第44話
私は弱い、やっぱり芽衣に嫌われたくない。嫌われた方がマシって考えがよぎったけど、芽衣に嫌われたれたら寂しくて苦しくなって死んでしまう。
芽衣の側にいたいし、嫌われたくないし…訳わかんなくて感情がぐちゃぐちゃだ。
「水希…泣いてるの?」
「足が痛くて」
「横になりなよ」
「そうする」
足の痛みなんてない。痛いのは心だ。心が痛くて、私に涙を出させる。
意味の分からない涙。意味の分からない心の痛み。これが足の痛みであってほしかった。
足の痛みだったら我慢できた。この意味の分からない痛みは我慢できない。痛くて、痛くて、現実逃避をしたくてたまらない。
「ごめん、今日はもう休むよ」
「分かった…私、帰るね」
「うん。あっ、鍵は机の上にあるからドアを閉めたらポストの中に入れてて」
「うん…」
ベッドの上で目を閉じながら三度深呼吸して心を落ち着かせ、芽衣が帰ったあと私は携帯を手にした。なぜだか、無性にひかるの声が聴きたくて電話をする。
ひかるは一番新しい友達だけど、芽衣の次に一緒にいて楽しい友達だ。最近は芽衣といると苦しくなることが多く心と体が休まらない。
だから、私はひかるに癒しを求めた。癒されたかった、えぐられるような心の痛みを抑えたくて私はひかるに縋った。
良かった、ひかるが電話に出てくれた。「水希」って私の名前を呼んでくれて涙がまた出てきた。
「ひかる、今から会えない?」
「いいよ、水希の家に行くね」
「ごめんね、急にこんなこと言って」
「嬉しいよ、水希に会えるから」
「ありがとう」
ひかるが優しい。いきなり会いたいって言ったのに優しい口調でOKしてくれた。ひかるが来るまでに早く涙を止めないと、目が腫れてしまう。
私は周りに迷惑ばかりかけて、心配ばかりさせる。もう高校生なのに、情けない。
冷たい炭酸ジュースが飲みたくなってきた。
ひかるが来る前に買いに行こう。
気持ちをスカッとさせるためにレモンスカッシュがいいかな。サイダーかコーラもいいな。クリームソーダも久しぶりに飲みたい。
所持金は530円あるしメロンソーダとバニラアイスを買って贅沢にクリームソーダを作ろう。ひかるが喜んでくれるといいな。
ひかるのことを考えると心が少しだけ軽くなった。まだ痛みはあるけど、オブラートに包まれるように心が包まれた気がする。
メロンソーダって綺麗な色だ。緑色の中に気泡がキラキラ輝き、心をワクワクさせる。
あとはアイスクリームを乗せて、、めちゃくちゃ美味しそうにできた。
「クリームソーダ出来た!」
「美味しそう〜」
「ひかる、早く飲もう」
「うん」
美味しい!夏はクリームソーダが最高だ。かき氷もいいけど、アイスも食べれてメロンソーダも飲めて2つの幸せを両方一遍に楽しめるって最高すぎる。
ひかるも喜んでくれたし、美味しそうにメロンソーダを飲んでいる。楽しいな、ひかるといると楽で心が安らげる。
「ひかる、来てくれてありがとう」
「気にしないで」
「ひかるに会いたくなっちゃって」
「えっ///。そうなんだ」
「ひかるの顔を見れて元気出た」
「・・・嬉しい///」
ひかると話していると楽しくてつい時間を忘れてしまう。色んな話をしながら楽しんでいると、あっという間に時間が過ぎていく。
日が暮れてきて、ひかるがそろそろ帰らないといけない時間になってしまった。
もっと話したいけど、この足じゃ送ることもできないから諦めるしかない。
「もう、こんな時間だね」
「あっ、本当だ」
「ひかる、今日…泊まらない?」
「えっ、うん…///」
「いいの?」
「うん、親に電話するね」
嬉しい、まだひかると一緒にいられる。私はひかるが電話をしている間にお母さんにひかるの分の夕食を頼むため階段を降りだ。
「芽衣ちゃん、来てるの?」
「違う。お母さんは会ったことがない子で、ひかるって子」
「ひかるちゃん、来てるの?」
「うん、そうだよ」
「ふーん、間違い起こしちゃだめよ」
「えっ、お姉ちゃんどう言う意味?」
「言葉の通りよ」
リビングにいたお姉ちゃんが真面目な顔をしながら変なことを言ってくる。
間違いって、意味が分からないけど…さっきからぶつぶつと「恭子に電話しなきゃ」とか言ってる。
それに、私はどうせヘタレで奥手っぽいから大丈夫かって貶されてる。
「水希、まだ15歳ってことを忘れちゃダメよ」
「うん…お姉ちゃん、だから何?」
「大人の階段上がるには私の許可が下りるまで許さない」
「大人の階段?」
「芽衣ちゃんとだったら許す!」
「だから、意味が分からないって」
さっきから腰に手を当てて熱血教師みたいなことを言ってるけど、意味が分からない事ばかり言わないでほしい。
それに、ちゃんと説明してほしい。なんで芽衣の名前が出てくるのかを。
大人の階段て韓国ドラマみたいだ。確かそんな名前のドラマが昔あったはず。お母さんがハマって泣きながら見ていた気がする。
確か恋愛ドラマでかなりドロドロしていた記憶がある。お母さん世代はドロドロ系の恋愛ドラマ好きだよね…私はドロドロが苦手。
だって、三角関係とかみんな幸せになれないし悲しい展開が多い。必ず1人が振られるし、自分に愛情を向けてくれる人を振るなんて私だったら出来ない。
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