第九章十二節 試乗
『お待ちしておりました、シュランメルト』
格納庫に入った途端、
「
『それを知っていただくために、皆様をお呼びしました』
いつも通り話す
だが、今回はいつもと様子が違った。
「あれ、聞こえる……?」
「頭の中に、直接声が……」
「はっきり聞こえるぞ!」
普段はシュランメルトだけに聞こえる声が、タケル達にも聞こえていたのだ。
『直接お話するのはこれが初めてでしたね。私の名前は
「
「優しい、声……」
「なんか懐かしい気分だ……」
と、シュランメルトが呟いた。
「
『簡単です。7年間話していないのですから、脳が衝撃を受けたのです。とは言っても、物理的な衝撃ではありませんが』
「なるほどな……」
『そういう事です。さて、そろそろ皆様の
その一言を受けたシュランメルト達は、新型機3台の前に向かった。
「見たところ、以前より光り輝いている点を除いて特に変わりは無いようだが……」
『はい。表面に、私や
「いや、“程度”で済む領域の改造度合いを超えているぞ
夜の間に、かなり大幅な強化が行われていた。
しかし
『防御力と骨格の強度を底上げし、無理な動きもある程度許容できるようにしました。加えて、操縦方法にも手を加えています』
「まさか
『安心してください。操縦桿はそのまま残しています。ただ……実際に動かすのが早いでしょう』
「だそうだ。乗ってくれ」
「「はい!」」
タケル達は一度、自身の
*
「動かしてみた感想はどうだ?」
「何というか……“思い通りに動き”ました」
20分程度、歩行と走行を繰り返したタケル達は、操縦の素直さに驚愕した。
あまりに素直すぎて、勢い余って転倒寸前にまでなったほどだ。
『それが機体に施した“加護”です。今は慣れていないために安定しない動きでしたが、すぐに使いこなせるでしょう。何しろ、望み通りの動作をするように調整したのですから』
しかし実際に搭乗し、“加護”をその身で味わったタケル達は、それを否定しなかった。
『ひとまず、私に出来る事はしました。これで満足ですか、シュランメルト?』
「ああ。あとは明日の夜を迎えるだけだ」
『分かりました。そうそう、帰還するまで皆様も私に話しかけられるようにしています。何かあったら、いつでも呼んでくださいね』
それだけ言い残すと、
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