第32話 サイゴンで最後の恋愛がしたい。姪はベトナム人美女になるね

 日本人男性の私とベトナム人女性のトゥイは、かなりの年の差のあるカップルである。私もおじさんの年齢となり、トゥイにしてもベトナムではおばさんと言われる年齢になった。

※トゥイの話では、ベトナムで25歳を過ぎた女性はおばさんになるらしい。


 お互いに年齢も年齢なので、これが最後の恋になればいいねと考えている。


 最後の恋にしたい。そんな希望を抱いて生きている。ふと思ったのだが、ベトナムのホーチミンの旧名はサイゴンである。


 サイゴン、サイゴン、サイゴン・・・・・・。


 そう私とトゥイは、この恋愛を最後(サイゴン)の恋にしたいと考えているのだ。


 おじさんになるとダジャレをついつい言ってしまう時がある。勘弁してほしい。私の父親にしても綾小路きみまろのダジャレ書籍を読んで日夜ダジャレ力を高めている。


 以前、家族で食事に行った際、父親は自信満々にお店の店員に向かってダジャレを披露し、私と母親は一瞬にして凍りついた事件が起きた。


 店員は一瞬、きょとんとしていたが、ダジャレだと認識すると愛想笑いを浮かべた。その後、私と母親は変な空気のまま食事をしたのは言うまでもない。


 それではサイゴンとかけまして~、恋と説きます。その心は~、私とトゥイがサイゴン(最後)の恋をしたいから~。


 とうとう私も無差別にダジャレを言うようになったのだなと感じた(しかもしつこくダジャレを言っている)。我ながらおじさんになるって怖い。


 私とトゥイはネット恋愛ではあるが、たがいに国際結婚を意識している。私にしてもトゥイと真剣なネット恋愛をしているつもりだし、遊びとか興味本位で外国人女性とLINEでメールしたり、Skypeテレビ電話をしているわけではない。


 お互いに将来のことを真剣に話しているし考えている。恋人同士がある日、お互いの呼び名が変わる瞬間がある。私はてっきり、トゥイからニックネームみたいな感じの愛称で呼ばれるんじゃないかと期待していた。


 しかし、最初に私が言われた愛称はブタちゃんであった。ブタちゃんの次に言われたのが悪魔である。おいおい、私はデーモン小暮じゃないんだよと思いつつ、変な呼び名で言われても私はニコニコしていたのである。


 そして、つい最近、ブタちゃん、悪魔から昇格し、ついにあの呼び名で呼ばれることになった。


 旦那さんと呼ばれたのである。私はトゥイから旦那さんと呼ばれるようになった。私もトゥイのことを奥さんと呼ぶことにした。まだ正式に国際結婚したわけでもないが、まるで夫婦のように旦那さん、奥さんと呼び合った。


 それは何とも言えない不思議な感じであった。私はおじさんの年齢になり、正直、もう恋愛とは縁のない生活を送るんじゃないかと思っていた。


 けれども現在、目の前にはいないけれど、遠く離れたベトナムのサイゴンの田舎に住んでいるトゥイとネット恋愛している。


 日本人のように正確に言葉のコミュニケーションができるわけではないけれど、時間をかけてゆっくり私とトゥイは連絡しあっている。


 インターネットが発達したおかげで、国際電話のように高い通話料がかからなくなった。LINEやSkypeのアプリを使って簡単にテレビ電話ができる時代になった。


 私とトゥイは最後(サイゴン)の恋がしたい。強引にダジャレで終わらせる日があってもいいと思うこの頃である。


 尚、余談ではあるが、トゥイの妹の4歳の子供はめっちゃくちゃ可愛い。トゥイが言うには「将来、ベトナムの少女の姪はホットガールになるね」と言っていた。

※ホットガールとは、ベトナム人美女のことである。


 私も姪の写真は何度も見せてもらったが、将来、ベトナム人美女になるなと感じた。ホットガールと聞いて、私はベトナム人は辛いのが好きだからホットガールなのかと思ったことは内緒にしておこう。

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