64
【礼奈side】
お兄ちゃんが追い返した相手は、桐生君だった。桐生君は門の前に立ち尽くし、二階にいた私に『おいで』と言わんばかりに手招きをした。
何の用だろう?
どうして家がわかったのかな。
それが知りたくて、私は部屋を飛び出した。サンダル履きのまま玄関を飛び出し、桐生君に駆け寄る。
「どうしたの? 桐生君」
「うわ、超可愛いな。制服試着したんだね」
「うん、明日入学式だから着てみたの。似合うかな」
「すっごく似合ってるよ。めちゃめちゃ可愛い」
「ありがとう。桐生君、よく私の家がわかったね」
「
「花沢君と友達だったんだ。学校であまり話してなかったから、友達だなんて知らなかったよ」
花沢君は不良グループに属していた男子。桐生君は中学校で成績優秀な爽やか王子だったから、二人が友達だったなんて、今まで知らなかった。
桐生君は二階の窓を見上げた。
ぼんやりと映る人影、白いレースのカーテンが揺れている。
「南って、お兄さんが二人いるんだね。さっき見たお兄さんは南と全然似てないね」
お兄ちゃんが二人?
そっか、創ちゃんのことをまだ勘違いしてるんだ。
「えっと……。さっき玄関で応対したのが私のお兄ちゃんだよ。ショップで会ったのはお兄ちゃんの友達なんだ」
「お兄さんの友達? どうして南がお兄さんの友達と? 合格発表も二人で来てたよね?」
「あのね。実は……付き合ってもらったの」
「えっ? 付き合ってもらった? 合格発表に付き添ってもらったのか?」
「そうじゃなくて、私達交際してるの」
「う、嘘だろ? だってどう見ても大人だし」
「私とは四歳離れてるから。彼は大学生なの」
「まじで? 南が年上の大学生と交際してるのか?」
「うん」
「お……驚いたな。あの人が……南の交際相手だったなんて」
桐生君は一瞬キツい眼差しになったけど、すぐにいつもの爽やかな桐生君に戻った。
「そっか、彼氏がいたんだね。南に彼氏がいるなんて意外だったな。でも俺の気持ちは変わらないから。彼氏がいても変わらないから。じゃあ、明日入学式で」
俺の気持ちは変わらない?
それって……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます