第294話

ふふふ、芽衣が甘えながらキスをしてくれて最高の気分だ。芽衣をいっぱい感じるためにぎゅーと抱きしめ幸せを噛み締める。

いい匂いがして、首にキスをすると可愛い声を出すしメロメロだよ。



「芽衣、少し痩せた?」


「毎朝…ランニングしてるから」


「ダイエット?」


「マラソン大会リタイアしたくないし…」


「あー、そっか。でも、無理はしないでね」


「水希は運動神経良いからいいよね…」



さっきまで甘々な空気が流れていたのに、マラソンの話になると一気に空気が重くなる。

私は無理だけはしてほしくないだけなのに、芽衣の機嫌が悪くなってしまった。



「自分のペースで走れば大丈夫だよ」


「そんなの分かってるもん。完走出来るかが心配なの…」



運動はどうしても向き不向きがあり仕方のない部分がある。だから、そこまでって思うけど…芽衣の努力を応援したい。



「一緒に頑張ろう」


「頑張る…」


「今からトレーニングでもする?」


「やだ、水希に引っ付いていたいから」



へへ、また甘えモードに入り芽衣が引っ付いてくれた。私は芽衣を後ろから抱きしめ、芽衣と幸せなひとときを過ごす。

好きな人と過ごす休日は最高だ。どれだけ疲れていても芽衣といるだけで疲れが吹っ飛ぶ。



「水希、マラソン大会…ゴール先で見守ってくれる?」


「もちろん!必死に応援する」


「帰り歩けないかも…」


「私がおんぶするよ」



運動が苦手な芽衣にとってマラソン大会は心の底から嫌なものでため息が数が多い。

私も勉強が苦手でテストが近づくと憂鬱で毎日が苦しかった。でも、勉強のやり方とモチベーションの上げ方を晴菜さんに教わり苦手な勉強を克服した。だから、芽衣もきっと大丈夫だ。乗り越えた先に充実感がある。



「芽衣、自分のペースを崩さなければ大丈夫だから。ゆっくりでいいから一歩ずつ走ればいいよ」


「うん、頑張る」


「私も出来るだけ上位入賞目指す。ライバルが多過ぎて厳しいと思うけど」


「だよね。さわちんの気合いが凄いし」



3日後にあるマラソン大会。さわちんだけにいい格好はさせない。やっぱり彼女に頑張ってる姿を見て欲しいし。

あっ、芽衣の顔が近づいてくる。パワーを頂戴と言いながら私にキスをする。へへ、私の方が力が漲ってくるよ。



「芽衣、完走できたらご褒美あげるよ」


「何?」


「沢山の愛」


「じゃ、私は水希が上位入賞しなかったらお仕置きしてあげる」


「そんなー、、私、お仕置き決定じゃん」



小悪魔な芽衣に翻弄され、いじける私に対し芽衣が「嘘だよ。頑張ったらご褒美あげる」と言われ私のニンマリと笑い芽衣を思いっきり抱きしめた。

小悪魔だけど最高の彼女すぎて困りものだ。この無限の芽衣への好きが止まらない。



「芽衣、大好きー」


「私も大好き」



もっともっとパワーが欲しい。欲張りな私は芽衣からのパワーを無限に欲する。

芽衣を押し倒しジッと見つめると首に腕を回してくれた。OKの合図を貰い、私は3日後にあるマラソン大会に向けてパワーを蓄えた。









芽衣から沢山のパワーを貰い、私は意気揚々と家に帰る。スキップしながらるんるん気分で家に帰ると私の部屋から負のオーラを漂わせたさわちんがいた。

お姉ちゃんが私の部屋に入れたみたいで、理不尽に「遅い!」と怒られる。だって、約束してなかったし…私は悪くない!


確かにお姉ちゃんからの携帯の着信やLINEをオール無視したのは反省しているけどこんなことになってるだなんて思わないじゃん。

お姉ちゃんに早く部屋に行けと言われ、部屋に入るとさわちんが泣き出して大変だった。

何があったのか聞くと、未来ちゃんと喧嘩したと聞いてビックリする。


ラブラブだった2人に何があったの?と驚いていると私はいきなりキャメル・クラッチを喰らいギャーと叫ぶ。

「お前のせいだー」と訳の分からない事を言われ私は痛みで騒いでいるとお姉ちゃんが慌てて部屋に入ってきて止めてくれた。



「さわちん!酷いよ!」


「水希のせいで…未来と」


「何で私が関係してるの!意味分かんない」



いきなり泣いたと思ったら怒りだし、また泣き出してさわちんが情緒不安定すぎて私はどうしたらいいのか分からない。

お姉ちゃんも戸惑っていて、さわちんからやっと話を聞いてお姉ちゃんにめちゃくちゃ痛い拳骨を喰らう。



「痛いー!」


「水希が悪い!」


「何で!未来ちゃんのお婆ちゃんと仲良くしてるだけなのに酷いよ」



前にさわちんと未来ちゃんが喧嘩をした時、私は未来ちゃんのお婆ちゃんと仲良くなり、家も近いから時々会いに行っている。

お婆ちゃんも喜んでくれていることなのに…何で私が悪者になっているか分からない。



「未来とお婆ちゃんの家に行くと水希の話ばかりで…お陰で喧嘩して、、」


「水希、色んな人を誑し込むのはやめなさいって何度も言ったわよね」


「人聞き悪いー!私は未来ちゃんのお婆ちゃんと仲良くしてるだけだもん」



未来ちゃんのお婆ちゃんは一人暮らしで、会いに行くと凄く喜んでくれて、、ただそれだけなのに怒られて納得がいかない。

私にはお婆ちゃんがもういない。だから、話すのが楽しくて会いに行ってただけなのに。



「いつも、私は水希に負ける…」


「えっ」


「未来に好かれている自信が持てない…」


「そんなことないよ…未来ちゃんはさわちんのこと大好きだよ」



落ち込んでいるさわちんにどう声掛けをしたらいいのか分からなくて難しい。

それに私に負けるって…私とさわちんは勝負なんてしてないし、、何でこうなるの。

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