第126話 救出、しかし――。
「力を貸してくれ、
アイシャが乾坤圏に氣を込める。
――どうにかまだ話はできるみたいだ。どうすればいい?
思いが通じたのか、再び哪吒に呼びかけることはできた。消え去ったわけではないのだから、どうにかなった形だ。
――九龍の位置を探ってくれ、そこをぶんなぐってこじ開ける。
――わかった……!
アイシャの言葉に哪吒が頷いた。
「師範ッ! すまねェ、あのガラクタを引き付けてくれ。今から九龍を助ける!」
常軌を逸した性能の絡繰兵相手の囮になれとアイシャは
「わかった、絶対あの子を助けなさいッ。それは私の願いでもあるから!」
逡巡するところだが、そこは長い付き合い。京はアイシャの提案に迷わず頷く。
「さすが、
京が神龍を引き付ける間、アイシャは飛翔し、哪吒の感覚を借りて探る。
――どこだ……?
限界まで研ぎ澄まし、アイシャは九龍の居場所を探る。
「依代を助ける気か、無駄なことをッ!」
「ちッ、邪魔すんじゃねェ!」
狙いに気づいた神龍が剣を振るい、アイシャを叩き落そうする。
しかし、飛翔するアイシャに剣はなかなか当てられない。
「くッ、ちょこまかとッ!」
「遅ェよ!」
神龍は手を機関銃から変形させ、小回りの利く拳銃にしてアイシャに狙いをつけるのだが、哪吒が力を貸しているせいか、その速度は速い。
――頼む!
神龍が九龍へ痛覚を走らせる前に迅速に破壊しなければならない。
「いくぜ、
紅機を斃した際に喰らわせた踵落しを功夫として落とし込んだものだ。それに哪吒の炎も加わり、破壊力は相当増している。
「その頭、カチ割ってやるぜ!」
「な……!」
神龍がその威力に驚愕に固まる。
鳳凰羆踵落が神龍の頭に炸裂し、破壊する。九龍が神龍から弾き出されるのだが。
「よっと……。おかえりなさい。って、眠ってる……」
下にいた京が九龍を受け止めていた。師弟だからなせる見事な連携である。
「ぐ……、しかし我らは不死!」
しかし、神龍のナノマシンはその恐るべき速度で神龍の頭部を再生させる。
「龍族は永遠に不滅! いくら我らの企てをすべて破ったところで、ナノマシンを搭載した神龍は破壊できまいて!」
九龍は救ったが、神龍に搭載されたナノマシンを完全に停止しないことには勝利には届かないのだ。
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