第105話 ベトナムの大家族は助け合い精神! 日本では失われつつあるものを見たような気がした
以前、ベトナム人妻のトゥイが購入したバイクがあったのだが、第三者のバイクが激突してきてバイクが壊れてしまった。
壊した相手からバイクを弁償してもらう予定だったが、残念ながら夜逃げしてしまった。
つまりトゥイ所有のバイクはなくなってしまったのである。現状、日本人男性の私とトゥイは、ホーチミンのアパートとトゥイの実家のベンチェをバイクで行ったりきたりの生活をしている。
使用しているバイクは、何を隠そうトゥイの妹が購入したバイクであった。ホーチミンとベンチェを行き来する上で、バイクがないと不便だということでトゥイの妹が快く貸してくれたのである。
日本であれば兄弟、姉妹間でもバイクを長期間貸し出しとなると難しいかもしれない。
「バイクないならお金貯めて自分で買えばいいじゃん」と言われる可能性は高い。
けれどもここはベトナム! 身内に困った人がいれば身内が助ける。それが当たり前のような精神の国なのである。それは日本では失われつつある何かを私は見たような気がした。
また身内に限らず、生活に困った人に対して手を差し伸べるお国柄なのかもしれない。私とトゥイがホーチミンからベンチェへ行く途中の信号待ちの道路で、真っ黒に日焼けした少年、少女らが、赤信号で止まっているバイク乗りの人たちにお金を恵んで欲しいと声をかけていた。
見ていると大抵、誰かしら財布からお金を取り出して渡していたのである。ベトナムでは貧困で生活に困っている人たちがいる。でも、そういう人たちに手を差し伸べる優しい国なのかもしれない。もちろん、日本でもボランティアに参加したり、募金活動したりする日本人もいる。
私はベンチェの実家において、ベトナム人の大家族の中にぽつんと日本人の自分がいたのだけれど、特に息苦しさとか気まずさとかはなかった。
しいて言えば、どこか心地よい風が吹いていたような気がする。トゥイの妹にはバイクの貸し出しの件でお世話になったので感謝している。
見返りを求めず、相手を助けることってなかなか難しいことだと思う。トゥイにしてもホーチミンで働いていた頃、毎月の給料からトゥイの姪のタムちゃんの幼稚園の学費を払っていた。
トゥイはタムちゃんに父親がいないことを不憫に思っていて、「タムちゃんは可哀そうよ。私とトゥイの子供みたいなものだよ」と言って、とても可愛がっている。
タムちゃんが日頃着ている何着かの洋服は、トゥイが買ってあげたものである。私にしても、タムちゃんのことは実の娘のように可愛がっている。
ベトナムの大家族の助け合い精神っていいなぁって思うこの頃である。
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