第101話 充雪の人物紹介リポート
今日はもう一話本編上げております。
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さて始めるぞ!
第一回人物紹介りぽ~と!!
「せつじぃ、りぽーとじゃなくてリポートだよ?」
おっ、そうか。すまんすまん。まだ横文字というのに慣れんくてなあ。
「よこもじ?」
《他国の言葉のことだ。英語は縦に書かないだろう》
「へ~、そっか、わかったっ。ハクちゃんありがとうっ」
むむ……は、始めてもいいだろうか……?
「いいよ~」
よしっ。
では先ず一番に名乗りを上げるのはオレだ!
「せつじぃだねっ」
う、うむ……最近めっきり出番が減ったオレだ……。
●
秘伝家の始まりは、あらゆる武道を極めようとしていたいわゆる武術バカだ。
《自分で言われるのか……》
気にすんな。オレらにとって『武術バカ』は褒め言葉だからなっ。道場破り大好きな一族だ!
「どうじょうやぶり……」
《……後で主に聞くといい》
「は~い」
続けるぞ?
そんな中、時代の流れや後継者の問題で失われていく各武道の奥義を惜しく思ったオレの父、
これが『陰陽武道』だ!
秘伝や奥義を一時預かることを可能とし、あらゆる技を会得出来るよう、武を極めた一族というのが秘伝家なのだ!
「あずかるの? いっぱい?」
いっぱいだ。空手などの無手だけでなく、剣や弓、槍、棒術だけでなく芸事もできるぞ。
現当主である高耶ならば三味線、舞踊、雅楽器だけでなく、ピアノとか西洋の楽器も一通りやれるはずだ。
「お兄ちゃんピアノじょうずだった!」
あれは集中力を上げるのに良いとか言って色々手を出していたからな……手を広げ過ぎてる気もするが……
「そういえば、お兄ちゃん、ユウキとみょうじがちがうね」
《それは我が説明しよう。元々、主殿の苗字は蔦枝だった。
秘伝家の分家の名だ。母である美咲が再婚したことで、戸籍は優希と同じ幸花になっているのだが、主殿は公式の場では秘伝を。
一般的には未だに蔦枝を名乗っている。周りも混乱するのでな。そのままにしているようだ》
「ふ~ん」
気にすんな。苗字が違った所で、ユウキの兄であることには変わらん。
「うん! それに、お兄ちゃんとケッコンしたらおんなじになるもん!」
お、おう……
●高耶の今の家族というのが三人。
母親の
その再婚相手が優希の父の
優希は樹の本当の娘ではなく、樹の亡くなった兄の子だっていうのは、ちゃんと知ってるんだったな。
「しってるよ。だからユウキはお父さんとお母さんが二人ずついるの!」
《なるほど。良いことだな》
「うん! いいことだよ! あれ? トウジお兄ちゃんは? お兄ちゃんのおとうとじゃないの?」
あいつは本家のやつだ。本当の弟じゃないぞ?
「そうなの?」
●秘伝の本家直系
これが問題でなあ。
勝手に当主を名乗っている愚か者が秀一。
こいつは、昔から卑屈な奴でな、武道家としての腕は高耶の実父の方が断然上だったぞ。
《毛嫌いしておったかもしれんな》
あり得る。そんで、高耶より一つか二つ上の息子が勇一。こいつはなんていうか……あれだ。良くないタイプの『ガキ大将』って感じがするな。
「それしってる! わるい子だねっ」
自分が一番って思ってんだよな。世界の広さを知らん奴だ。
そんな奴の弟だからな。統二はどっか自信なさげなところがある。
「トウジお兄ちゃんは、あたまがすっごくいいんだよ?」
陰陽術も、本家の中では一番だろうな。
《瑶姫が認めておる。確かだろう》
●瑶姫と呼ばれる瑶迦は魔女だ。
姫と呼ぶに相応しい容姿をしている。
十代後半の少女にしか見えんが、実際は二百はいっているはずだ。
藤や菫、橘といった花の精を式神として側に置いている。
土地神にもなっているから、あまり外には出てこれんのは気の毒だな。
高耶が会いに来るのを楽しみにしているようだ。
《瑶姫を筆頭に、あそこのは主のことを息子か孫のように可愛がっているからな》
「わたしもヨウカねえだいすき!」
高耶は結構、大人に可愛がられる奴だよな。
《うむ。連盟でも目をかけている者は多い》
●連盟
陰陽師や魔術師によって設立された団体のことだ。
正式名称は
まあ『幻幽会』とか言うと、いかにも怪しい団体に聞こえるからという事情もあるらしい。
「そこにいるヒトたち、みんなお兄ちゃんみたいにドアでちがうところにいけたりする?」
《みんなではないな。あれはそれなりに技術がいる》
専門で繋げる『行脚師』ってのがいるから問題ねえぞ?
連盟には色んな専門家がいる。
ユウキが祭りで見た神楽部隊とかな。
「がっきをえんそうしたり、おどる人だねっ」
そういうことだ。
それをまとめる代表っていうのが
●九人の首領だ。
筆頭があの有名なと言われる安倍家。
現当主は古式ゆかしい……と言っていいのか?
ちょっとクセのある女当主の
その世話役の
まあ、クセ者の集まりだな。
ここに高耶も入るぞ。
「お兄ちゃんも? えらい?」
おう。大人に混じってな。
当たり前だが一番の若手だ。
けど、まあ可愛がられてるな。
中でも達喜とかは、高耶が本家にバカにされてるのが気に入らなくて、一緒にカチコミっ……いや、なんでもない……珀、ちょっ、その目やめて……
《うむ。達喜殿は主を武道家として尊敬しているらしい》
「大人の人が、お兄ちゃんはスゴイっておもってるってことだね!」
《そうだ。主と一番年の近いのが一人いてな。そやつも主の力を認めている》
●
首領の一人で、高耶に次いで若手の当主だ。
榊家もかなり古い陰陽師の家系だな。
ただ、直系が絶えてしまったらしく、分家から源龍が引き取られたんだと。
そういうところ、理解あるよな。
まったく、ウチの本家とはえらい違いだ。
ただ、最近になって源龍そっくりな女が騒動を起こした。
●
普段は貴戸と名乗っているらしいが、本来は鬼渡。
鬼と人の血を持つ異質な存在だ。
鬼は人を喰らうのでな。
陰陽師達の宿敵だ。
その鬼を手助けしている怪しいやつだ。
こいつが源龍に瓜二つで、色々調べてたところだ。
「あぶないの?」
《心配いらん。我らが守る。もちろん、主殿もな》
「うん!」
そんな珀達、高耶の式神っていうのはちょい特殊だ。
●高耶の式は一般的な四神の姿ではない。
風の
白虎ではなく『フェンリル』らしい。
人化すると二十代後半の男の姿。
『ロックな主夫』だ。
火の
朱雀ではなく『天狐』だ。
尻尾は三本。
人化すると二十代の花魁姿だったが、現代仕様に変更している。
『近所で有名な美人なお姉さん』だそうだ。
水の
青龍ではなく『ユニコーン』
水晶のように見える青い豪華な置き物っぽいな。
人化すると十代の少年だ。
『ツンデレショタ』とか誰かが言ってたぞ。
土の
玄武ではなく『獅子』
それも金の獅子だ。
人化すると二十頃の童顔で表情が乏しい少女? になる。
そして食いしん坊だ!
『クールなSP』? よくわからんがそんな感じだな。
光の
この属性は珍しい。
本来の姿は『鳳』だ。
光ってよく見えんがな。
人化すると二十代の真面目な好青年だ。
『勇者か騎士』ってよく言われてる。
闇の
これも光同様に珍しい。
本来の姿は……『ドラゴン』だ。
黒くて邪悪な感じのカッコいいやつ。
人化すると三十くらいか?
色気がスゴイぞ。
女王様って感じがする……
『夜の女王か魔王』だそうだ。
こうなったのは友人の影響らしい。
●
高耶の小学生の時の幼馴染だ。
こいつとゲームとか映画を見て、式神達のイメージが四神とはかけ離れたものになったようだな。
大学で再会して、楽しそうにしている。
秘伝の仕事で、高耶の力がバレたからな。
「そういう人、ほかにもいる?」
あ~、そうだな。
大学だと一人教授がいたな。
●
陰陽師で、連盟にも加入している
高耶に大学を薦めたのもこいつだ。
《うむ。たいてい、陰陽師の家系の者は大学へ行かずにそのまま家業を継ぐからな。主殿は当主であるのに珍しいようだ》
「学校いかなくていいの?」
視える奴は、学校とか会社とか好きになれんのだ。
まあ、現代では高校までは無理にでも行くようだが、妖が多いからな……
《学校や会社では、ストレスが溜まるものだ。そのせいで、影喰いが多い。アレは視えると気が散る》
スッゲー目障りだよなっ。
●妖も色々だ。
『影喰い』は
それが酷くなると人に取り憑いて人から生えてくるように視えるな。
『口灯蛾』は嫌味な人の顔に憑く蛾だ。
そんで、大きくなるとその重さで顔が歪む。
嫌味な奴らって、口角が歪んでたりするだろ。
アレの仕業だな。
『改書虫』はどっちかっていうと
古い文字が好みで本に棲みつく。
ただ、本が劣化せんようにしたいのか、開けなくなるのが問題だ。
正しく対処すれば、消えかけた文字も元に戻って、数百年風化することなく良い状態で本が残る。
だから、わざとこれに取り憑かせる時もあるな。
重要な陰陽師の持つ資料とかの保管に使う。
『書食虫』は改書虫に良く似てるが、これは良くねえ奴だ。
こいつはその名の通り文字を食べる。
改書虫とは真逆で、資料をダメにしちまう妖だ。
『凝隷虫』ってえのは、芋虫みたいな奴だな。
凝り固まった考えのやつが好きらしい。
頭の後ろに取り憑くが、大きくなると枕でも付けてるみたいに視えるぞ。
ただ、こいつは臭くてな……匂いのキツイ花が複数集まってるような……花屋なんて目じゃないくらい匂う……
まあ、今回はこんな感じか。
また折を見てやるからなっ。
楽しみにしててくれ!
「おわった?」
《終わったな。ケーキでも食べるか》
「ケーキ! たべる!」
……オレも食べたい……
「おそなえするね~」
《三十秒でよいか?》
「三十びょ~♪」
泣くぞ!
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読んでくださりありがとうございます◎
今日はもう一つ上げています。
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