第105話
「芽衣、バイバイ」
「・・・」
芽衣が降りる最寄りのバス停に着き、挨拶したけど返事が返ってこなかった。ずっとお互い会話がなくて、最後ぐらいちゃんと挨拶だけでもしたかったのにな…寂しいよ。
芽衣がバスから降りたあと、私はすぐに目線を下に向けた。泣いちゃいそうだから、、下を向くと涙が溢れちゃうけど、バスの中だから上を向けなかった。
バスの中で泣きたくない…変な子に見られてしまう。なのに、頭と心がジンジンして涙が止まらない。くそ…早く止まってよ。
「あの、、」
「えっ?」
「ハンカチ…使って下さい」
「ありがとう…いいの?」
「はい」
会話をするのは2度目になるのかな。まさか、マドレーヌの子が同じバスに乗っているなんて。恥ずかしい所を見られてしまった。
きっと、芽衣と喧嘩をしていると思われただろう。それに、泣いていたのがバレたし恥ずかしい。
「ハンカチ、洗って返すね」
「そのままで大丈夫です」
「でも…濡れちゃったし」
「本当に大丈夫ですから」
「えっと…名前、、」
「あの、、遠藤美南です」
名前を遠藤さんって初めて知り…まさかこんなタイミングで知るなんて思いもしなかったから笑っちゃった。
遠藤さんは私からハンカチを受け取ると、気まずそうに声を掛けていいのか悩んだと教えてくれた。そりゃ、そうだよ。
同じ学校の子がバスの中で泣いていたら気になるし、声も掛けづらい。私も戸惑うと思うし、ほっとくかもしれない。
でも、どうしようかな。泣いてた理由なんて説明できないし、初めてまともに会話をして緊張してしまう。
「喧嘩…したんですか?」
「まぁ…うん」
「すみません、急にこんなこと聞いて」
「気にしなくていいよ」
苦笑いしかできないけど、人と話すと少しだけスッキリする。芽衣とは殆ど話せなかったし、マド、、遠藤さんのことが気になっていた。
どんな子なんだろうって、、偶然会う確率が高いし、マドレーヌも美味しかった。
今日はいつも通り髪型が二つ結びだ。一昨日金閣寺で初めて見たポニーテールも似合っていたけどこっちの方がしっくりくるね。
遠藤さんはお菓子作りがよく似合っていて、少しだけ雰囲気がひかるに似てるかも。
「あっ…私、ここで降りるので」
「そうなんだ、バイバイ」
「バイバイ///」
「あっ、マドレーヌ美味しかったよ」
「・・・嬉しいです///!!!」
やっぱり、ひかると雰囲気が似てる。お菓子作りが上手くて、ひかると仲良くなった時を思い出す。こんな風に最初は話すのもぎこちなかった。
芽衣とは初っ端からミルマロのことで喧嘩腰で話して…お陰ですぐに仲良くなれたけど。
お互い手を振り合ってバイバイをし、私は考えていた。やっぱり、芽衣に謝ろうと。
やっと心が落ち着いて、このままじゃダメだと芽衣の不安が取れてないまま1人にしちゃだと思った。
1度家に帰って、芽衣の家に行こう。ちゃんと謝って抱きしめたい。
「ただいまーって、誰もまだいないか」
まだ、14時だし親は仕事でお姉ちゃんは学校だ。誰もいない家に入り、お土産を分け冷蔵庫に入れる。
急いで着替えなきゃ。荷物をリビングに置き、着替えているとチャイムが鳴った。
誰だろって思いながら、インターホンを見ると私服姿の芽衣がいて慌ててドアを開ける。
「芽衣」
「水希…ごめんなさい」
「芽衣…泣かないで」
「ご、、ごめん、、」
芽衣が泣くと心が痛くて堪らないから泣き止んで…芽衣は悪くない。私が悪いんだ、芽衣を不安にさせて泣かした。
好きな人に泣かれると辛くて、、涙が流れてくる。好きなんだよ、芽衣が大好きだから…もっともっと大事にする。最大級の愛を贈るから不安がらないで。
「芽衣…ごめんね。不安にさせて」
「弱い自分が悪いから…」
「芽衣、どうしたら不安がなくなる?」
「分からないよ…」
「私は芽衣だけが好きだから…芽衣しか興味ない、、だから自信を持って」
「うん、自信持つ」
誕生日まで、まだ日がある。でも、もう我慢できない。お姉ちゃん、、ごめんね!
私は芽衣の手を握り、部屋まで急いで向かった。部屋に着き、私は芽衣の唇を奪う。たかが外れた私は芽衣をベッドに押し倒した。
「水希…お風呂、、汗かいてるから」
「無理、我慢できない」
「でも、、」
「じゃ、一緒にお風呂に入ろう」
「それは///、、」
「何で?今から裸になるのに」
「バカ///、、それとこれとは」
「一緒に入ろう」
「うん…」
緊張はしてるけど大丈夫。後ろから芽衣を抱きしめながら、湯船に入り肩に顎を乗せる。
お風呂が気持ちいい。それに芽以の肌が気持ちよくてお湯越しでも分かる(芽以の強い要望で入浴剤を入れた)スベスベの肌に触れ気持ちの昂りはヤバいけどぐっと堪える。
お腹に回した腕に力を入れると芽衣がビクッとするから愛おしくてつい苛めたくなる。
芽衣の首にキスをすると、芽衣が私の腕を掴んできた。ふふ、私より緊張してる。
「芽衣、お風呂ではしないから安心して」
「分かってるよ…」
「でも、キスはしたいからこっち向いて」
「こう?」
「違う、体ごとこっちを向いて」
芽衣が恥ずかしながら向きを変えてくれた。私の膝の上に乗った芽衣を1度抱きしめる。
これはちょっとヤバいかも…お胸が、、当たってる。触りたい衝動を必死に抑え、私は芽衣にキスをした。愛が伝わるように。
「芽衣、好きだよ」
「私も好き」
「このまま襲いたくなる」
「初めては…ベッドがいい///」
「だよね」
じゃ、せっかく一緒にお風呂に入ってるからもう少し楽しまないと。芽衣の裸に慣れるためにも丁度いい。
でも、ちょっとだけ…ちょっとだけ触っちゃダメかな。大きく柔らかな2つのマシュマロが私を誘っている。
「ただいまー。水希、帰ってるのー?」
嘘でしょ…私と芽衣が急速冷凍で氷漬けにされたようにピキッと固まった。お風呂にいるから時計を見ていなくて、いつのまにかそんなに時間が経っていたの!?
でも、部活が終わるのは夕方だし…4時間も経っていたなんて時間過ぎるの早すぎる。
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