第41話

さてさて、晩飯だ。最近はサボりたかったけど監視が何名か居たせいでサボれなかったし楽しみが食くらいしか無かった。


そして今日の待ちに待ったディナーさて何が出るかね。


「本日は領内で取れたセロリとほうれん草、クレソンパセリのサラダ、スープは鶏のコンソメを、メインは稲妻カジキのムニエルとなっています。公爵様のご指示の通り全て領内で取れるモノを取り扱っております。」


ミーシェルの子ども時代から雇っているシェフだが俺が公爵になってからも料理を作ってくれている信頼できるシェフだ。


「うん、ありがとう。それで今回調理をしてみて何が料理人として魅力的に見えたか料理の説明と一緒に言ってみて。」


「はい、カジキの身の弾力と脂の細やかさがとても印象的でステーキにするのか迷いましたが今回はカジキの脂の多さからバターを使わずにカジキの脂のみで焼きました。またそれにかけるレモンなのですが今回は領内で栽培されている酸味の強い柑橘類をお使いいたしました。サラダに使われた野菜のハリツヤがとても鮮やかでその素材の味が生かせるようにリンゴ酢をほんの少し足らすことに致しました。コンソメスープの鶏は偶然見つけたハーブ鶏を使いスパイスなどの分量を控えめにすることができたので旨味がたっぷりと感じられるスープとなっております。」


うん、聞いておいてなんだけど饒舌に語るね。ってかシェフの目がキラキラしてるよ。


うんどれも美味しい。しかしこのカジキの柑橘は


「これは召喚者から伝わったカボスかな。」


「流石です。今から400年前にいた召喚者たちが持っていた果物の一つを言い当てるとはしかしながらアーレギオン様何故その味をご存知で。」


「ああ、これ王都の鍛冶場のところにレモン水と一緒に水で混ぜて売ってる屋台があったからね。レモン水よりこっちの方好きだって言う人も居たし手に入りやすいと言えば手に入りやすいからね。けど好みに別れるカボスをここまで引き立て役に専念させるカジキの選択肢は合ってると思うけど他のお客さんを呼ぶ時はやっぱりクセの強い食材と合わせるのがいいかな。」


「はい、召喚者の方々でも好みに差がでる果物でして領内でもレモンが主流過ぎるため使いどころを選ぶのですがアーレギオン様がお好きならば出して行こうと思います。」


「うん、よろしく。後、家庭でも使いやすい食材があったら教えてね。」


「はい、尽力いたします。」


名産品作るのに手っ取り早いのは食だ。食に余裕のあるモノは美味を求めてやってくる。美味しいは正義、これは譲れない。


ラピスを見ろ満面の笑みでおかわりを注文しているぞ。


さて俺もカジキのおかわりを貰っと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る