第342話
着慣れない服を着ると肩が凝る。早く制服に着替えたいけど、せっかくだからとみんなで写真を沢山撮った。
ひかるを真ん中にし笑顔で写真を撮っていると芽衣達が会いに来てくれて、、嬉しいけど芽衣やさわちんの眉間に皺が寄っている。
これは怒られるパターン?でも、さっきの告白はイベントのショーであり文化祭を盛り上げるためのものだ。
それに相手役にひかるを選んだのはごんちゃんを懲らしめるためのもので…私は「ごめんなさい!」と速攻謝った。
「水希、私も写真撮りたい」
「えっ…うん!写真撮ろう!」
「水希、カッコよかったよ」
「へへ、ありがとう〜」
芽衣に怒られずに済んだ。さわちんは相変わらず眉間に皺が寄ってるけど、カメラマン役をやってくれた。
どうも、さわちんの怒っている理由はひかるに対しての告白の私のチャラさと未来ちゃんが私に対してキャーキャー言っていたことがムカついたらしい。
でも、さわちんは態度には出てたけど怒らずにいてくれた。みんなの成長を感じる。
未来ちゃんがみんなと写真を撮りたいと言っても渋々写真を撮るさわちんは偉い。
ただ、佐藤先輩が膝をついて未来ちゃんに愛の告白をするシーンの写真を撮る時は流石に怒ってたけど十分成長している。
「あれ、ごんちゃんは?」
「あっ…急にいなくなって。電話しても繋がらないの」
私と芽衣の会話を聞いたひかるが不安そうな顔をする。ごんちゃんはどこに行ったのだろう、もしかして怒ってるのかな。
「まぁ、仕方ないわね。朝倉さんをしばらく一人にしてあげなさい。心が落ち着くまで誰とも会いたくないと思うし」
「えっ、お姉ちゃん何で」
「当たり前でしょ。あんな告白を見せつけられたら心が折れるわよ。優希や佐々木さんの告白はイベント感があって良かったけど、水希の告白はリアルすぎるしお客さんの反応みたら分かるでしょ。朝倉さんからしたらかなり悔しかったと思う。
芽衣ちゃんは水希と長い付き合いだから水希のタラシぶりをちゃんと理解していて我慢できたけど、朝倉さんとひかるちゃんはまだ日が浅いし相手が水希だとムカつくのよ」
お姉ちゃんに長々と根本は私が悪いと言われ凹む。みんな、私に敵対心を持つのはなぜなのと言いたい。私は何もしてないのに。
「水希の告白を我慢した芽衣は偉いよ。私だったら水希を叩いてる」
「さわちん暴力反対!」
「水希には後でお仕置きはするよ」
「えー…芽衣、そんな」
芽衣が叩かないから安心していたのに、結局はお仕置きされることが判明した。
私はお仕置きから逃れられない宿命らしい。
「あの、、私、やっぱりまーちゃんを探しに行きます。心配なので」
「じゃ、水希と探しに行った方がいいわね」
「えっ…私が一緒に探しに行ったら余計に拗れない?」
「拗れるからいいのよ。水希、朝倉さんに叩かれてきなさい。ヒール役に徹するの」
お姉ちゃんが唐突に酷いことを言う。ヒール役って、私は何もしてないのに叩かれるなんて余りにも可哀想な役回りだ。
なのに、周りのみんなは頑張ってと言う。
「お姉ちゃん、叩かれるの嫌だよー」
「元々、朝倉さんを懲らしめたいと言ったのは水希なんだから最後までやりなさい」
「だって…ひかるを蔑ろにするから」
「だったら、水希が朝倉さんにその言葉を伝えなさい。私が水希に散々言ったように言葉にして言わないと自覚しない時があるの」
私は散々お姉ちゃんに自分の愚かさを厳しく怒られ、やっと今は自覚して反省している。
まさか、自分がお姉ちゃんの役をするとは思わなかったけど、ひかるの為に頑張ろう。
「ひかる、ごんちゃんを探しに行こう」
「あっ、芽衣ちゃんと田村さん達も後ろからこっそりついて行ってね。本当に水希が朝倉さんに殴られたら大変だから」
「さわちん、絶対に止めてね!」
「うーん、頑張る」
ごんちゃんは普段は明るくて、おちゃらけていて優しい。だけど、ひかるのことになると手をクロスにして飛びついて来るから危ない。
私はビクビクしながらごんちゃんを探した。ひかると思い当たる場所に行き、やっと見つけた。ごんちゃんは下を向いて体育座りしており、後ろ姿に哀愁を感じる。
「まーちゃん…」
「えっ、ひかるちゃん!、、と水希」
「ごんちゃん、何で電話に出ないの?」
「うるさい…何で水希がいるの」
「ひかるがナンパされないようにボディーガードしてる」
「水希の方が危ないし…」
ごんちゃんの言葉に棘を感じる。それに私の方が危ないって、私が芽衣にぞっこんなの知ってるくせに、、恋は盲目にさせるね。
そんな盲目野郎のごんちゃんは私に苛立ちをぶつけてくる。普段怒らない人が怒ると大変だ、周りが見えなくなってしまう。
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