第108話
「芽衣、絆創膏貼ってもらっていい?」
「うん…ごめんね」
「芽衣の愛だから嬉しいよ」
「でも、、目立つね」
「やっぱり?どれどれ?あっ…うん、これは目立つね」
せめて、鎖骨の部分だったら少しだけ隠れたかもしれない。でも、芽衣がキスマーク付けた所は首の真ん中の位置…隠しようがない位置だった。これは目立つな。
でも、どうしようもないし…何とか誤魔化すしかない。怪我をしたって言ったら信じてくれるかな。ごんちゃんだったらいけそうだけど、恭子先輩には無理そうだ。
ヘッドロックだけは勘弁して欲しい…あれ、痛すぎるよ。私の周りはみんな、力加減を知らなさすぎる人が多すぎる。
あと…お姉ちゃんにどう説明しよう。また、たんこぶが出来るかもしれない。やっと痛みがなくなったのに辛すぎる。
「あっ、そろそろ帰らなきゃ…」
「送るね」
「私、いつも水希に迷惑かけてるね…」
「そんなことないよ」
「でも、今日だって…勝手に拗ねて、困らせて、、首もやっちゃったし」
「私は芽衣の恋人でしょ。だったら、私は全てを受け止めるよ。それに芽衣のことが好きすぎて私も暴走しちゃうし」
「私も好きすぎて、、暴走しちゃう」
相手を好きになりすぎると人は我儘になる。私だけを見てほしいなど、独り占めしたくなる感情が出てきて子供っぽくなる。
私も芽衣を腕の中に閉じ込めていたいと何度思ったか分からない。芽衣は可愛いから、バスの中でチラチラと見る男子が時々いる。
もしかしたら、芽衣はいつか誰かに告白されるかもしれない。嫌だな、、想像しただけで胸が痛くなり嫌な気持ちになる。
男の人と話す芽衣を見たくない、、芽衣が好き過ぎて苦しい。だから、早く結ばれたいのかもしれない。芽衣の全てが欲しくて、私だけのものにしたい。
「芽衣、そろそろ行こうか」
「うん」
明日は早めに家を出て、芽衣の家でゆっくり過ごそう。そして、沢山キスしなきゃね。今日の分も含めて唇が痛くなるまで。
「あっ、芽衣ちゃん帰るの?」
「はい、お邪魔しました」
「水希、、ち、ちゃんと送るのよ」
「うん」
(お姉ちゃんの心の声)
く、く、首に絆創膏!怪我じゃないよね…。水希が自分であれを付けることは出来ないし、きっと芽衣ちゃん。
あの2人、一体どこまで進んでいるの!今日は一緒にお風呂に入ってたし(それも向かい合わせで!)あの時、私の心臓が本気で止まるかと思った。
多分、最後までは進んでないと思うけど…油断ならない。意外に芽衣ちゃんの方が積極的かもれしない。でも、水希も手が早い。
もうすぐ、水希の誕生日が来る。その日は芽衣ちゃんの家に泊まると水希がお母さんに言っていた…。水希の誕生日、、眠れる気がしない。悶々として寝不足になりそう。
◇
注目が痛い、視線が痛い。ごんちゃんは呑気に「首、怪我したの〜?」って聞いてきてホッとしてるけどクラスメイトの視線が私の首に集中する。
やっぱり、首に絆創膏は目立つ。非常に目立ちコソコソと噂をされる。最悪だ…。
日曜日は幸せな1日を過ごした。沢山キスして、イチャイチャして…それに、お姉ちゃんが何も言ってこなかった。
絶対に気づいているはずなのに…まぁ、私としても有難いけど今現在地獄をみている。
キスマークはすぐには消えなかった。冷やしたり、お母さんのファンデーション塗ったりしてみたけど微かに見えてしまい諦めて絆創膏を貼っている。
どうせ、部活で汗をかくしファンデーションは取れてしまうから。
こんな風に注目をされるのが一番嫌だ。芽衣も申し訳なさそうにしてるし、今日はチラチラと見られるのは諦めるしかない。
自業自得だし…聞かれても説明も出来ないしどうすることもできい。
「ねぇ、2人とも仲直りしたの…?」
「あっ…うん。ごんちゃん、心配かけてごめんね」
「そっか、良かったー」
ごんちゃんにはずっと迷惑をかけっぱなしだ。心配してくれて申し訳ない気持ちになる。友達が喧嘩したら気になるよね。
「あっ、水希。軽音部とのコラボなんだけど」
撤回だ!前言撤回!せっかく軽音部とのコラボ忘れてたのに、、もう、やりたくない。人前で歌うの苦手なの。
せめて、ピアノ担当で演奏するなら百歩譲って譲歩するけど歌うのは勘弁して欲しい。
「やるとしても、まだ先なんだけど」
「ごんちゃん、本当にするの…?」
「周りから、またやってくれってリクエスト来てるのよ」
「えー…やりたくない」
「あの日は寒かったな…必死にドアを何度も叩いて」
「分かったよ!分かった…やるよ」
ごんちゃんに逆らえない、、芽衣は私が軽音部とコラボする事に不安そうな顔をする。
きっと気持ちが半々なのかもしれない。嬉しいけど、嬉しくない。
私が注目されるの嫌がってるし…私もされたくない。それなのに、いつも巻き込まれる。
「水希、私の作った曲を歌ってよ」
「ごんちゃん、作曲するの!?」
「凄いー」
「へへ、ありがとう。今回の曲、作詞もね頑張った」
ごんちゃんって、普段おちゃらけてるし鈍感だし毒舌だけどキメるところは決める。
ギター弾く姿もめちゃくちゃカッコいいし、これがギャップか。ごんちゃんにギャップ萌えはしないけど、ギャップっていいよね。
軽音部とのコラボを頑張ったら芽衣はギャップ萌えしてくれるかな。普段、平凡な私が芽衣に褒められる瞬間なのかもしれない。
それだったら頑張れる。私の活力は芽衣だ。芽衣が喜んでくれるなら頑張れる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます