第126話

芽衣の機嫌が戻らない…私と目があっても晒すし、話しかけたいのに声を掛けづらいオーラを出している。

私には怒っている理由が分からない。もしかしたらさっきのことが逆鱗に触れたのだろうか。芽衣の話を聞かなかったから…。

私はもう一度芽衣に謝ると決めた。今日は私の誕生日で芽衣と最高の日にしたいからだ。



「芽衣…まだ、怒ってる?」


「何が…」


「ごめんね、私が話を聞いてなかったから」


「違うから、、」


「じゃ、どうしたの…?」



芽衣が何に怒っているのか私には分からない。芽衣は怒ると黙り込むタイプだし…怒りが爆発すると手が出て、その度に腕が痛い。

また芽衣が黙り込んでしまった。やっぱり、怒っている。



「芽衣…」


「ごめん。水希、気にしないで…」


「でも、、」


「私の問題だから…そっとして欲しい」


「分かった」



部活が終わるまでに芽衣の中のモヤモヤが無くなればいいなと願う。じゃないと、悲しい誕生日になりそうで怖い。

私は芽衣から離れ、トレーニングを始める。私もまだラブレターのことが頭にへばり付いてイライラしモヤモヤしていた。


あの手紙には何で書いたあったのかな。やっぱり〈好きです!〉とかかな。

くそ…芽衣の何を知ってるんだ。絶対、見た目だけだろと言いたい。ちゃんと中身を知った上じゃないと失礼だよ。あと…羨ましさもありイライラするのかもしれない。



私は芽衣への気持ちに気づき、散々悩んで気持ちを伝えた。でも、芽衣にラブレターを渡した人はどれくらい悩んだかは知らないけど(知りたくもない)芽衣のことを余り知らずに告白をしている。それがムカつく。


私が散々悩みめちゃくちゃ苦しんだ。苦しくて怖くて堪らなくて。振られたら友達としての芽衣を失うことになるかもしれなかった。

だけど、私が男だったら相手にされない。片思いで終わり永遠に私と芽衣の間には何も生まれない。一生の片思いで終わるんだ。



切ないな。私が女に生まれたから1%の奇跡が起き付き合えたからこの恋を大事にしたい。1%の奇跡を無駄にしたくない。

今日は最高の誕生日に絶対にする。芽衣と最高の朝を迎えたい。あと、芽衣の笑顔が見たい。朝からずっと暗い顔してるし。


もしかしたら、芽衣自身もラブレターに悩んでいるかもしれない。恋人がいるのに貰っても困るし、、あと、断ったとは思うけど、どんな風な断り方をしたのか気になる。

苦しい、恋人に自分以外の人から好意的な目で見られるのが嫌だよ。



「水希」


「お姉ちゃん」


「ランニングするけど、一緒する?」


「しようかな」



お姉ちゃんが珍しく一緒に走ろうと言ってきた。あっ、と思いプレゼントのお礼を言うと生徒会を盛り上げてくれたお礼って言ってくれて嬉しくなる。

お姉ちゃんは厳しい所あるけど、ちゃんと褒めてもくれるから優しい。姉としても落ち込んでいる私の側にいてくれる。



「お姉ちゃん、好きな人に好意を向けられるって辛いね」


「水希は恋人なんだからどんっと構えてなさい」



私はお姉ちゃんに芽衣がラブレターを貰ったことを話した。けど、お姉ちゃんが「へぇ」っと呑気に言うから呆気にとられたよ。

お姉ちゃん曰く、好きな人以外から貰った手紙なんて困惑以外ないから大丈夫らしい。流石、お姉ちゃんだ。男にも女にもモテるから言葉に重みがある。


私も困惑しかないだろうな。だって、私には芽衣がいる。芽衣以外興味ないから、貰ってもどうすることもできない。

だったら芽衣は一体、何と戦っているの?ラブレターのことは気にしなくていいのかな?

機嫌が悪い理由を教えて欲しい。



「私には分からないけど、きっと芽衣ちゃんの中で何かと戦っているのよ」


「戦ってるの?」


「男女の交際とは違う何かがあるのかもね」


「そうなのかな…」


「気にしなくて大丈夫よ。芽衣ちゃんは水希のこと大好きだから」


「へへ///…そうだよね」



お姉ちゃんと話せて気持ちがスッキリした。どんっと構えて、芽衣を包み込めるぐらい大きな器を持たないといけない。

芽衣の恋人は私で、私の恋人は芽衣なんだから自信を持つよ。



「良い誕生日になるといいね」


「うん」


「芽衣ちゃんを大切にしなさいね」


「したいけど…いつも泣かしちゃう」



私の想いはいつも空回りする。大事にしてるつもりだけど、私が勝手にそう思っているだけかもしれない。

恋に不器用すぎて、芽衣を泣かしてしまう。



「2人だったら大丈夫」


「お姉ちゃん、ありがとう…」


「よし、思いっきり走るわよ」


「うん!」



あの小さな体をギュッと抱きしめたい。可愛すぎて困るぐらい小悪魔な芽衣は、私の心をがっちりと掴み私を常に翻弄させる。

芽衣の色々な表情を知り、いつもドキドキする私の心は常に熱を持つ。


お姉ちゃんは私の冷却剤だ。芽衣同様、私もヤキモチ焼きだし嫉妬もする。お姉ちゃんのお陰で少しずつ成長できてる気がするけど…前、芽衣に私はフラフラしていると言われた。もしかしたら、私は自分で気付いてないだけで芽衣を苦しめているのかな。


芽衣、ごめんね。フラフラして。ひかるに対しての私の態度が芽衣を傷つけていると知ったけど、難しくて、、私とひかるの間には本当に友情しかないからだ。

私が好きなのは芽衣だけだよ。芽衣が大好きなんだよ。これだけは信じて。

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