第186話
勉強をすると無性に甘い物が食べたくなる。今日が晴菜さんが家庭教師をしてくれる最終日だ。だから、時間が長くいつも以上に勉強に真剣に取り組んでいた。
「よし、休憩しようか」
「はい、お茶入れてきます」
「あっ、今日は無糖の紅茶がいいな」
「分かりました」
何かお茶菓子ないかな?晴菜さんに教えてもらうの最後の日だから、何か持っていきたいけど、、うーん、お茶菓子がない。
学校帰りにお菓子を買ってくればよかった。お煎餅だったらあるけど、無糖の紅茶には合わないし残念。
「晴菜さん、お待たせ、、あっ!チョコ!」
「持ってきたんだ、食べよう〜」
やった、嬉しい!大好きなチョコレートが机の上にあり、めちゃくちゃ美味しそう。
ワクワクしながらチョコを食べると、とびきりの甘さが口の中に広がる。
「晴菜さん、美味しいです〜」
「良かった。ちょっと早いけどバレンタインチョコだよ」
「あっ、そうだ。もうすぐ14日だ」
「水希ちゃんに教えるの、今日で最後だからあげたかったの」
「すみません。ありがとうございます」
テスト勉強ばかりで、すっかりバレンタインを忘れていた。芽衣にチョコを買わなきゃ!
あと、晴菜さんにお返ししなきゃな…ホワイトデーでお返しした方がいいのかな。
あー、チョコが美味しい。バレンタインって最高だね。お返しはしないといけないけどチョコが食べれるから嬉しい。
晴菜さん、ニコニコしながらチョコを食べてる私を見てる。ちょっと恥ずかしい、、あんまり見られると食べにくいよ。
目が合うとニコって笑ってくるし、何度も「可愛い」って言ってくるから紅茶を吹き出しそうになる。
「あの、、」
「菜穂ちゃんの言っていたと通り、チョコを食べてる姿が可愛くて。ワンちゃんみたい」
「そんなことは…(お姉ちゃんめ、一体どんな風に言ったの)」
「美味しそうに食べてくれて嬉しい」
がっつき過ぎたかな…急に食べるのが恥ずかしくなってきた。晴菜さんはずっと見てくるし、まさかの《あーん》って言われて戸惑いつつチョコを食べた。
美味しい、美味しけど恥ずかしい///。耳が赤くなってないかな…体が熱くなるよ。
年上の人にこんなことされると緊張するね。近づかれると晴菜さんから良い匂いするし、意識してしまう。
「照れてるの?」
「恥ずかしいですよ…///」
「だって、餌付けしたくなるもん。お手って言いたくなる」
「しませんからね」
きっとお姉ちゃんの影響だ。お姉ちゃんめ、私のこと甘い物に弱い犬だって言ってそう。
それに餌付けって、、いくら目の前にめちゃくちゃ美味しそうなチョコがあってもお手はしないからね。
「そろそろ、勉強しましょ…」
「うん、楽しめたよ」
「晴菜さん、最後に私も…食べて下さい」
「されると、恥ずかしいね///」
よし、これで恥ずかしさの共有ができた。芽衣とだったら緊張しないけど、恋人以外の人とするのはかなり恥ずかしい///。
ふぅ、勉強の続きを頑張らないと。頭を勉強モードに切り替えなきゃ。
終わった。4時間、、頑張ったよ。途中、チョコレートを食べてエネルギーチャージし頑張れた。あとは、試験に向けて自分で頑張るしかない。
「終わったねー」
「晴菜さん、ありがとうございました」
「寂しくなるね」
「お姉ちゃんの家庭教師で来て下さるのですぐに会えますよ」
「そうだね。それに水希ちゃんが送ってくれるし」
「はい、責任持って家まで送ります」
「水希ちゃん、彼氏みたい」
「晴菜さんの彼氏だったら喜んでなります」
「ありがとう///」
さて、送る用意をしなくっちゃ。あれ?晴菜さん、今日はマフラーをしていない。
この時間帯は特に寒くなるからマフラーがないと首が冷えるのに。よし、芽衣に貰ったマフラーは暖かいからこれで寒さを凌いで貰おう。私はネックウォーマーがあるし。
「外は寒いので、つけて下さい」
「あっ、ありがとう…」
晴菜の首にマフラーを巻いていると、、ふと、前にどこかで体験したような気がした。デジャブかな?うーん、思い出せない。
外は寒いから早く晴菜さんを送らないと。風邪を引いたら大変だ。
「水希ちゃん、送ってくれてありがとう」
「テスト頑張りますね」
「報告してね。もし、テストの点数が良かったらご褒美あげる」
「本当ですか?やった、頑張ります」
更にテスト勉強にやる気が出てきた。私はご褒美って言葉に弱い。
もしかして、チョコレートをくれたりするのかな?へへ、楽しみだ〜。絶対に良い点をとってご褒美ゲットするぞ。
「ねぇ、水希ちゃんは彼氏のどこが好きなの?」
「全部です」
「水希ちゃんの彼氏が羨ましい。そんな風に思ってくれるなんて」
「そうですか?普通ですよ」
晴菜さんの元彼が例外だっただけで、普通の恋愛だと思う。好きな人のことが全て好きはで、私にとって当たり前のことだ。
でも、晴菜さんは羨ましいって言う。初めての恋が悲しい恋だったから、、
切ないな。次はきっと良い恋をしてほしい。私は見守ることしかできないけど応援します。
だから、そんな寂しそうな顔をしないで下さい。私まで寂しい気持ちになる。
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