第九章四節 輸送

 格納庫に無事入った三人は、道中に決めておいた通りの機体に向かっていた。

 具体的には、Großerグローサー・ Tapfererタプファラー・ Ritterリッターがシュランメルト、Hellerヘラー・ Blinkenブリンケン・ Sternシュテルンがシャインハイル、Ewigエイヴィヒ・ Brennenブレンネン・ Flammeフランメがグスタフである。


(鍵のたぐいが無いのは、グスタフとの会話で確認している……。後は乗って、ベルリール城に運ぶだけだ)


 ここに来る途中にグスタフから話を聞いたシュランメルトは、問題無く搭乗を済ませる。


「武器や盾は……実戦用のが装備済みか。他の2台にもあるな」


 そして装備の確認を終えたシュランメルトは、シャインハイルとグスタフを先導する。


「ベルリール城に戻るぞ。飛翔機構フリューゲもある、飛んで移動すればすぐに着きそうだ」

「了解!」

「かしこまりましたわ」


 その後シュランメルト達は何事も無く、ベルリール城へと戻ったのである。


     *


 ……と、ここまでの一部始終を見ていた者がいた。


「やはり回収したか……。閣下と一緒ならともかく、私だけでは手を出せんな。Schadouスハードウは戦闘向けではないのが残念だ……。何より、手駒となる魔導騎士ベルムバンツェは、閣下の意向で一か所に固めている。“人形遣い”も“人形たち”も、また同様だ。どうにも、ままならぬものだな……」


 魔導騎士ベルムバンツェの胸部へ入っていったのは、フローラであった。

 ヘルムフリートから離れた彼女は、潜入や偵察の任務に就いていたのである。


「しかし、どうしてあの時気付かなかったのだろうか……? いや、過ぎた事を悔いても仕方ない……。閣下に報告せねばな」




 そしてSchadouスハードウは、どこかへと去っていったのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る