第六章二節 出発
朝食と準備を終えた一同は、既に各自の機体に乗り込んでいた。
『普段の行程はリラ達が詳しいだろう。リラやフィーレの案内を聞け』
普段“飛んで”いるシュランメルトは、詳細な行き方を把握していない。否、把握してはいるが、陸上を歩くルートの場合は違う、という事だ。
『シュランメルトの言う通りですね。道案内は私達に任せて下さい』
『わたくしも案内しますわ!』
フィーレの
グスタフとシュランメルトが共に前から二番目の列に立ち、前方を固めた。
『タケル達はこの間に入れ。くれぐれも離れるなよ!』
『『はい!』』
かくして一同は、ベルリール城へ向かって歩き始めたのであった。
*
『全機、止まれ』
ベルリール城まであと半分といったところまで進んだ時。
左右を森が挟む道で、シュランメルトは停止の指示を下した。
『何でしょうか?』
『何か、いる。うまく説明できないが、空間がぼやけて見える』
シュランメルトの視界には、100m程離れた場所の空間の一部が、うっすらと歪んで見えていた。
『
『陽炎ではないだろう。天気は曇りだ。おまけに陽射しも無い』
シュランメルトの言葉通り、空は一面の雲に覆われている。
気候もそこまで暑くなく、陽炎の発生する確率はかなり低いものであった。
『各機、警戒態勢に移れ』
その言葉と同時に、
『本当にどうしましたの、シュランメルト!?』
『静かにしてくれ、フィーレ。取り越し苦労であってほしいが、何が起こるか
フィーレの声も無下にしているシュランメルト。
瞳には、最大限の警戒心と闘争心が現れていた。
『ッ!』
と、どこかから
シュランメルトは慌てず、大剣の一振りで叩き落す。
『やはりな。だが、貴様の位置は掴んだ』
殺意のこもったシュランメルトの言葉に続き、
そのまま大出力の
『貴様の正体を明かせ』
シュランメルトがそう言うと、
刹那、黒色の残骸がバラバラと落ちる音が響いた。
『なっ……!?』
『各機、空間の歪んでいる場所に注意しろ。そこに敵がいる。今までに見たことが無い機体だ』
シュランメルトはあくまでも冷静に、指示を飛ばしたのであった。
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