第八章七節 偵察

 グロスレーベの動きは早かった。

 わずか1日でゲルト3等将官に勅命を下し、2個大隊(96台)の部隊を動員させ、グライス家の屋敷へと進軍させていたのである。無論ノートレイアと紫焔騎士団も同行済みだ。


 ゲルト3等将官率いる突入部隊は、紫焔騎士団という詳細な情報を伏せられた上で“突入の協力者”として情報を受け取っていた。

 そう、紫焔騎士団の主目的は、事前にノートレイアが構造を把握した屋敷に突入し、証拠を確保する事である。


 かくして王城に最も近い基地、ベルナ基地に、合わせて109台――うち12台は紫焔騎士団員が搭乗するBispeerldビースペールト、もう1台は不可視状態で同行しているノートレイアのAsrifelアズリフェル・_Violettiaヴィオレティア――もの魔導騎士ベルムバンツェが集結した。

 ここで一度態勢を整えてから、強制捜査に踏み切るという算段である。


     *


 ……その様子を、遠くから見つめる1台の魔導騎士ベルムバンツェがいた。

 名をSchadouスハードウというこの機体は、元はベルグリーズ王国の隣国であるハドムス帝国の、間者用の機体である。


「ふむ、やはり集まったか。まさかこれほどまでに早いとは……。しかし、既に移送は終わっている。後は私と閣下のDragnaughtドラグノートがお前達を屠り去る。それから“子供達”を手中にし、研究を完成させる……!」


 Schadouスハードウの搭乗者であるフローラは、機体をグライス家の邸宅へと走らせた……。

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