電磁加速砲
「それじゃ本題に入りますか」
顔合わせが済んだところで、
「
機体にはグラス製のキャノピーは存在せず、それは一見無人機のようにも見えるが、コックピットシェルは通常のジェット戦闘機と似た位置に存在する。
だがジェット戦闘機のように、機体前部に
代わりに機体中央部を挟みこむように
そこから横に伸びる主翼と共に、エンジンに半分被さる様に取り付けられた長方形の物体は、高出力の
それは戦闘機と言うよりは、無人のエアプレーンのような軽やかなシルエット。機首に搭載された光学観測ユニット『ハッブルの瞳』がその印象を強くしていた。
そして機体上方後方には、やや不自然な音叉型をしたユニットが取り付けられている。
それが件の開放バレル型
二股の音叉のような構造物は、電磁加速レールだ。
「それで俺も呼ばれたのか。そういえばパイロットは?」
スレイプニル社のエースパイロットであるケイは、今この場に居る。
聞くと、
「
と答えた。
「こないだまで高校生だぞ?」
休憩所でケイが「今年から
「それが
「もちろんじゃねえよ――博士はよかったんですか? 大学に行かせなくて。いや、ケイも笑ってんじゃなくて」
「
「常識人は大変ですね、
慰めるようにエレインが笑った。
エレインも奔放な
「
「ではまず、我が社の新人パイロット、
【コックピット内の映像中継に切り替わりました。カメラグリッドはこちらです
「あ、映ってる? お父さん、やっほー」
トリスの音声に促されて、パイロットスーツを着た、黒髪にケイと同じ碧眼をした少女がヒラヒラと可愛らしく手を振った。
ジェット戦闘機と違い、コックピット内は完全な気密型で生命維持システムも
「ああ
ニール博士が優しい声で
「良いみたい。月ニイの作った、この『ハッブルの瞳』はすごいよお父さん。ものすごく遠くの空まで見える」
「はは。
「え、うそ。もー、先に言ってよお父さん!」
ニール博士の次女、
ケイやニール博士と同じ蒼い瞳、黒髪は母である
「挨拶挨拶」
陽気な
「あ、初めまして、今年からスレイプニル社で働くことになりました、
促され、
「……ちょっと営業の人に研修してもらった方が良いかしら」
ずり落ちそうになった眼鏡を直しながら言うエレインを見て、
「元気があって良いのではなくて?」
「贔屓は駄目だよ
「ま、なんせ入社したてなんで、ご容赦ください――それじゃ
「こちらは今回の予定と資料になります――管制の
【ターゲット情報、受信しました】
空中映像プレートのモニターから、トリスの音声が流れた。
「ターゲットは現地での観測を兼ねて、
「あら、これ射程が……500km? 50kmではなくて?」
横に座り、資料を読んでいた
「ええ、500kmですよ」
「
「
「……ごめんなさい。
停戦協定第六項・限定戦闘許可『電子戦闘空域』
このA.S.F.の
なにせ第六世代以前の戦闘機では要撃どころか、ミサイルの発射そのものすら封じられ、マルチリンク系のシステムに接続しようものなら機体そのものを乗っ取られかねない。
しかし、
『電子戦闘空域』は言うなれば、経済圏間、国家間、産業複合体間の『合法的な戦闘領域』として扱われるようになった。
戦闘領域が
それは『電子戦闘空域』の禁則事項に抵触するかしないかの、グレーな戦略級兵器であり、限定闘争の主役たるA.S.F.の装備としては不似合いな物だ。
「いや、えっと……無いと思います」
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