第38話

「ふう、めんどくさい。」


アレから結構経ったのだがまだ人生の墓場までは行っていない。一応婚約発表は行っているが時期としては長めで3年後にあげるとのこと。なんでも女の味を知ってからのその後も貴族は試されるらしい。


現在は侯爵領と公爵領が統合されて公爵領になっているところの書類仕事を行なっている。


「公爵様、こちらの書類にも目を通して下さい。」


アルティマ様が秘書になったお陰で仕事はそこまでやらなくても良くなった。現在この部屋にはミーシェルさんとエリーナさんが仕事をサボらせないように見張っている。


「村の川の堤防作りか。軍に任せるか?」


「軍に任せるものですがいささか今回の案件で公爵領の私兵も信頼できるもが限られてしまいます。」


「うーんそれじゃあ現地住民での雇用という形で作るのがいいな。」


サラサラっとこちらの言葉で書きながら詳細を書いていく。やりたくはないがやらなければいけないことはやる。楽にしたいから楽にできるような配慮をしていく方針だ。


「あとそれを刷っておいて。」


「はい。」


これでもう一度同じようなことが起こったときの対象ファイルにするためだ。

地味だがこの作業が後半に生きる。

失敗したとしても良い失敗となる。この領にはそう行った資料がバブル侯爵のものしかなかったために苦労しているのである。バブル侯爵もバブル侯爵でそこそこ上手いは上手いのだが現場から遠ざかったブランクは大きくいくつか川の氾濫した場所があった。


「とりあえず桜の木があるならそれを川の堤防沿いに植えておいてくれる?」


「「え?」」


えってお二人さん。


「召喚者とかから伝わってるよ。確か王宮の書庫には堤防沿いに桜の木を植えることでそれを見る人たちに踏んでもらうことで定期的なメンテナンスが必要であるにしろ普通に作るよりも強度と土の還元率が良いものに仕上がっていたって書いてあったよ。」


実際にそう書かれていたのである。今は魔術に頼った方が早く終わるためメンテナンスもすぐに終わってしまう。アナログの良いところは長持ちしやすいというところ。川の氾濫を止めるのは難しいがこの世界は地球温暖化までは行っていないためこのくらいが十分なのである。


「公爵様はなんでもお知りなのですね。」


元侯爵令嬢のアナタだってできたでしょうに


「なんでもは知らないよ。なんでも知ったていたらシェルのおじさんが心臓を止める前に進めていたはずさ。」


「しかし一命は取り止めているではありませんか。それを行う度胸が私も羨ましく思えます。」


あ、はいそうですか。

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