017〜024
017「異世界に行きたい人を追い返すだけの簡単なお仕事です」/淡島かりすさん ※本文引用あり※
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888901210
ベティちゃんを論破してまで異世界に行きたい人、いる?
完膚なきまでの各話の論破、何度読んでも痛快でおもしろい。
簡単に異世界に行きたいなんて思っちゃダメだよ、冷静になって現実的に考えたら、だって、そうでしょう?
我々の常識は、一切、通用しないんです。
物語になっちゃうような成功者は、極々々々々々一部の強運の持ち主なわけです。
その他大勢の転移者の末路がどんな様子かは……本文を読めば伺い知れます。
私はもう、絶対異世界に行こうとは思えません。ありがとうベティちゃん、アリスちゃん。
◆
物語の舞台は、主に「狭間の世界」にある「異世界調整事務局」の一室でのやり取りです。
窓から見える天気――赤い雨と青い雨、たまに紫の雨が降るだとか、五本の角を持つ月が空をかき混ぜるだとか、休憩で淹れられる一風も二風も変わった紅茶と、栞やインクの蝶や虫、そして水猫!
それらの描写によって、「狭間の世界はとにかくなんだかわからない世界」ということがよくわかります。敢えて詳しい説明がないところもいいです。
【以下本文引用(第十話より)】
行けるかもわからないうちに思い切った行動に出た男に、ベティは少し感心した。時として人間は、思いもよらないことをする。マレッタの崖がピンパールによって青一色に塗られた事件ほどではないにせよ、多少の驚きをベティに与えたのは事実だった。
【本文引用終わり】
なんなの、「マレッタの崖がピンパールによって青一色に塗られた事件」ってさ! あのベティちゃんが驚くんだから相当な事件のはずなんだけど、「マレッタの崖」は場所の名前なんでしょう。じゃあ「ピンパールによって青一色に塗られた」って何⁉ そもそもピンパールって生き物なのか自然現象なのかわからないし、「青一色に塗られた」って何がどうなってんの⁉
で、それ以上説明がないっていう手法がもう、好きです。
サブタイトルのつけ方も秀逸。「異世界に……え、生ゴミ?」ってなります。興味もバンバン惹かれますよ。
各話に少しずつ伏線が張られていき、ベティちゃんの名推理とアリスちゃんのナイスアシストにより、最終的に事件解決の手腕もお見事でした。
ベティちゃん、仕事人としてほんっとに完璧で優秀なのですが、上司だったらちょっとおっかないかもしれません……。それと、アリスちゃんの美しさがわかる審美眼を持ち合わせてないと……辛いかも?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます