第234話
今日は冷えるな…お陰で夜中に私は何度も目が覚めトイレに行く。春なのに薄い掛け布団では寒さを凌げず、暖かい服を着たいけど二階にあるから取りに行けない。
あぁ、でも我慢できない。何度もトイレに行くの嫌だし、このままでは寝不足になる。
私は足音を立てないようにゆっくりと階段を上がり部屋のドアを開ける。晴菜さんは寝ているみたいだ…起こさないようにしないと。
抜き足差し足でゆっとくり歩き、やっとクローゼットの前に着いた。後は音が鳴らないようにドアを開けるだけだ。最後のミッション。
(ギギギ)
夜だからドアを開ける音が響く。朝だったら全く音なんて気にしないのに、ドアを少しずつ開けるだけでドキドキする。
「うぅん」
えっ、晴菜さん起きた?私の動きが止まり、石のように固まっているとベッドから寝息が聞こえてきた。良かった、起きていない。
またゆっくりドアを開け、暖かい服を手に取りミッション成功だ。クローゼットのドアを半開きだけど閉めて、またドアに向かう。
でも、少しだけ晴菜さんの寝顔を見たくなった。寂しそうな背中が気になって、ゆっくりとベッドに近づくと可愛い寝顔で寝ていたからホッとした。
よし、これで安心して寝れると思ったのに逆に晴菜さんを起こしてしまった。
「水希ちゃん、、?」
「あっ、すみません…起こしちゃって」
「どうしたの?」
「服を取りに来たんです」
「あっ、、今日は寒いから…ごめんね。私のせいだ」
しまった、正直に話してしまったせいで晴菜さんが気にしている。
「あの、、大丈夫ですから寝て下さい」
「寝れないよ…」
「この服を着たら暖かいので、、あの…」
「手が冷たい…」
晴菜さんが私の手を握りしめ何度も謝ってくる。気にして欲しくなかったのに…私は何で我慢が出来なかったんだ。私の馬鹿野郎!!
「私は大丈夫ですから、、」
「ダメだよ…私が気になる」
「晴菜さんが風邪を引きますよ、早くベッドに戻りましょう」
「一緒に寝よう…水希ちゃんが拒否したら私がソファで寝る」
うぅ、、先手を打たれた。晴菜さんに言葉が浮かばなくて黙り込んでしまった私の手を引きベッドに連れていかれる。
お布団が暖かいうちに寝ようって言われ、諦めてベッドに横になった。やっぱり晴菜さんには敵わないよ。
「そんなに端だと落ちちゃうよ」
「大丈夫です…」
「私と寝るの嫌…?」
「違います!緊張するから、、」
「何で?私が年上だから、、?」
「色々含めて、、」
中学生の時は友達とお泊まりしたら一緒に寝たりしていたけど、晴菜さんは友達とは違うしやっぱり年上ってのがあるから緊張する。
「水希ちゃんが落ちるの嫌だからもっとこっちに来て。寝れないよ」
「分かりました…」
「まだ体が冷たいね」
これは、、どうしたらいいのかな。晴菜さんに横から抱きしめられ身動きが取れない。
温めてくれているのは分かってるけど、緊張が凄くて寝れないよ。顔の距離も近いし、横を向いてしまったらキスをしてしまう距離だ。
芽衣とは違う匂いにクラクラする。芽衣とは違う甘い香り。芽衣がミルクだったら晴菜さんはココアの香りだ。
大好きな匂いで、心臓の鼓動が速くなる。女の人の体って何でこんなに柔らかいのかな。
マシュマロの様に柔らかく甘い香りがする。
「水希ちゃん、おやすみ」
「おやすみなさい…」
私は必死に目を瞑り、寝ることに集中した。手がもぞもぞして、、私にこんな邪な気持ちがあるのに幻滅した。
明日は部活はないけど、家に帰ったらとことん走ると決めた。晴菜さんを意識して、触れたいと思ってしまった私を戒めるために。
晴菜さんの胸がずっと私の腕に当たっている。芽衣と変わらない大きな胸。ダメだ、頭が煩悩でいやらしい想像をしてしまう。
晴菜さんの体は綺麗だろうなとか(水着姿を思い出してしまった)、またクソ元彼野郎に抱かれている姿を想像してしまい今度は泣きそうだ。感情がぐちゃぐちゃで最悪だよ。
私は悩みすぎると脳が疲れて寝てしまう。変だよね、普通は眠れなくなるはずなのに。
きっと考えることを拒否するのかも。現実逃避ではないけど、一度頭をリセットするため。
いつのまにか眠りについた私は朝起きた時、晴菜さんが私の寝顔を撮っている姿を見て芽衣が横にいる錯覚に陥る。
そう言えば前も晴菜さんを芽衣と勘違いして名前を呼んで焦ったことあったなっと笑う。
写真を撮った後、満足そうに写真を眺める姿までそっくりだよ。
芽衣と晴菜さんは似ているのかな?違うのは身長ぐらいで、可愛いし2人とも綺麗だ。
「おはようございます」
「あっ、おはよう///」
「私の写真を撮ってましたよね」
「撮ってない…」
「じゃ、携帯を見せて下さい」
「ダメだよー。プライバシーの侵害」
初めてかも…歳の差を感じず、晴菜さんと戯れあったの。私が晴菜さんは4歳年上の人だからって少しだけいつも緊張していた。
でも、今は年齢のことなんて忘れて狭いベッドの上で戯れ合う。凄く、凄く楽しい。
楽しすぎて初めて晴菜さんを抱きしめた。私はいつも晴菜さんに抱きしめられても抱きしめ返せなかった。
だけど、今は私の方から抱き締めている。逃げない様にして戯れあうために。側から見たら恋人同士のような雰囲気で、、
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