第81話 ベトナム人彼女の実家へ行くことになった
日本人男性の私はベトナム人女性のトゥイとベトナムのホーチミンで無事に会うことができた。すぐ隣りにはトゥイがいて普通に日本語で会話している。自分たちの会話は日本語だけれど、周りの声はベトナム語が飛び交っていた。
トゥイの印象は小柄な女性である。約10ヶ月間、毎日、LINEで連絡していたし、頻繁にLINE通話していた。だからなのだろうか。初めてトゥイと会った印象は、初めて会った気がしないであった。
手を伸ばせばトゥイにすぐ触れることができる。私が冗談らしきことを言った時、トゥイから「何言ってるか!」と笑いながら叩かれた。その時、私はこれは夢ではない。本当にホーチミンでトゥイと会っているんだと実感した。それは2次元から3次元になった瞬間なのかもしれない。
トゥイと会った瞬間をアクションカメラに撮影したい衝動にかられたが、ホーチミンはひったくりが多いと聞いていたので撮影はしないことにした。ここはがまんである。
私は日本で朝食しかとっていなかったので、トゥイがここで食べようとフォーのお店に入ったのだが、2人で合計500円になってしまった。
トゥイは「高い!」と不満気だ。私とトゥイはフォーを食べながら日本語で話していた。また、私は色白なのも手伝って、フォーの店主から外国人価格で大丈夫だろうとなったようである。トゥイがいつも行っているお店は1人125円ぐらいだそうである。
ちなみに私がお店でベトナムのドンでお金を支払う際、手間取ってしまい、高いベトナム紙幣を店員に取られるかもしれないと判断し、支払いの際、財布をトゥイに渡し、トゥイが支払いを行うシステムにしている。私は何気に用心深いのである。
※ただし、トゥイは自分の財布からお金をだす場合もあるので、毎回、私がお金をだしているわけではない。
次の日、トゥイのおばぁさんが私に会いたがっているらしく、トゥイの実家のベンチェへバイクで2ケツして行くことになった。トゥイの話ではバイクで2時間ぐらいかかるそうである。
トゥイがバイクを運転し、私は後部座席に座る。リュックにノートパソコンやアクションカメラを入れ、肩にしょっている状態である。バイクのトランクにノートパソコンを入れるとバイクの振動で壊れる可能性がある。重たくてもリュックに入れてしょった状態でバイクの後部座席に乗るのが正解である。
ホーチミンはこれでもかと言うぐらいバイクが走っている。カップルらしき2人乗りしているバイクはお揃いのペアヘルメットをしている。また、ドラえもんのヘルメットをしている人も時々、見かけた。さらには逆走しているバイクも……。
クラクションはところせましと鳴り響いている。ベトナム歴の日が浅い私でも、一発で日本ルールは絶対に通用しない国だと感じた。日本の信号機と違い、ベトナムの信号機はカウントダウン方式になっていて、あと何秒で青になるか赤になるか分かる仕組みになっている。
信号機が赤になっている時、物乞いをする家族が、止まっているバイクにお金をくれと言っていてびっくりした。トゥイは最初の頃、可愛そうなので物乞いの人たちにお金をあげたそうだ。
トゥイの運転するバイクがホーチミンからだんだん離れていくと、バイクの数は減っていき道路は空いていく。そして、目についたのはハンモックがたくさん吊るしているお店が、転々とあることだった。
トゥイはベトナム人はみんなハンモックが大好きと言っていた。ホーチミンからベンチェまでの中間地点にさしかかったので、水分補給もかねてハンモックの喫茶店に入ることにした。
飲み物は1本60円で氷が大量に入ったコップにビンの飲料を自分で入れるシステムである。今までの人生でハンモックを使って寝そべったことがなかったので初体験してきた。
感想は自分の体重でハンモックを吊るしている紐がきれるんじゃないかと心配したが大丈夫であった。水分補給し生き返った私とトゥイは、バイクで出発しトゥイの実家を目指す。
トゥイ :あなた! 私の家族に会う前に髪切って?
私:うん、分かった。 どこで切るの?
トゥイ:トゥイの地元の美容室行くね。
さらに時間が経過し、トゥイの生まれ育った街であるベンチェに到着したのだが、私の感想は、いろんなお店がたくさんあるし都会だと感じた。ベトナムはハノイやホーチミンだけが都会というわけではない。
十分、ベンチェはひらけている街なのである。さんざんトゥイはホーチミンの田舎に住んでいると言ってきたが、訂正しなければいけない。トゥイはベトナムの地方都市であるベンチェで生まれ育った都会っ子なのである。
ベンチェの地元の美容室に入ると、トゥイが店員にあれこれ話していた。おそらく私の髪型をどんな風にしたいのか伝えているのだろう。私は自分の髪型に特にこだわりがないので、なすがままに散髪してもらった。値段はシャンプーと髭剃り込みで400円であった。
※後日、トゥイのお母さんが400円は高い。200円でやってくれるところがあると怒っていた。もしかすると外国人価格が適用されたのかも。
こうして髪型もスッキリし、トゥイの実家へと向かった。 ベトナムのホーチミンにきて、すぐにトゥイの実家に行くことになるとは思いもしなかった。
けれども私は変なところで緊張感がないところがあり、トゥイの実家へ行くことになっても特に緊張もなければ心配もしていなかったのである。
唯一、心配していたのはトゥイの実家のwi-fiの速度である。そんな能天気な私はトゥイの実家へ到着した。
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