第303話
私は毎日走り込みをし、部活に集中した日々を送っている。もうすぐ陸上の地区大会があり、出場するメンバーを決めることになっていた。
だけど、私と同じ短距離の選手層が厚く同じ学年の選手が強すぎる。
そして、未だに真里ちゃんと朱音ちゃんが仲直りしていない。いつまで喧嘩をするのだろう、このままじゃ何も進まない気がする。
そんなことをことを思っていると、大抵波乱が起きる。それにいつも巻き込まれるのが私だ。今は部活に集中したいのに…。
「先輩…もう朱音とは無理です」
「えっ、真里ちゃんどうしたの?」
走り込みをした後、クールダウンをする為蛇口がある場所は向かう。顔を洗いたかった。
タオルで顔を拭いた後、もう一踏ん張りと気合を入れていると手首を怪我した真里ちゃんが走ってきて泣きつかれて驚いた。
「手首、大丈夫?」
「はい、、部活に集中出来なくて怪我しちゃいました」
「どうしたの?もしかして、朱音ちゃんのことで集中出来ないの?」
「この前、友達の志穂と遊んでいたら朱音と会って…紹介したら睨まれて無視される様になりました」
「あー、真里ちゃんとキスした子か」
「志穂とは別に…本当に友達なんです」
「でも、キスしたよね」
「あれは、遊びで…」
「本当に?志穂ちゃんにキスの意味を聞いたの?」
困った顔をする真里ちゃん。だけど、そろそろちゃんと決着をつけたほうがいい。長引けば長引くほど喧嘩は拗らせ悪い方にいく。
「志穂には彼氏がいます」
「えっ、そうなの?朱音ちゃんにそのこと伝えた?」
「言いました…だけど、キスしたことが許せないって言われて」
「そういえば、どんな流れでキスしたの?」
「一緒に恋愛映画見てて…横を向いたらいきなりキスされました」
「ロマンティックだね〜。映画のワンシーンみたい」
「先輩…そんなんじゃないです」
うーん、志穂ちゃんには彼氏がいるみたいだけど真里ちゃんにキスした意図が分からないから難しい。冗談(遊び)でしたのか、本気出したのかどっちなのか分かりづらい。
真里ちゃんは同性にモテるタイプだ。だから、もしかしてが拭きれない。
「志穂ちゃんはファーストキスは経験済みなのかな?」
「私が初めてって…言ってました」
「彼氏がいるのに、真里ちゃんにファーストキスをあげたんだ」
真里ちゃんが私の言葉で落ち込んでいく。真里ちゃんも困惑しているのだろう。何で彼氏がいるのに自分とキスをしたのか分からないから。それも、ファーストキスなのに。
私の直感だとこれ以上志穂ちゃんには踏み込まない方がいい。きっともっと拗れるだろう。志穂ちゃんもこれ以上の関係を望んでないだろうし、思い出が欲しかったのかな。
決別するためのキス。多分合ってると思う。
「真里ちゃん、無理やりはダメだけどこのタイミングだと感じた時、朱音ちゃんにキスしたら?」
「えぇー///。いきなり過ぎませんか…?」
「時には大胆な行為も大事だよ」
「でも、難しいです…」
「あっ、吉野ちゃん。丁度、良かった」
タイミング良く、吉野ちゃんも顔を洗いに来た。私で試しても良かったけど、私も真里ちゃんもする側だし、アドバイスが出来ない。
「高瀬先輩、どうしました?」
「壁に寄りかかって貰ってもいい?」
「こうですか?」
「はい、真里ちゃん!イメージしてみて」
「えっ、はい!」
やっぱり2人とも絵になるな〜。そんな風に呑気に見ていると、真里ちゃんの唇が吉野ちゃんの唇に近づき危なかった。
慌てて止め、「桃香、ごめん!」と慌てて離れる真里ちゃんは頭を抱えている。真面目すぎると何事も本気で取り組みすぎる。
「真里///!」
「桃香…ごめん。集中しちゃって、、」
「真里ちゃん、真面目なのは偉いけど…あぁ、、ヤバい。真里ちゃん、逃げて」
「えっ?あっ、朱音!これは違うよ!これは練習で!!!高瀬先輩の助言で…」
「一部始終見てたし聞いてたから分かってる。高瀬先輩…真里をけしかけましたね」
「ご、、ごめんなさい!違うの。真里ちゃんに自信をつけさせたくて」
痛い、痛い。朱音ちゃんのパンチが強く、私はひたすら罰を受けるしか無かった。
真里ちゃんも吉野ちゃんもアワアワしてるけど朱音ちゃんの暴走を止められない。
「真里を先輩みたいにタラシにさせないで」
「ごめんなさいー(真里ちゃんは既にタラシだと思うよ…)」
「馬鹿馬鹿馬鹿」
「朱音、落ち着いて」
「真里なんて嫌い!キスできたら誰でもいいの?最低、、」
「違う!私は朱音としかキスをしたくない!ずっとしたかった。でも、勇気がなくて…」
「馬鹿///…声が大きい」
あれ、急に重かった空気が甘い空気に変わった。真剣な顔をした真里ちゃんが朱音ちゃんを連れてどこかへ行く。
取り残された吉野ちゃんはキョトンとしている。だけど、5秒後に驚いていた。真里ちゃんと朱音ちゃんが付き合っていることを知らなかったみたい。
「えっ?あの2人…」
「付き合ってるよ」
「えー///。知りませんでした」
「ごめんね、巻き込んで…」
「大丈夫です。その代わり、また…軽音部の見学に連れて行って下さい///」
私の後輩はウブで純粋な子達が多い。恋の先輩として応援したくなる子達ばかりだ。
改めて先輩になる学年になったと認識した。今年で17歳か。えっ、もうすぐ芽衣の誕生日じゃん!!!プレゼントまだ決めてない!
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