第353話

コツコツと毎日勉強する。私は一夜漬けが向いておらず、毎日晴菜さんに丸を付けて貰った箇所を繰り返し勉強する。

私には最強の家庭教師の晴菜さんがいる。晴菜さんはお姉ちゃんの家庭教師だけど、試験の時は私にも教えくれ有難い。


晴菜さんのお陰で成績が上がり、来年は私も晴菜さんに週2でお願いする予定だ。

今日も晴菜さんを家まで送るため、私は自転車の鍵をポケットに入れる。

もうすぐ二階のお姉ちゃんの部屋のドアが開き、お姉ちゃんと晴菜さんが出てくる。


晴菜さんは私が一番尊敬する人で、夢を叶えた晴菜さんに憧れている。

希望していた就職先にほぼ内定が決まり、数年後には晴菜さんは海外を飛び回る。

羨ましい、夢を叶えた晴菜さんがカッコよく私もいつか海外に行ってみたい。


私は一度も海外に行ったことがなく、ずっと知らない世界に憧れている。

私も晴菜さんみたいになりたい…世界を見て回りたい。知らない世界を想像するだけで夢が広がりワクワクする。



「水希、終わったよー」


「はーい」



日に日に綺麗になっていく晴菜さん。21歳の晴菜さんはやっぱり大人で私とは大違いだ。

私も晴菜さんみたいな大人になれるだろうか?一歩ずつでいいから近づきたい。

私は晴菜さんを家まで送る時間が好きで、、恋愛感情とかない!断じてない!


ただ、年上の人と話すのが楽しくて、晴菜さんは考えがしっかりしており夢を持っている。夢のために勉強を頑張り、ダラダラとしていた私を変えてくれた。

お姉ちゃんも晴菜さんに影響されている。海外に憧れを抱き、大学に入ったら英会話教室に通う予定で空を飛び回りたいらしい。


姉妹揃って海外志向が強くなり、影響されやすいね。でも、夢は大きく持ちたい。

いつか、海外に住みたいし…その時、芽衣は付いてきてくれるかな?今は私の願望でしかないけど実現はさせたい。

芽衣と晴菜さんのお陰で空は広く大きいと実感できて大好きになったから。



「水希ちゃん、文化祭のライブ映像見たよ。カッコ良かった。あー、行きたかったな」


「私も見にきて欲しかったです」


「インターンさえって、思っちゃダメだけど残念。あっ、モテ女コンテスト優勝おめでとう。あと、告白大会も良かったよ」


「やめて下さいよ///恥ずかしいー」



きっちりきっかり文化祭のイベントは撮影され、学校のHPに載っており来れなかった家族に好評だ。お陰で晴菜さんも見れた。



「水希ちゃんって凄いよね。生徒会長だし、みんなに人気があって」


「そんなことないです」


「水希ちゃんは周りの人を惹きつける魅力があって、何より優しいから周りの人達が自然と集まるんだろうな」



晴菜さんはこうやっていつも褒めてくれるけど、私に魅力があるのかと考えるけどない気がする。平々凡々で…取り柄もないし。



「ふふ、眉間に皺がよってる。でも、それで良いと思うよ。水希ちゃんは自然体でいて欲しいから自分の魅力に気づかない方がいい」


「難しいですー」



二学期の中間試験が終わると私の誕生日が来る。と言っても1ヶ月後だけど、17歳になる私はどんな未来を過ごすだろう?

隣に芽衣がいて、ごんちゃんやひかる、さわちんがいるとは思うけど来年の18歳になる頃にはお姉ちゃん達はいない。


未来に進むにつれ別れと出会いがあり、人は強くなる。もう外は暗いから黄昏れる感じではないけど寂しくなった。

晴菜さんも二年後には社会人になり、私とより差がつく。縮まらない歳の差は受け入れるしかなく、だからこそ出会えた奇跡を大切にしないといけない。


まだまだ、お姉ちゃん達や晴菜さんと過ごせる時間は沢山あるのに今からしんみりしてもダメだと顔を叩いた。



「どうしたの?悩みごと?」


「あっ、いえ。未来のことを考えたら急に寂しくなっちゃって」


「私はね、未来が楽しみなんだ。どんな知らない世界を見れるかが楽しみで、ワクワクする。それに、未来でもみんなとの仲は変わらないって思ってるし」


「そうですね。私も未来が楽しみです!」



未来のために勉強を頑張ろう。一気にやる気が出てきた私は晴菜さんを送った後、集中して中間試験に向けて勉強する。

私の学力ではまだ東條大学にはいけない。大学入試まで約1年半…今が頑張りどきだ。


恋に学業に部活にバイトに、やることが多く毎日があっという間だけど毎日が楽しい。

これも青春だね。楽しい高校生活を過ごせるのは私が毎日青春をしているからだ。

楽しくて、めちゃくちゃ楽しい!

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