第14話【大富豪・その4】

最終戦、 カードを配り終えて交換を終えた5人。


「・・・審判、 脱税を宣言する」


ヒンミーが脱税を宣言した。

大貧民や貧民が最も強いカード、 つまり大富豪や富豪に渡さなければならないカード以外の

カードを渡すルール違反を脱税と呼ぶ。

明確なルール違反だがプレイヤーが指摘しない限り公式戦ではお咎めは無い。

何故ならプロならば指摘出来て当たり前、 という風潮があるからだ。

プロならば絶対にバレる、 看破される。

だから誰もやらない、 筈なのに何故か今回は脱税を宣言する。

今回の全国大会では脱税を宣言してもしも脱税していなかった場合。

手番が一回スキップされると言う裁定になっている。

審判がヒンミーとヒンミーとカードを交換したジンセの手札を確認する。


「確認の結果、 脱税は行われていません」

「これが最強の手札二枚って・・・ジンセ、 運が無いじゃ無いか」

「まぁこんな時も有るさ、 だがこれが人生だ、 私は全力で行くぞ」


脱税ならず・・・今回はジンセからスタートする事になった。


「♡3」

「♡4で縛りだな」

「♡8で8切り」


フーゴが8を切った。


「む・・・4止め居ないか?」


誰も4を出さない。


「ちっ、 なら流しだ、 運が良いな」

「運がいい? この位で運が良いとは言わない」

「何?」

「運が良いとは、 こういう事を言う」


手札を全て出すフーゴ。


「階段♠5~♠2階段で上がり」

「「「「はぁ!!!?」」」」


会場が騒然とした。


『で、 でたぁぁぁ!! 土壇場のフーゴの超豪運だぁ!!

これで今大会優勝はフーゴに決定だあああああああ!!!

これでフーゴは今大会三連覇だああああああああああああああ!!』


大会が歓声に包まれる。

ハシモトが立ち上がる。


「あれ、 ハシモトさん? もう行くんですか? 閉会式見て行かないのですか?」

「あぁ大体分かったからな」

「分かった? 何が?」

「今日、 ここで試合を見に来たのは仕事の一環だ」

「仕事?」

「ニコは私の仕事何だか知っている?」

「除霊屋との橋渡し、 ですよね?」

「そうそう、 今回、 見た結果如何やら憑かれているのは確定的に明らかだ」

「そ、 そうなんですか!? それで憑かれているのは一体・・・」

「憑かれているのは今、 優勝したフーゴだ」

「そ、 そうなんですか?」

「まぁ、 良い、 とりあえず控室に行くぞ」

「は、 はい!!」


―――――――――――――――――――――――――――――

【登場人物紹介】

ジンセ

国内トップ大富豪プレイヤーの一人

初老の男性だがここぞと言う時の眼光は鋭い

大富豪全国大会25連覇を成し遂げた生ける伝説の異名を持つ

しかしフーゴの登場により連覇記録は止められてしまう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る