第64話 姉妹の同居解消!それぞれの道へ
ベトナム人女性のトゥイ姉妹がホーチミンに上京し、とあるアパートで共同生活をしていたのだが、よく姉妹ケンカをしていた。
日本人男性の私はトゥイから「妹と今ケンカしている」と報告を受けるたびにどうしたもんだろうと思っていたのだが、ついに事件は勃発した。
トゥイがうたた寝をして目を覚ますと妹の姿はなかったのである。時間は夜の深夜を回っていた。
トゥイから「妹が消えた」と悲痛な絵文字つきのLINEメールが送られてきて私はびっくりした。
私:え? 妹いないのか?
トゥイ:うん。
私:どうして?
トゥイ:たぶん遊びに行った。
私:じゃあ問題ないのでは?
トゥイ:問題あるよ。わたしの家は厳しいから、女が夜遅くに出かけるのはだめだよ。お母さん怒るよ。トゥイはお母さんに言いつけた。
トゥイは物凄く怒っていた。日本でも門限のある家庭はある。自分の娘に対して何時までに家に帰らないとだめだと言う家庭もある。
また、旦那さんに対して何時までに帰らないとチェーンロックをして家には入れないよと言い放つ奥さんもいる。トゥイの家庭もまた厳しいようだ。
私は男なので、家に帰らず朝までオールしたこともあるし、夜遅くに帰ることだってある。だから夜遊びすることに関して、男目線で言うとあれなのだが、あまり重大なことだとは思っていないところがある。
しかし、トゥイの家庭は違って、妹の夜遊び事件は大問題となった。トゥイの妹は19歳なので遊びたい盛りなのは分かる。
日本の女性もそれくらいの年の頃は青春を謳歌したのではないだろうか。トゥイ姉妹のケンカはすぐに仲直りすると考えていたのだが、どうやら違ったようだ。
妹はトゥイに内緒で別の仕事を探し、その会社の寮に住むからアパートを出ていくと言ったのである。トゥイの母親は娘(妹)の素行が悪いのであれば実家に戻すことを考え、話し合いのためトゥイの住むアパートに訪れた。
妹は実家には戻りたくないらしく、結局、会社の寮に妹は住むことになったのである。当初はトゥイ姉妹が同じアパートに同棲し、同じ仕事をする予定だったが、ずいぶんと計画が変わってしまったようだ。
トゥイは現在、ホーチミンで働いているのだが、働き先が人手不足のため長時間労働をしている状態である。
日本にもしつけが厳しい家庭はあるが、ベトナムもまた厳しいしつけの家庭はある。トゥイの妹は会社の寮暮らしを始めたのだが悲劇が起きた。
トゥイの妹は以前、スマホを家の床に落として壊してしまったのだが、連絡手段がないと不便なので中古のスマホを購入していた。お店の写真をスマホで撮ろうした矢先、2人組のバイクに乗った何者かにスマホを奪われてしまった。
スマホ泥棒はバイクであっという間に逃げてしまい、スマホを取り戻すことができなかったのである。日本では外で自撮りなどをする時、スマホを盗もうとするやからはあまりいないだろう。
しかし、ベトナムではスマホは隙をみせたら盗られてしまうのである。私がトゥイにホーチミンのことを撮って私に送ってと頼んだ時、人がたくさんいるところでスマホ撮影していると盗られると言っていた。
トゥイはホーチミンで一人暮らしになってしまった。深夜にLINEメールがきたことがあった。
トゥイ:怖いよ。怖いよ。
私:え? どうした?(何かあったら心配だな)
トゥイ:怖い夢見て目が覚めた。怖いからあなたにすぐ連絡した。
私:夢か。
トゥイ:うん、とても怖い夢だったよ。
私は夢でよかったなぁと安心した。リアルで怖いことが起きるよりもいい。夢は夢なのだから。現在、トゥイはホーチミンで一人暮らしをしている。
給料が入ったらあなたといっしょに着るペアルックの服とヘルメットを買うんだとはりきっている。
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