第63話 コマンド、インターフェイス、グレーアウト
パチ……パチ……
焚き火が燃える。
夜。
空間収納──懐かしい──から出したテントで野宿。
久々に食べる、エメラルドの料理は絶品で。
「結局、ホダカは何をしたんですか?」
人心地つき。
エメラルドが尋ねる。
「世界を破壊した、それだけだ。ヴネディアの夢世界だけに留まるのか、この世界まで破壊してしまうのか……そこが賭けだった」
「なるほど……それで、躊躇っておったのじゃな」
キース君が頷き、
「いや、待って下さい?!まず、世界を破壊って何ですか?!そもそも、能力を封じられていたのに何で?!」
「能力じゃないよ、コマンドだ。インターフェイスに組み込まれたボタンだから、残ってたみたいだな。グレーアウトもしていなかったから、使えるとは思っていた」
「???」
エメラルドが何故か涙目になる。
テレビゲームできないタイプだな。
クラスの話題についていけないぞ?
ちなみに、[崩壊させる]ボタンは無くなった。
1回限りの一発ジョークボタンだ。
「エメラルドも、いい加減慣れたらどうなのじゃ?」
キース君が、人をラノベの俺また何かやっちゃいましたか系主人公っぽい扱いにする。
やめい。
「さて、明日も早い。寝ようか」
自分のテントを開け、中に入る。
テントは2つ、男用と女用だ。
「そうですね」
ナチュラルに入ってくるエメラルド。
おい。
「……エメラルド、君は向こうだよ」
「え、何故私だけ?」
あのなあ。
俺だって健康な男だ。
エメラルドの様な美女が横に寝ていたら、落ち着いて寝れん。
というか、自分を抑える自信が無い。
「男の寝室に年頃の女性が入ってくる……それがどういう事か……分かっているのか?」
少し脅す様に、低い声で言うが……
エメラルドは困惑した様子で、
「え、今更ですか……?」
え。
「昨日まで、一緒に全裸でお風呂に入って、寝る時も抱き合っていましたよね。その……色々と撫でても頂きましたし。キスも何度も」
……あれ……猫……?
「……相棒よ。言おうとは思っていたのだが。そなたにとって、エメラルドが猫でも……エメラルドにとっては、普通にそなたは人間で……裸を見て、見られて、身体中触られて……本当に今更だと思うぞ」
何……だと……
「というか、もう、ホダカ無しでは生きていけない身体になりました。寂しいです。抱いて寝て下さい」
むくれてそう言う姿は、狂おしい程可愛らしくて。
……
理性を総動員して、何とかエメラルドを別テントへと追いやりました。
持たざる者の秘技、土下座が決まった。
「頂いてしまえば良かろうに」
キース君が半眼で言う。
「……あれは、そういうのでは無いと思う。手を出せば、信頼を裏切り……嫌われてしまう。俺は、自分の分をわきまえているよ」
「……そういうのでなければ、一体どういうのじゃろうな」
キース君がため息をつく。
さあ?
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