第21話JDAとの取引、のち、まつ田 11/5 (mon)

「瑞穂常務?!」


 鳴瀬さんが驚いたように言った。常務って偉い人だよね。

 その瑞穂常務は、開口一番こう言った。


「一億でどうかね?」

「は?」


 俺と三好は何のことだか分からずに、唖然としていた。


「一億だよ。君たちにとっては大金だろう?」


 まあ、そういわれればその通りだが、一体何を言ってるんだ、このオッサン?

鳴瀬さんが横で真っ青になっている。


「常務。彼らに一億は多すぎますよ。一千万でも充分でしょう」


 隣に座っていた、年の割に少し額が後退している神経質そうな男が言った。


「そうか? なら一千万だな。すぐに経理で受け取れるようにしておくから、今すぐ――」

「あ、あの、瑞穂常務!」


 鳴瀬さんが必死の形相で割り込んだ。


 ペーペーに話を遮られた常務は、すこし憮然としていた。

その顔を見て、俺は、子供の頃防波堤で釣り上げた、膨らんだハリセンボンを思い出した。


「なにかね」

「斎賀課長はどうなさったんです? 本日の打ち合わせは課長の担当だと伺っていたのですが」

「彼には別の用事を言いつけておいた。オーブ保存技術の買い取りだろう? 色々煩雑な手続きなど不要だ。私が執行して買い上げればいいだけだからな」


 それを聞いて鳴瀬さんは絶句している。


「ああ、余り時間がないんだ。さっさと手続きして――」

「すみません。何か勘違いをなさっているようなのですが」


 俺は慇懃に割り込んだ。


「勘違い?」


 瑞穂常務は、道ばたで、そこに存在していてはいけないものを見つけたような顔をして、いぶかしげに俺を見た。


「はい。我々にJDAに売るような技術はありません。なにしろ一般人ですし」

「なんだと? どうやったかは知らんが、きみらはオーブ保存の技術を売りに来たんだろう?」

「え? どうしてそんなお話に?」


 俺は驚いたような顔をして、瑞穂常務と、隣の神経質そうな男を見た。


「先ほど防衛省の連中と取引をしていたんじゃないのか?」


 瑞穂常務の台詞に、俺はさりげなく突っ込みを入れた。


「どうしてそのことをご存じで? 貸し会議室で行われた取引の内容が漏れていたりしたら拙いんじゃないですか?」

「あ。いや、ロビーで防衛省の連中を見かけたからな。勘違いならいい」

「はあ」


「しかしキミらのところで、オーブを売りに出していたではないか」

「そうですね。なんとか落札されたものが揃って、安心しました」

「なんとか?」

「はい。もしも揃わなかったら詐欺師扱いをされるところです。取得と輸送には大変苦労しました」

「ではオーブの保存は?」

「そんな技術が開発されたのですか? さすがはJDAですね。いつ公表されるんです?」


 俺は驚いたような顔で、両手を広げて、本当に聞きたいと言う姿勢をアピールした。


「……風来君。これはどういうことかね?」

「え? いえ、課長の話では……一体どうなっているんだ? 鳴瀬くん!」

「ええ? いったい何の話でしょう? よくわからないのですが?」


 風来と呼ばれた男に話を振られた鳴瀬さんは、わたわたと慌てたような様子でそう言った。


「風来! 後でワシの部屋へ来い!」


 ぐっと拳を握りしめて、顔を赤くしたハリセンボンは、吐き捨てるようにそう言うと、会議室から足音高く出て行った。


「じ、常務!」


 そういって風来とやらも、その後を追っていった。


「なんです、今の寸劇は?」

「えー、風来は、お恥ずかしながら私の上司です……今日の打ち合わせは、本来、その上の斎賀課長と担当の私で進めるはずだったのですが」


 なるほど、やっと話が見えてきた。


「ああ、次期社長――JDAなら会長か、の争いかなにかがあって、ここらで一発大きな手柄を立てることで、それを有利に進めようと目論んだ常務派の暴走ってところでしょうか?」


 そう言うと、三好が不思議そうに訊いた。


「どうしてわかるんです?」

「シマコー読んでたから」

「漫画ですか!」


 三好がそう言って、俺の後頭部にチョップを入れた。

 鳴瀬さんがちらりと時計を見る。打ち合わせの開始時間を少し過ぎていた。


「あ、あの、私ちょっと課長を捜してきます。少々お待ちいただいても?」

「いいですよ。どうせ、今日の予定はこれで終わりだし」


 俺がそういうと、彼女はぺこりと頭を下げて、小走りに会議室を出て行った。


「先輩。鳴瀬さんには優しいですよね」

「三好にも優しいだろ? 昨日の慰労会の買い出しの時、さりげなくバタール・モンラッシェを俺のカードで買ってたろ?」


 三好はぎくりとなって、ギギギギと音を立ててこちらを振り向いた。


「なんだよ、あの値段。俺は、明細を見てひっくり返ったぞ?」

「あ、あはは。アンリ・クレールが引退して、畑をジラルダンに売り飛ばした年のワインですよ? やる気があるんだかないんだかわからない年なので、つい試したくなりますよね? バタールとしては滅茶苦茶安いし、ちょーお買い得ですよ?」

「ほう」

「だってだって、飲んでみたかったけど、お財布にお金がなかったんですもーん。先輩、私の慰労会だっていいましたー」

「そう言うとき、大人はあきらめるという選択をするんだ」


「先輩。世界には一期一会って言葉があるんですよ?」


 いいことを言ったつもりなのか、ちょっとふんぞり返っている。

俺はため息をつきながら言った。


「今後は、一期一会をぜんぶゲットできる立場になれてよかったな」

「それはそれでなんというか、悩む楽しみがないと味気ないというか……第一、あのお金って、全部先輩の稼ぎじゃないですか」

「いや、俺じゃカネにするのは無理。エイリアンのよだれもそうだし、そこは三好のおかげだよ」

「……先輩」


 三好が感激した小動物よろしく、ウルウルとした目でこっちを見ている。


「先輩、いつもそんなだったら、きっとモテますよ」

「だからお前は一言多いんだっつーの!」


 三好の頭にチョップを喰らわせた瞬間、会議室のドアが開いて、鳴瀬さんが入ってきた。


「お、お待たせしまし……た?」


 頭を抱えてうずくまっている三好を見て、何事? といった曖昧な笑顔を浮かべる。


「いや、どうも。うちの常務がろくでもないことをしたようで申し訳ない」


 そう言って鳴瀬さんの後ろから現れたのは、がっしりとした体型だが、やや背の低い男だった。一目見たときの印象は、四角形、だ。


「斎賀です。よろしく」

「芳村です。こちらこそ。あそこでうずくまっているのが三好。うちのリーダーです」


 そういって握手を交わすと、お互いに席に着いた。


「さっそくですが、オーブ預かりの件です」


 どうやら斎賀課長という人は、てきぱきと物事を進めるタイプのようだ。

ビジネスでの付き合いは、こういうタイプが楽でいい。


「現在の、例えば代々木から産出したオーブがどうなっているかご存じですか?」

「いえ、詳しいことは。待機リストがありますから、それを見ておいて、買い手がいるなら急いで持ち帰ってきて連絡するか、そのまま自分達で使うかくらいしか思いつきませんね」


 斎賀課長は頷きながら付け加えた。


「それ以外ですと、JDAが直接買い上げる場合があります。この場合、超高額にはなりにくいのですが、腐ってもオーブですのでかなりの金額になります。お金が目的のエクスプローラーは、それでもいいと考えることが多いようです」

「なるほど」

「そういったオーブがJDA全体だと、年にそれなりの数産出します。いくら稀少とはいえ、代々木だけでも、年に四個くらいは見つかりますから」


 そこで言葉を切ると斎賀課長は、悪戯っぽく笑って付け加えた。


「もちろん、今回、Dパワーズさんが売られたものが代々木産だとすると、それどころじゃない数が産出することになりますけれどね」

「あ、あははは」

「問題はこれらの販売先です」


 斎賀課長は、鳴瀬さんが入れたコーヒーを一口飲んだ。

ボタンを押せば出てくるコーヒーマシンのものにしては、まあまあいける。

日本茶党の俺が、最近コーヒーばかり飲まされているのは、少なからず三好のせいだ。


「急いで販売するために、どうしても買い手優位になるところがありますが、じっくりオークションが行われたときどうなるかは、今回Dパワーズさんが証明したとおりです」


 そこで一息置いた斎賀課長は、効果的だと思われるタイミングで次の言葉を継いだ。


「我々の希望としては、このオーブをオークションにかけたり、必要な時に利用したりしたいのです」


 ふーん。かけたいという要求を伝えるだけか。

鳴瀬さんの口添えもありそうだけれど、この課長は、俺たちのことをそれなりに理解しているな。


 俺は、三好を見た。三好は静かに頷いた。


「いくつか質問があります」

「なんでしょう」


「まずそういったオーブですが、オーブカウント一二〇〇未満で、ここか代々木まで持ち込めますでしょうか?」


オーブカウント一二〇〇未満というのは、オーブが発現してから二十時間以内という意味だ。


「可能だと思います。地上まで十時間と考えても、東京まで十時間の距離はそうとう広いですから」

「最悪一二六〇くらいまでは対応できますが、それ以降だとちょっと困難があるかもしれません」


「それから、そちらが必要になる、少なくとも四十八時間前にはご連絡をいただけますでしょうか」

「それも可能だと思いますが、なぜです?」


「なに簡単なことですよ。お預かりしたオーブは消えてしまう前にこちらで何かに利用させていただきます」


 俺はとっさに思いついたデタラメを説明し始めた。

もう、建前上はとことんしらを切ってしまえ。


「え?」

「そして、必要なときに、そのオーブを『偶然』見つけてお届けします。その際の保証オーブカウントは、いただいたもののカウント+六〇くらいで。どんなに神さまに愛されていたとしても、見つけるのにそれくらいは必要でしょう?」


 斎賀課長は、一瞬何を言ってるんだこいつという顔をしたが、すぐにその意図を理解したようだった。


「もちろん、偶然見つからなかった場合は、ちゃんと賠償しますから」

「了解しました。後は料金ですね。この件に関しては、比較するサービスがありませんから、そちらの言い値に近いものがありますが」


 課長は降参するように両手を上げてそう言った。


「JDAにとっては、輸送経費を加えても、今まで以上の利益が上がるわけですし。その利益の範囲内なら、なんでも頷くことになると思いますよ。メリットはそこだけではありませんから」


 そりゃそうだ。

オーブが取引の材料として使用できるようになるのだ。政治的にも軍事的にもその影響は計り知れないだろう。


「一個、基本一億。売却する場合は、売却金額の三割と比較して多い方を適用。あ、通常のオークションにかける場合は、うちのサイトを利用して下さい。もっともオークションにかけないもののほうが多くなりそうな気もしますけれど」

「ふむ……わかりました。大丈夫でしょう」


 ふっかけたのに即決された。

今回の売り上げを見れば楽勝の金額ではあるけれど、これから先も続くとは限らない。リスクを平気で取る男なのか? ちょっと、試してみるかな。


「それと最後に重要な点をひとつ」

「なんでしょう」


「技術的な問題で、三好と私が同時にいないと目的を達成できません。もしどちらかが死んだ場合は、お預かりしているオーブが全て失われる可能性があります。そのリスクだけは受け入れて下さい」

「なるほど」

「ただ、三年後にはこの問題を解決できる予定です」

「三年後?」

「あくまでも可能性です。ただ、この期間を縮めることは、どんなに投資しても不可能ですので、そこは御理解下さい」

「まるでわかりませんが、三年がなにかのマジックワードになっていることだけはわかりました。了解です」


「こちらからお話できることはそのくらいです。後はそちらで、これを受け入れるかどうかですが――」

「もちろん受け入れさせていただくことになると思います。後日契約書を作成してお持ちしますのでご確認下さい」


 まじかよ。オーブが無駄に失われる可能性も充分以上にあるのに即決って、一体どうなってるんだ? こう言っちゃなんだが、課長ごときに、そんな権限があるとは思えないんだが……


「ありがとうございます。あまりに小さな文字で細かいことが沢山書いてある契約書は読むのが大変ですので、今のお話の内容を簡潔に纏めた契約書をご用意いただければと思います」


 俺は念を押しておいた。


「この事業は、法的な領域にあるわけではなく、あくまでも人的な問題であることを、ご理解していただければ幸いです」

「……わかりました。それで、こちら側の窓口ですが」


 斎賀課長が思い出したように付け加えた。


「鳴瀬」

「はい?」

「後で人事部からも正式な通達があると思うが、君は本日をもって、Dパワーズの専任管理監に任命された。課長補佐待遇で自由裁量勤務だそうだ。同期の出世頭だな。おめでとう」

「え……ええ?!」


 驚く鳴瀬さんを見ながら、三好がすまし顔で言う。


「三十分で七億以上稼ぐんですから当然ですよね」

「根に持ってますね?」

「高額な税金搾取erサクシャーは敵です」

「ははは。では、後のことについては、担当の鳴瀬とお話し下さい。私はこれで」


 そう言って、斎賀課長は礼をして出て行った。


「仕事のできそうな人だよなぁ」

「そうですねぇ。四角いけど」


 三好のあまりな台詞に、全員が吹き出した。


「ところで、鳴瀬さん。専任管理監ってなんです?」

「よくわかりませんけど、Dパワーズの便宜を図る人、ですかね?」

「会社で何をするんです?」

「自由裁量勤務だと自分の席にいる必要もないですし、Dパワーズに出向して、その秘密をスパイするのが仕事じゃないでしょうか」

「いや、スパイって……」


「事務所は新しくなるので、来られても大丈夫ですけど……あ、そうだ、デザイナーのプランを見にいかなきゃだった! 予定ありましたよ、先輩!」

「なんだか、すごくお忙しそうなんですね」

「まあ、そうですね。そうだ、鳴瀬さん」

「はい?」

「しばらくしたら、次のオーブを売りに出しますから、その時は、またよろしくお願いします」

「……え? また?」

「ええ、まあ。発売までは内緒ですよ?」


 鳴瀬さんは呆れたようにため息をついたが、あきらめたように頷いた。

いや、あなた、スパイが仕事なら頷いちゃだめでしょ。


  ◇◇◇◇◇◇◇◇


 その日の午後は、事務所のデザインをお願いしていた青山のお店に行って、担当にいろいろと聞かれることになった。


 どうやら、三好が予算に制限を付けなかったみたいで、仕事を引き受けたデザイナーはものすごくやる気になっていたが、俺たちの要求はと言えば、ベッドと椅子にいいものをくらいで、特殊な贅沢と言えば、三好が一階の一部にセラーを並べたことくらいだ。


 あとは使いやすければなんでもいいという、なんとも気の抜けるクライアントだったろう。提案すれどもすれども、糠に釘とはまさにこのことだ。


 とくに強い要求がない俺たちみたいなクライアントは、もしかしたら最低のクライアントなのかもしれない。


 それでもさすがはプロらしく、二人の家も事務所のスペースもきちんとしたコンセプトの元にまとめ上げられていった。


 注文した家具の到着に五日くらいかかるということなので、余裕を見て、十一月十二日に入居することにして、店を出た。


「十日にサイモンさんとの受け渡しがありますけど、なんとか一段落した感じですね」

「ああ。引っ越しが終わるまでは、ぼちぼちとダンジョンへ潜りながら、ゆっくりしようぜ」

「その間に例の検査をしましょうよ。私、コンピューターの手配と回線の手続きを終えたら、やることなくなっちゃいますし」

「なんだ、またいろいろやってんな」

「まあ、半分趣味みたいなものですよ」


 大分赤くなり掛かってきた空の下、根津美術館のあたりから、表参道の駅を目指して、ふらふらと歩いていく。

 左手にある時計屋の前で信号待ちのために足を止めると、向かいの老舗ブラッスリーの窓越しに、グラスをあわせる人達の楽しげな様子がうかがえた。


「あのね、先輩」

「んー?」

「さっき、自分のカードでATMにいったら、残高が六千万とかあるんですよ」

「へー」

「へーって、先輩の口座も同じですからね」

「ああ、例の一%か」

「ですです。でね、ここで何にもしないことに決めても、一生遊んで暮らせると思いますけど、先輩どうします?」


 そうか、パーティ口座には六〇億くらいのお金が振り込まれたんだっけ。


「三好は、そうしたいのか?」

「いえ、先輩はどうなのかなーって思って。一ヶ月前までブラックっぽい職場で、ヒーヒー言ってたんですよ? 私たち」


 そういやそうだな。榎木とか、もう遠い過去みたいな気がするけれど、あれはたった一ヶ月前の話なのか。

 遊んで暮らすってのも悪くはないが……一日中ネトゲで引きこもるのにも、そのうち飽きそうだ。


「そんな人生はつまんなそうだな」

「ですよね!」


 信号が青に変わり、人が一斉に動き始めると、三好も元気に横断歩道を渡っていった。


「そういや、三好って実家はなにやってんの?」

「サラリーマンと専業主婦の、普通の家ですよ。兄もいますから、自由なもんです。先輩は?」

「うちはもう両親とも亡くなってるし、兄妹もいないからなぁ。高校出てから親戚とも没交渉だし」

「ええ? 先輩、ぼっち体質?」

「失敬な。まあ、せっかく出世? したんだし、両親に仕送りでもしてやれば?」

「うーん。正直なところを話したりしたら、全員だめな人になりそうなので、しばらくはやめときます。世の中、先輩みたいな人ばっかりじゃないんですからね」


 プラダブティックの入った変なビルを横目で見ながら、なんだかディスられてるような褒められてるような、びみょーな気分だ。


「まあいいや。そろそろ腹減ったな。なんか食べて帰るか?」

「え? 先輩のオゴリですか?」

「おまえな。一応今日から富豪だろ」

「あ、そうでした。でも、青山の美味しいお店は、ほとんど全部反対方向ですよ?」「そうなの?」


 この辺の店のことなんかよくわからないよ。


「あ、じゃあ、お寿司にしませんか?」

「いいけど」

「まつ田が近くにありますよ。そこのコムデギャルソンを左に折れたらすぐです」

「すげー裏路地っぽいけど、こんなところに?」

「先輩、この辺りは、結構流行っているお店だらけなんですよ」

「へー。青山とか表参道の人って隠れ家っぽいの好きそうだもんなぁ」

「それは、偏見ですよ」


 電話をすると席を用意していただけるとのこと。

 三好の弁によると、予約が取りにくいお店は、当日に電話すると意外と席があったりするらしい。キャンセルが出たり、常連用に空けてあったりするってことだろうな。


「ラッキーでしたね」と三好に言われながら辿り着いたビルは、JDAにも負けないくらいみょーな飛び出た部分がある変なビルだった。


 そのビルの地下でいただいた、酸味のきいたふわりとほどける寿司は確かに美味しかったが、数時間後に来た明細を見て、ちょっとめまいがしたことに変わりはない。三好のバカタレは、小さく舌を出していやがった。


 そうしてまつ田は、Dパワーズのカードが初めて使われた記念すべきお店になったのだ。

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