第56話 二人目の異界翻訳者 11/30 (fri)

 何日かをダンジョン内で過ごした俺達は、落札終了日に地上へと戻ってきた。

そこで、早速最終落札価格をチェックした俺は、思わず声を上げた。


「四千百六十一億四千二百万?!」


 いや、上げるでしょ。なにこれ。


「標準財政規模で言うと、丁度三重県とか群馬県と同じくらいですよ。純粋な予算で言っても、島根県を上回って、佐賀県レベルです」


 そうなのか。意外と地方自治体の予算って多いんだな。――って、そうじゃないだろ!


「流石近江商人、落ちついてんなぁ。俺はガクブルだぞ?」

「先輩。これがもしも従来の入札ルールだったら、百億ドルを越えていたかもしれないんですよ?」


 ああ、そういや今回は特殊な方法だったんだっけ。


「最後に乗っかってたのは二千億一千万でした。相手方は+一億、+十億、+百億、+千億したところで、十二秒が経過したみたいですね」


 つまり相手にはもっとビッドする気持ちがあったというわけか。


「それに、我々庶民にとったら、百億も千億も変わりませんよ。どっちも『すごく大金』くらいの認識しかありませんから、現実感がないんです」


 まあ、そういわれれば確かにそうだ。


「で、結局どこが落札したんだ?」

「落札者は……これ、たぶんDADですね。不思議なのはギリギリまでDoDも競ってたってことなんですけど……」


 USDAじゃなくて、DAD。

しかも同じアメリカなのにDoDと競ってるって……仲が悪いのか?


「NATO加盟国やJPの政府筋と思われるIDは、途中でぴたっと競りが止まってますから、そのときUSと内々になにかやりとりがあったんじゃないでしょうか」

「各国で連係して落札する、とかか?」

「いかに国家といえ、年末に、予定になかった巨額の支出は大変でしょう」

「問題はオーブを手に入れた国が、他の国にその情報を正しく伝えるかどうかってところだけど」

「そのあたりは軍事同盟も似たような葛藤があるでしょうから、何かうまくやってるんですよ」


 ま、確かに俺達がそれを気にしても意味はないか。

 

 そうして、世紀のオークションは幕を閉じたのだった。表向きは。


「しかし、三好。これ、どうするよ? 百億ドルとは行かなくても、ちょっと一パーティで得るには大金過ぎるだろ」


 今更とは言え、前面に出てる三好のことが心配だ。

今はWDAIDしか表に出ていないけれど、これだけ派手に活動して、落札者が各国の代表みたいな有様じゃ、リークは絶対避けられない。

個人が大金を得ると、変な輩が涌いてくるらしいからなぁ……


「ステータス計測器の工場でも作りますか?」

「一旦行き渡ったら需要はそこで頭打ちの商品だし、その後転用できる商材もない状態で、大きな生産力を持った工場は不要だろ」

「まあそうですね。ある程度の工業力は必要だと思いますけど……なら寄付か、基金でも作るとかでしょうか」

「基金?」

「うちなら、ダンジョン探索者のための何かですかね?」

「基金か……四千億だもんなぁ……」

「先輩……普通の商人は、仕入れを行い、それを販売して利益を得るんですよ。オークショニアのバイヤーズプレミアムは、こんな金額だとせいぜい一〇%くらいのものです」


 それを聞いて俺は目から鱗が落ちた。

自分達の立場で考えるから全額なのであって、普通の感覚だと、うちのパーティの取り分は一〇%くらいなのか。

金額にインパクトがありすぎて、思いもしなかったよ、そんなこと。


「一〇%でも充分に多いし、ちょっと考えてみるよ、その辺」

「わかりました」


 三好がそう返事をしたとき、JDAの鳴瀬さんから三好のプライベートな端末に連絡が入った。きっと出口を出た時の記録をチェックしてたんだな。週末の夜だってのに、仕事熱心なことだ。


「あ、三好さんですか? お疲れ様です、鳴瀬です」

「はい、どうしました?」


 鳴瀬さんによると、落札価格があまりに高額なので、受け渡しまでJDAから人を派遣しましょうかということだった。

 JDAが信用できないと言うわけではないが、外はともかく、敷地内の警備は断った。現在うちの事務所の敷地には四匹の番犬が、あちこちの影に潜んでいてヤバいのだ。


 あいつら、どこか普通のヘルハウンドと違っていて、ハイディングシャドーだけでなく、なんというか、要求されたことを満たすための魔法を使いはじめたのだ。

例えば――


「いい? アルスルズ。侵入者を捕まえるのと、私の護衛がお前達の仕事よ」

「「「「がうっ」」」」


――というやりとりがあって以来、こいつらは足下に闇の穴を空けて牢獄へと陥れるシャドウピットや、麻痺や睡眠の状態異常を伴う闇のロープで対象を縛り上げるシャドウバインドや、ついには影を渡って移動するような魔法まで使い始めた。


 どこの国の人かは知らないが、戻ってきたとたんに三人の犠牲者が出た。

面倒に関わりたくなかった俺達は、そのまま闇の檻の中でお休みになって頂いて、明日にでも某田中氏にそのまま引き渡すつもりだ。もちろん、その後のことは関知しない。

「これで警備は万全ですよね!」と三好は喜んでいるが、俺は、いつか普通のセールスマンだとか宗教の勧誘だとかが犠牲になるんじゃないかと内心戦々恐々としていた。


 それとこいつら、どうやら魔結晶がお好みらしく、三好が調べていたスケルトンの魔結晶をおねだりしてせしめ、実に美味そうに囓っていた。

俺達の食品が嗜好品なのは分かっているが、餌が魔結晶だったりしたら鼻血ものだ。 何しろカネで買おうにも売っている場所も在庫も僅少だからだ。毎日取りに行くというのは勘弁して頂きたい。

ご褒美のおやつ程度の位置づけであって欲しいものだ。


 そうこうしている間に、三好が通話を終了した。


「んでなんだって?」

「派遣は中止するけれど、鳴瀬さんは今からいらっしゃるそうです」

「今から?」


 俺は事務所の時計を見上げた。時刻は二十一時を過ぎている。


「仕事熱心な人だなぁ……」

「とはいえ、JDAにしてみれば、四百億円のお仕事ですからね」


 そうか。JDAの手数料は一〇%だもんな、って、四百億の手数料? いや、それ多すぎない? 今、ちょっと理不尽を感じたよ……バイヤーズプレミアムは棚に上げちゃうよ。


「それにしても、鳴瀬さんはビジネスのためにわざわざ週末の夜遅く、相手先を訪ねるようなタイプじゃないと思うんだけど」

「先輩、鈍いんだか鋭いんだかよくわかりませんね」


 単に心配したんでしょうと三好は言った。俺もそう思う。


「だけど、丁度良かったじゃないですか」

「なにが?」

「例のソラホト文字ですよ」

「ああ、なるほど」


 ここでついでに聞いてみればいいわけか。


  ◇◇◇◇◇◇◇◇


「古典ヘブライ語にアラム語が交じった文章が、古ヘブライ文字かフェニキア文字で書かれたものだそうです」


 あれからすぐにやって来た鳴瀬さんは、ソラホト文字の写真データを見ると、すぐに友人のツテをたどって、同志社の神学部の人に辿り着いた。

同志社の神学部は聖書関連の語学に関しては、国内でも有数の学部なんだそうだ。古いヘブライ語やアラム語の授業まであるらしい。


 紹介された人も、JDAからの依頼に興奮して翻訳してくれたらしくて、すぐに返事があった。とはいえもう二十三時なのだが……


「なんですそれ、ややこしいですね」

「ヘブライ文字はもともとアラム文字から派生したんですが、そのアラム文字はフェニキア文字を拝借していたため、まあ、大体フェニキア文字と同じだそうです」

「また、古ヘブライ文字というのは、ヘブライ文字が使われる前にヘブライ語を書くのに使われていた文字で、こちらもほぼフェニキア文字と同じなんだそうです」

「ああ、だから混ぜても書けるのか」

「はい。それで、古典ヘブライ語というのは語彙が少ないそうで、問題の文章は、単語がアラム語とゴッチャになっているそうです」


「しかし、なんで古典ヘブライ語なんだろう?」

「神の言語、だからじゃないですか?」


 三好がこともなげに言った。


「厨二病かよ」

「随分高度な厨二病ですけどね」


「神は天にいまし、そしてネットの中へ。ついにはダンジョンに住まわれるってか?」


 俺は、上を指さし、PCを指さし、そして最後は足下を指さしてそう言った。


「翻訳してくれた彼は、まるで当時の文献に触れたAIが、古典ヘブライ語もアラム語も同じ言語だと考えて学習したみたいだって言ってました」


「それで、肝心の意味は?」

「台座部分は、酷く迂遠な言い回しになっているんですけど、要約すると『さまよえるものよ、真のグリモアの叡智に触れよ』のようです」

「門柱は?」

「さまよえる館、だそうです」


『真の』って部分は、The book of wanderersのオリジナルという意味だろう。

しかし、叡智に触れるためには、どうしたって翻訳する必要があるよな。一体なにが書かれているんだろう。


「それで……このお屋敷は一体なんですか? まさか、これが代々ダンの中に? 私が知る限り報告されたことがないのですが……」


 俺と三好は顔を見あわせたが、すぐに今回遭遇した事件について話し始めた。


「つまり、一定の条件を満たすことで、そのフロアに『さまよえる館』が出現して、その日が終わるまで存在し続ける、というわけですか?」

「あくまでも推測ですけど」


「それで、その館ですけど……」

「ああ、それは見ていただいた方が早いですね」


 俺は、事務所のブラインドを全て下ろし、三好が編集した動画データの入ったメモリカードを取り出して、応接にある七十インチのモニターへ出力した。


「これは……」

「館に入るところからですね。映像はメットにくっついているアクションカメラのものです」


 音声は取り除いてある。

だって、自分のびびってる台詞が入ってるのは恥ずかしいからな。


  ◇◇◇◇◇◇◇◇


(先輩。ブラインドを下ろした後、すぐに二人ほど捕縛したそうです)

(まあ、中でなにが行われているのか気になるだろう。しかしゴキブリほいほいだな)

(後でまた、魔結晶がいりますかね?)

(せめてスケルトンのやつにしておいてくれ。あ、後、例の箱も頼む)

(了解です)


 鳴瀬さんが映像を見終わったのは、もうすぐ日が変わる頃だった。

食い入るように見ていた緊張をほぐすように、深々とソファにもたれかかると、大きく長く息を吐き出し、天を仰いだ。


 それを見て三好がコーヒーを入れ始めた。


「どうしました?」

「どうしたじゃありませんよ。なんですかこれ?」

「ああ、最後はグロいですよね、あの目玉」

「違います! いや、まあ、それもそうなんですが……」


 鳴瀬さんは何かを考えるように目を閉じる。

しばらくして目を開くと、おもむろに聞いてきた。


「それで、これ、何処まで報告するおつもりなんでしょうか」

「何処までって……我々は管理監殿に報告したわけですから、何処までもここまでもないでしょう?」

「え? あ、そ、そうですよね! じゃあ、この件は全部上にあげていいわけですね」

「もちろんです」


 俺がうさんくさい笑顔でにっこり笑うと、同時に三好が彼女にコーヒーを差し出した。


「どうぞ」

「あ。ありがとうございます」


 彼女が一口飲むのを待って、俺はパンと手を叩いた。


「さて、ここまでで管理監のお仕事はおしまいです」


 それを聞いた鳴瀬さんの肩が、ぴくりと動いた。


「ところで鳴瀬さん」

「はい?」


 警戒するように彼女が返事をする。


「JDA職員って、定期的にDカードのチェックとかされますか?」

「いえ? ランキングリストに使われている、WDA本部にあるザ・リングから出たタブレット状の道具は別として、Dカードはそもそも管理することができませんから、通常の管理にはWDAカードが使われます。一般的に言って、Dカードが必要になるのは、パーティに所属するときのスキルの証明くらいでしょうか」


 よし、以前講習会の時に聞いたとおりだ。


「わかりました。じゃあ、鳴瀬さん」

「なんでしょう?」

「これを使ってみませんか?」


 俺は、悪魔のような笑みを浮かべて、異界言語理解のオーブが入った、件のチタンケースを取り出した。


「え、これって……Dパワーズさんで使われているスキルオーブのケースですよね? 使うって……」


 俺が目でケースを開けるように促すと、彼女はおそるおそるそれを開いた。

 そうして出てきたオーブを確認するように、それに触れた瞬間、ピキっと音を立てて固まった。


 三好が唇に人差し指を当てて、大声を出さないようにとサインを送る。

レーザーを初めとする盗聴対策は、三好がしつこいほどにやっているが、不要な大声はどこから漏れるか分からない。


「こここ、これ……」


 俺はゆっくりと頷いた。


「これを……」


 俺は頷く。


「使う……?」


 もひとつ頷く。


「ま、待って下さい! どうして私なんです?!」

「いや、だって、ほら。どうせ受け渡しまで持ちませんし、これ」


 常識的に考えればその通りだ。なにしろ受け渡しは十二月二日の、日が昇ってからだが、現在は十二月一日の〇時なのだ。


「それにしたって、芳村さんでも、三好さんでもいいじゃないですか!」


 その台詞に俺は静かに首を横に振った。


「さっきのフェニキア文字の内容を見てもそうですけど、我々はすぐにでも碑文やグリモアの内容を知る必要があると思うんです」


 鳴瀬さんはこくりと頷いた。


「多数の碑文やそれに類する情報に触れることを考えれば、我々の中では鳴瀬さんが適任なんですよ」


 なにしろ彼女はJDAの職員だ。しかも今や現場では結構偉いポジションにいる。一般探索者の我々よりも、素早く多くの情報に触れられるに違いなかった。

 もちろんWDAによって碑文は公開されているが、より早く、一次情報に近いデータに触れられるのは職員の特権だろう。俺達じゃ、何処に何が公開されているのかすら分からない自信がある。


「それは、そうかもしれませんが……」

「別に機密になってる情報をスパイしろと言ってるわけではありません。公開データのなるべく一次情報に近いところに、できるだけ早く触れて、正しく翻訳することが目的なのです。ただ、読めることは隠したほうがいいと思いますけど」


 もし、知られたら誘拐されかねない。

鳴瀬さんはごくりとつばを飲み込んだ。


「それにしたって、研究者とかにもっと適任の方が……」


 俺は頭を振ってそれを否定した。


「それだと発表する誘惑に勝てないでしょうし、すぐに囲い込まれますよ。このプロジェクトには、自由な立場で翻訳できて、かつ、それを行っていることを秘匿できる人物が必要なんです」

「プロジェクト?」


 鳴瀬さんが、首をかしげた。


 俺はダンジョンの中で三好と作ったプロジェクトの素案を取り出して、彼女に渡した。それを見た彼女は、驚いたように呟いた。


「碑文……翻訳サービス、ですか?」


 そう、それは匿名のサイトをひとつ立ち上げて、公開された碑文を翻訳、公開する企画だ。

 掲載されているのは公開されている碑文の単なる訳文だから、問題になる理由がない。何しろ碑文に著作権はないのだ。内容がデタラメだと非難される可能性は高いかもしれないが。


 そのドキュメントに最後まで目を通した鳴瀬さんは、思わず吹き出していた。


「何です、このサイト名」

「いいでしょう、それ」


 そこには『ヒブンリークス』と書かれていた。どこかの機密漏洩サイトのパクリだ。横文字での表記は、heaven leaks。駄洒落に関しては日本語を知らないと意味不明だろうが、神さまの領域から漏れるというのも悪くない。

 それに、欧米じゃ、謎日本語はクールってことになってるから、これでいいのだ。日本だとオヤジギャクだと言われかねないが。


「しかし何度聞いても、厨二っぽいですよね、それ」

「狙ってるんだから、いいんだよ」

「仮にこんなサイトを作ったとしても、誰も真に受けないでしょう?」


 面白いとは思いますけど、と鳴瀬さんが首をかしげた。


「オカルトっぽいトンデモサイトなんて山ほどあるし、それを理由にサイトが閉鎖されることなんてないでしょう?」

「それはそうですが」

「それに我々は、サーバーとドメインを管理しているだけで、内容には関知していません。日本新聞協会が、編集権声明を一九四八年に出してますから、それにまるっと乗っかるわけです」


 まあ実態は見え見えかも知れませんけどねと笑うと、鳴瀬さんは眉間を押さえて、はぁとため息をついた。


「それに、内容ですが……」

「はい?」

「まず、そこに書かれていることが真実だと確実に分かる組織がふたつあります」


 オーブを持っている2団体だ。


「このサイトは、この2団体が嘘を書いたり、情報を隠蔽したりすることに対する抑止力になると思うんです」


 世界にそれがばれたときの反動があるからな。


「それともうひとつ」

「なんでしょう?」


「今、ダンジョン碑文って、大抵WDAに提出され、公開されていますよね?」

「はい」

「でもね。今後各国が異界言語理解を持つようになったとき、このままだと隠蔽されますよ」


 ダンジョンがそう望んでいる以上、遅かれ早かれ碑文が読める者の数は増えるはずだ。

 そうしてその内容を知るものが有利になればなるほど、新しく発見される碑文は国内で隠され、公開されなくなる可能性が上がる。


「それは、わかります。異界言語理解が大量に出回ることは、ちょっと信じられませんけど」

「いずれにしても、異界言語理解が普及していない現時点なら、その翻訳を公開してしまうことで、自国で労力を掛けてオーブを探すよりも、公開してその情報を得ようとする流れができあがると思うんですよ」


 経済の相互依存みたいなものだ。

すでに必要なものがあって、それが広く使われ、適切なコストで調達できるなら、自分のところでコストを掛けて類似品を作り出す必要はないのだ。

 昨今は、CNの大手企業の例もあるから、国防が絡むとちょっと怪しいのだが、まあ大抵はそうだ。(*1)


「それに、信憑性に関しても、翻訳の中に誰にも知られておらず、かつ誰でも確認できる情報があれば、書かれている内容が真実だと証明できると思います。碑文やグリモアの中には必ずそれがあると、俺は信じています」


 ダンジョン製作者が誰なのかわからないが、ここまでお膳立てしてるんだ。そう言う内容が無いはずがない。


 こいつの根幹には、地球のRPG的な要素が含まれている。それは絶対だ。

そして、それによって、ダンジョン探索への興味をかき立て、実益で縛り、ダンジョンへの依存度を上げようとしている。

妄想に聞こえるかも知れないが、実際、そうとしか思えないのだ。


「というわけで、それ。どうぞ」


 鳴瀬さんはじっとオーブを見ていたが、あきらめたように目を閉じると、右手でそれに触れた。

 そうして生まれた光は鳴瀬さんの腕からはい上がって体の中に吸い込まれていった。世界で二人目の異界翻訳者の誕生だ。


「人間を辞めるぞって、いいませんでしたよ!?」


 とぼけたように三好がそう言って、皆の笑いを誘っていた。


----

*1) 本作品に登場するイベントその他は、公園で行われてる小さなイベントまで、二〇一八年をできるだけ忠実になぞっていますが、

孟氏が実際に逮捕されたのは、実は翌日の十二月一日です。すまぬ。

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