第99話 参謀VS錬金術師
「博……どうして?」
クロウリーが驚いた顔をする、敵である博が助けに来るとは思ってなかったからだ
「あなた方が兵を退かせたのを見て、私が動いた次第です。事後処理はヤンに任せてますので、霧も薄くなってきましたからね」
戦況が大きく変動しため、動き出したのだ。そして――、
「あなたがたを引き入れようと思ったら、まさか雇い主に殺されそうになっていたとは思いませんでしたが」
博は苦笑していた。窮状であることを利用し
「なんとも食えない奴だ」
「それが私の仕事ですから」
ブレットが鼻を鳴らして皮肉を言うと博は肩をすくめて言葉を返す。参謀だけあり精強であるだけでなくジョークも介すという訳だ。
「それでも、感謝します」
「いえいえ」
クロウリーがふっと笑うと、博は帽子を取って頭を下げた。
「ふん、軍人とはいえただの参謀だろう? 何ができる?」
「確かに私は功夫遣いのような武術やヤンや帝のような武勇を持ち合わせてはおりません。しかし、時間稼ぎぐらいできますよ」
アーサーが博を嘲笑していると、帽子をかぶり直した博は手を掲げ、
「一斉射。増援が来るまで首魁の足止めを行えッ」
「
兵士が銃を構える。
制圧戦に優れたマシンガンやガトリングガンを主力武装に据えており、大量の弾丸を吐き出すそれらならばさしもの超人でも耐えられないと踏んでいた。
「ッ!」
凄まじい量の弾幕がアーサーを襲う。ソロネの煉獄の炎を耐えたアーサーでさえもさすがに足踏みをさせられた。
ソロネの炎はすさまじいが、西洋の銃の大量配備がそれを凌駕した形だ。
「クソッ、まさかここまで銃の配備が進んでいたとは……」
さすがのアーサーも大量の弾幕には歯噛みさせられる。耐えてはいるが、前に進めさせられない。
「仕方がないッ! 来い、オートマトンッ!」
手を掲げ、黒い道着を着たオートマトンを複数呼び出す。
「よし、こちらの予測通りだ。オートマトンを各個撃破せよ」
「
博が標的変更の号令をかける。
あくまで博の狙いは京やヤンが来るまでの時間稼ぎとアーサーの戦力を出来る限り削ぐこと。
西洋の戦術や武装を生真面目に取り入れ、独自に改良した男の真骨頂であり、これが超人と渡り合うための戦術だ。
「クソ……!」
アーサーは舌打ち。オートマトンが容易く撃破される。オートマトンは縮地が使えない、距離を詰めるといっても物理法則までは無視できないのだから。
――しかし、どこからあの生命力が……?
とはいえ、銃弾を浴びても耐えているアーサー化け物じみており。それが不気味ではあったのだが。
――その謎を解かない限り、首魁を斃すのは無理かもしれない。
それらはアーサーが自身に施した肉体改造や銀の水だけではないと博は予測していた。
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