120
ギュッと手を握ると、礼奈もギュッと握り返した。
「創ちゃんは白馬に乗った王子様だね」
「へっ?」
「礼奈に何かあると、すぐに駆けつけてくれる。桐生君の時も、今日も」
「そうだよ。俺はいつだって直ぐに駆けつける。礼奈がSOSを発したら、すぐにわかるんだ。俺のレーダーが察知するから」
「レーダー? クスッ、創ちゃん、いつもありがとう」
「今日はやけに素直だな」
「『俺の礼奈に手を出すな』って、もう一回言って欲しいな」
「はっ? 今ここで? そんなこと何度も言えないよ」
「お願い。もう一度聞きたいの」
「ばかだな。こほん、これで最後だよ。俺の礼奈に手を出すな」
「きゃは」
「俺の礼奈に手を出すな?」
「きゃはは」
礼奈といちゃついていたら、二階の窓が勢いよく開いた。
「こら、そこのバカップル。近所迷惑だ。早く家に入れ!」
敏樹が窓から身を乗り出して叫んだ。
バカップルとはなんだ。
俺達はピュアなカップルなんだよ。
敏樹の声が一番近所迷惑だ。
「もう少しここにいようか。家に入ると敏樹がガチョウみたいにガアガア煩いし。たまには夜空を二人で見るのもいいな」
「うん。あの夏のキャンプを思い出すね」
「あの夏……。車の中から見た夜空」
「うん。綺麗だった」
車の中から見た煌めく星。
礼奈に腕枕して、一緒に朝を迎えた。
礼奈と俺の……
はじめての夜。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます