第136話
芽衣と結ばれて迎えた朝は最高の1日の始まりだ。誕生日を迎えるより芽衣と結ばれた時の方が大人になれた気がする。
猫背だった背中がピシッと伸び、私を強気にさせ自信をつけさせる。
昨日の芽衣の声を我慢する顔や時折微かに漏れるいやらしい声はヤバかった。
二階には芽衣の部屋と物置部屋しかない。だから、少し無茶ができる。夜の狼になった私は少しやり過ぎたみたい。昨日、ぐったりしていた芽衣がなかなか起きてくれない。
無理に起こさない方がいいよね。それに、寝姿も可愛いしずっと見ていられる。
女の子の体って不思議だ。自分も女だけど全然ちゃんと理解してなかった。芽衣の体を知れば知るほど虜になる。私の手で可愛い芽衣が乱れるってヤバい。
「水希、、おはよう」
「おはよう。まだ、寝てていいよ」
「起きる」
起きるって言った割には私に甘え、抱きついてくる。お姉ちゃん達に私は天然のタラシって言われたけど、芽衣は天然の最強小悪魔だ。こうやって、私を誘惑する。
これで堕ちない方がおかしいし、理性なんてすぐに飛んでいってしまう。
「起きないと襲うよ」
「ダメ…体が怠い」
「マジ!?マッサージしようか!」
大丈夫かな、、私が見てたサイトには体が怠くなるとは書いてなかった。もっと色んなサイトで勉強すればよかった。
私は抱く側だから、ちゃんと勉強しないと芽衣の体を傷つけてしまう。
「水希心配しないで。大丈夫だよ」
「でも…」
「心配そうな顔しないで、幸せな怠さなんだよ。愛されてるって感じて嬉しいの」
「芽衣にいっぱい愛を贈り過ぎた」
「いっぱい、水希の愛を感じた」
いつも不安で初めての恋に悩んだけど、私も芽衣も愛を贈り合ってひと回り大人になった。昨日、芽衣の作った甘いチョコレートケーキと文化交流会で遠藤さんに貰ったマドレーヌに対抗して作った芽衣作のマドレーヌも最高に美味しく心も体も胃袋も満たされている。
私は幸せ者だ。ベッドの中で最高の朝を迎え、目が合うたびに私達は幸せで笑い合う。
幸せがずっと続くと確信して、未来を見つめる。私の横には芽衣がいて、芽衣の横には私がいる。望むことはこれだけだ。
でも、人の恋路は本人達しか分からない。私達は今幸せの最高潮にいて、幸せのど真ん中にいる。芽衣を愛せて、愛されてこれ以上の幸福は無いと思う。
何で、みんなそっとしてくれないのかな?特に生徒会ファンクラブ…何がしたいの?
月曜日、学校がざわざわしていた。私とひかるがちゃんと噂に否定していたらこんなことにならなかったのかな?
でも、直接噂のことを聞かれたことないし私達の方から違うと否定するのも変だから出来なかった。だから、ほっといたのに…誰、こんなチラシ作ったの。ふざけてるの?
生徒会で遊んでいるでしょ。今回は私達だけではなく生徒会が犠牲になった。
靴箱の近くにある掲示板にチラシが貼られており、チラシには私とひかる、お姉ちゃんと恭子先輩、佐藤先輩と友達のそれぞれの写真が貼られ一言【ベストカップル】と書かれていた。
馬鹿なの?何がしたいの?一体誰がしたの?私達の噂はされていたけど、全校生徒が知っていた訳ではない。
でも、これで噂が全校生徒に知れ渡った。みんな、噂に困らされていたのに…。お姉ちゃんには彼氏がいるし、佐藤先輩も友達と距離を置くか悩むぐらい苦しんだのになんでまだ困らせるの?
「何よあれ!」
「流石にやりすぎ」
先輩達が口々に怒っている。お姉ちゃんは激怒し私達は昼休みに生徒会室に集まりチラシについて話し合っている。
最初、誰がやったのかとなったけど早川先輩が生徒会のファンクラブだよって教えてくれた。部活の後輩が、生徒会のファンクラブの子と知り合いで教えてくれたらしい。
何でこんなことしたのか、、どうも過激派がいるみたいで私が遠藤さんと最近仲が良いのが気にくわないらしい。
はぁ?だよね。私も意味分かんない。まず、何で芽衣は私の相手に入らないの!そこも府に落ちない(噂になってほしくないけどね!)
どうも、お姉ちゃんや佐藤先輩はトバッチリみたいだ。めちゃくちゃムカつく。私の周りの人達を困らせないでほしい。
全く考えていることが分からない。分かりたくもないし、お陰でため息しか出ない。
ひかるにも迷惑をかけて悔しい。これ以上、私の大切な人達を傷つけたくないのに。
「一度、生徒会のファンクラブと話し合わないといけないわね」
「佐藤先輩…すみません」
「水希のせいじゃないよ」
ファンクラブの定義って何だろう?自分の理想や考えを押し付けるものなの?それに、私は平凡な高校生だ。どこにでもいる普通の人間なんだよ、、そっとしてほしい。
私は芽衣とずっと笑い合いたいだけなんだ。お願いだから邪魔しないで…。
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