真白にのぞむ

作者 陽澄すずめ

日常が、白灰のようにくすんだモノになってしまった人へ。

  • ★★★ Excellent!!!

分かり易い美しさというものはそれこそ粉雪のように長続きせず、むしろ積もれば積もるほど、親しめば親しむほど、退屈さ、気怠さばかりが身に重く圧し掛かってくるものなのかもしれません。本当に身をうち震わせるだけの力のある美というものは、遠目から眺めるだけではわかりませんし、またその内部に籠り切っても見えてこないものでしょう。ぬるま湯のような室内からエイヤと外へ出て、冬の厳しい寒波に身を晒しながら、ふと改めて、慣れ切ったはずの住処を見遣ったとき――初めて私たちは、そういった本物の美しさに出遇うことができる……私には、そのような物語に映りました。

「何も起こらない話」とのことですが、とんでもない。むしろこの物語の中で起こる出来事を味わえることこそ、何よりの幸せなのだと、そう思います。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

その他のおすすめレビュー

律角夢双さんの他のおすすめレビュー 168