
芽衣ちゃんにトーンの低い声で大丈夫ですと言われても大丈夫ではない。やっと恭子は芽衣ちゃんの反応で気づいたみたいだ。
ひかるちゃんのファーストキスが水希だと。佐々木さんも気づいたみたいで驚いている。
「みんな、飲み物のお代わり注いでくるわね!何がいい?ほら、恭子も手伝って!」
「はい!手伝います!」
みんなの飲み物を注ぎながら、私は恭子に怒った。知らなかったみたいだけどタイミングが悪い。チラッと振り向くとみんなの上に雨雲があり私達のテーブルだけ暗く感じる。
「水希め!ひかるちゃんとキスしてたなんて聞いてないよ」
「まぁ…色々とあったのよ。それに、水希と芽衣ちゃんが付き合う前だから浮気とかじゃないし、、だから責めないであげて」
「そっか…でも、驚いた。まさかだったから。もしかして、朝倉さんはひかるちゃんのファーストキスが水希だからなかなか出来ないのかな?水希に負けた気がして」
そうかもしれない。朝倉さんは水希と比べられるのが嫌なのかもしれない。それに、ひかるちゃんから水希にキスをしているし。
一度深呼吸をして私達は飲み物を持ってテーブルに戻る。今回のみんなの飲み物は烏龍茶で、みんな緊張で喉がカラカラみたいだ。
「飲み物…ありがとうございます」
「何か頼む?あっ、ケーキ美味しいよ。ケーキを頼みましょう」
テンションの低い後輩ちゃんのために私は店員さんを呼び、みんなの分のケーキを注文する。甘い物を食べて気を落ち着かせたい。
恭子は場を盛り上げるため、今ハマっている韓国ドラマについて話し始めた。ドロドロの三角関係の話で何でこうもタイミングの悪い内容のドラマにハマっているのと文句を言いたくなってきた。
「韓国ドラマ…ドロドロで面白いよね。ごめんなさい、、次は青春映画を見ます」
「今度、私のお勧めのホラー映画を貸してあげる。恭子、ちゃんと見てね!」
「やだー!ホラー映画嫌い!菜穂、知ってるくせに…私が怖がりなの」
「ふふふ」
あっ、私達のやりとりにみんなが笑ってくれた。良かった…はぁ、異常に疲れる。
「あの、次は私の相談いいですか…?」
「勿論!未来ちゃん、どうしたの?」
未来ちゃんが手を挙げて、場の空気を変えてくれた。私は未来ちゃんに感謝をする。
過去は変えられないし、過去がバレた時の気まずさが最強にキツすぎる。
「私と田村さんは付き合って約1年ぐらいで、この前大喧嘩をしました。喧嘩の原因は爽子…田村さんの遅刻が原因です。付き合って長いので慣れが出てきたんだと思います。でも、3時間も遅刻してヘラヘラされてすっごくムカついて久しぶりに切れました。今はちゃんと仲直りしましたが…その、田村さんが変なんです。急にその、、優しくなったというか。元々、優しいですが変な優しさで」
「えっ、変な優しさって何〜?」
恭子は前回の【高瀬水希について集まる会】に出席しているから私が田村さんへしたアドバイスを知っている。だから、私も恭子も頭に?マークが浮かぶ。変な優しさとは…。
「田村さんが私の鞄を持ったり、常に可愛いって褒めてくれたり…誕生日でもないのに欲しい物はないかって聞いてきたりするんです。だから、浮気をして…私に懺悔のつもりで優しくしているんじゃないかと思ってて」
はぁ、、、、何でこうなるかな。だけど、そもそもなんだ。田村さんが水希みたいな優しさを急にすると未来ちゃん側からすると異様さを感じ疑いたくなる。
なぜいつもと違う優しさで接してくるのか、そんなの不安になるのは当たり前だ。
水希と田村さんは違う。私は水希がしている優しさを田村さんがそのままするとは思っていなかった。私は水希の優しさを見習って未来ちゃんを大事にするんだよって意味で言ったけど言葉の難しさを感じる。
アドバイスって難しい。私のアドバイスのせいで思っても見なかった方向へ行き、私はため息を吐いた。流石に疲れた。
そんな時、また芽衣ちゃんがまさかの言葉をを言う。流石、水希の恋人だ。肝が据わっているし、どぎつい事をぶち込んでくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます